『留学したから高校生eスポーツ大会に参加できた』国際色豊かな開志国際高等学校

今回は新潟県にある開志国際高等学校(以下、開志国際)より、昨年の『第4回全国高校eスポーツ選手権』LoL部門に参加したチームを取材しました!

今回取材に参加してくださったのはなんと全員中国からの留学生!開志国際は、中国をはじめオーストラリア・モンゴル・ベトナムなど多くの国からの留学生が在籍している国際色豊かな学校なんです!

eスポーツ部がある訳ではない当校から、どのようにして生徒たちがeスポーツ大会参加に至ったのか、メンバーはどう集まったのか…?また皆さんには中国のことはもちろん、日本へ留学して驚いたことなど聞いてみました!

写真左から…華 江南(ファ ジャンナン)くん(高3)、王 詣(ワン イー)くん(高3)、王梓煊(オウ シケン)くん(高2)、 張 森源(チョウ シンゲン)くん(高3)、楊 明銘(ヤン ミンミン)くん(高3)

開志国際には各学年にこれだけの留学生が在籍しています。(2022年1月現在)
1学年 36/153名
2学年 32/150名
3学年 19/149名

同校では、基本的に留学生も1年生から入学するそう!途中から編入する生徒もいるとのことですが、短期ではなく卒業まで在籍するのが通例なのだそうです。
そのため一般的な「留学」というより、高校へ入学してくるイメージと変わらないんだとか。
長期間にわたり日本で生活している為か、取材に参加してくれた皆さんとても日本語が上手で話しやすく、しっかりコミュニケーションがとれることに驚きました。一長一短で身につくものではないので、皆とても勉強家なんだな~とも感じます。

卒業後は日本の大学や専門学校に進学する子が多いという留学生たちですが、普段は日本の小説や食べ物を好み、休みは勉強やゲームをして過ごしたりと、日本の高校生男子と変わらない日常を過ごしています。

中国にいる頃からプレイしているLoL

――本日はよろしくお願いします!皆さんは「第4回全国高校eスポーツ選手権」に参加されていましたが、メンバーはどのように集まったんですか?
華くん「3年生の4人は僕のクラスメイトです。2年生の子はLoLをプレイしていることを知っていました。中国人留学生はそこまで多くなくて、皆知り合いなんですよ。なので普段何をしているかは分かります。」
――中国人留学生の方は皆さんLoLをプレイされているんですか?
華くん「ほとんどやっています。」
――そうなんですね!それでは今回大会出場していらっしゃった皆さんは中でも上手な方々なんですか?
華くん「はい。一番上手な5人です。」

――選抜のような形での出場だったんですね。皆さんのLoLのプレイ歴を伺ってもいいですか?
張くん「去年の8月からプレイしています。周りの友達が皆LoLをプレイしていて、誘われて始めました。当初は難しかったですが、今は簡単にプレイできています。」

楊くん「ちゃんとプレイしている期間は1年未満です。ただ以前に他のMOBAのタイトルであるDota2をプレイしていました。」
王 梓煊くん「あまり真面目にプレイしているわけではないですが中国にいる時からずっとやっていて、始めてから3,4年くらいです。」
王 詣くん「始めたのはかなり前ですが、ちゃんと遊ぶようになったのは1年未満だと思います。」
華くん「中国にいた約3年前からプレイしています。LoLは中国では人気のあるゲームで、学生はほとんどがプレイしているはずです。」
――なるほど!それは中国の学生がLoLで強くなるはずですね。今回大会に出場するにあたって、メンバーが集まってからの練習期間はどれくらいだったんですか?
華くん「あんまり練習はしていないですが、試合前には開志国際と同じNSGグループの高校と練習試合をしていました。」
――ということは趣味で普段プレイしているから、練習するというより合わせるという感じだったんですね。ロールを決める際はスムーズでしたか?
華くん「元々BOTをしている人が2人いて、ジャングル(JG)がいなかったので困っていました。ジャングルを好きな人がいなかったですね。(笑)」
――ジャングルが不人気なんですね。皆さんがジャングルをやりたがらないのはなぜでしょうか。
華くん「普段やらないから皆大会でも使いたがらなかったですね。結局僕がジャングルをやることになりました。」
――華くんの担当になったんですね。日本の高校生大会で戦ってみた感想はどうでしたか?
張くん「僕たちが対戦して負けた『Yuki飯食べ隊』はとても強かったです。特にサポートの選手が強かったですね。」

王 梓煊くん「負けて悔しかったです。優勝したチームに負けたのは運が悪い!と思いましたが、チームは4人が3年生なので同じメンバーで大会に出ることはもう無いと思うんです。最後の大会でこんな結果は悲しいなと思います。」
――他の2年生や1年生でLoLをしている生徒はいないんですか?
王 梓煊くん「いるにはいるんですけど、5人のチームを作るのは難しいと思います。ただ3年生になったら続けることは難しいだろうなと思っています。」
――確かに3年生になると受験がありますもんね。他の方は何か感想はありますか?
楊くん「真面目な試合を初めてやったので、BANピックを考えるのが試合っぽいな~と思いました。」
王 詣くん「やっぱり緊張しました。いつもは気楽な感じでやっているのですが、試合の時は皆真面目な顔になって怖いかもしれないです。」
華くん「LoL自体中国では人気があるんですが、高校生限定の大会がないんですよ。日本ではこんな大会があって嬉しいと思いました。18歳以下はゲームに時間制限を設けたルール※があるので大会もないですね。」

※中国では18歳未満の未成年者に対して金曜日、土曜日、日曜日と祝日の午後8時から9時までの1時間しかゲームをプレイできないルールが設けられています。

――中国でゲームの時間規制がされているのはニュースで見たことがあります!では日本の高校生と対戦して、中国との違いなど感じることはありましたか?
華くん「最初の1,2試合は上手く勝てましたが、そこまで強くなかったですね。感じた中国との違いは相手が試合後に『ありがとうございました』と言うことです。中国では『GG』までしか言わないですね。」

留学開始から数年…中国とのギャップは?

――日本に留学して3年目とのことですが、中国との違いで驚いたことはありますか?
華くん「日本のプレイヤーは皆丁寧で優しいことに驚きました。」
張くん「礼儀が厳しいところに驚きました。学校で先生によく注意されましたね。例えば職員室に名前を呼ばずにまっすぐ先生の所に行ったら注意されてしまいました(笑)。」

皆のこれが好き!を聞いてみた

――華くん、小説家では森見登美彦さんが好きだそうですね。普段から日本の小説を読むんですか?
華くん「よく読んでいます。考え方が面白くて、でも僕の生活に関わっていて似てるなと思います。」
――王 詣くんはゲームの時は怒らないと決めているとか(笑)。その理由を教えてもらえますか?
王 詣くん「他の人が怒っているのを聞くと空気が悪くなってしまうので、僕はやらないようにしています。」
――なるべく楽しい空気感でプレイしたいというのは素敵な心がけですね!楊くんは好きな言葉が『人間は恋と革命のために生まれてきたのだ』と聞きましたが、これは太宰治の『斜陽』の一節ですよね。これまた渋い…!純文学が好きなんですか?
楊くん「読むには読むんですが、詳しいとは言えないですね。ただこういったものを読むのが好きで文学部に進学したいと考えています。」
――張くんは日本の好きな食べ物がカップラーメンとのことですが、どんな味が好きなんですか?
張くん「醤油味のカップラーメンが好きです。」

日本で進学をして、学びたいこと

――皆さんは将来どのような進路を考えていますか?
華くん「僕以外のクラスメイトは進路が決まっていると思いますが、僕は勉強中です。美術大学に入りたいと考えていて、明日共通テストを受ける予定です。そして将来は映画監督になりたいと考えています!」
張くん「法律を学びたいですね。実家で会社を経営しているので、その法務担当に就きたいと考えています。」
楊くん「就職したい職業は考えていないですが、僕は日本の大学の文学部に進学したいと考えています。」
王 詣くん「日本の大学でCG制作を学びたいと思います。」

留学は卒業まで?

――皆さん、ありがとうございました!

皆それぞれ興味や関心、目標をもった分野を進路に定めて、熱心に勉強に取り組んでいるようです。
日本で3年間過ごした日々について語ってもらうには短すぎる取材時間でしが、全員の表情からその充実した日々が想像できました。また高校生のeスポーツ大会は中国には無かったということなので、「留学したからこそ」体験できた思い出として彼らに残ったら素敵ですよね。

ゲーマーゲーマーでは引き続き高校eスポーツ部に取材を続けていきます☆次回をお楽しみに!

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