プロゲーマーが生まれる現場に潜入!KONAMI eスポーツ学院 合同トライアウト

1月20日、東京は銀座にあるKONAMI eスポーツ学院にて、生徒たちが3つのゲーミングチームによる合同トライアウトに参加しました。トライアウトとはいわば試験のようなもので、プロゲーマーになるための第一歩。ここで合格すると晴れて練習生となり、実際にプロチームで1年間鍛錬を積むことになります。

今回ゲーマーゲーマーでは合同トライアウトに潜入し、面接を受ける生徒、そして面接官である3つのプロチームにお話をお伺いしました。プロゲーマーの卵たちの心境と、それを見つめるチームの意図や思惑をお伝えします!

◆KONAMI eスポーツ学院とは

KONAMI eスポーツ学院は、『e-Football™』や『パワフルプロ野球』シリーズなどゲームメーカーとしても有名な株式会社コナミデジタルエンタテインメント (KONAMI、コナミ)が運営しているeスポーツスクール。

高校生プロを目指し、入学からの1年間集中してeスポーツに関するスキルを学べることが特徴です。ゲームの実技はもちろん、ゲームで使える英会話、動画制作、イベント企画・運営などゲームプレイ以外のこともしっかりサポート。通信制高校の「第一学院高等学校」とも提携していて、プロゲーマーを目指しながら高校卒業資格も取得することができます。

◆トライアウト開始前は意外とリラックス?

KONAMI eスポーツ学院は、のための最適な設備を整えた配信スタジオ「e-sports 銀座 studio」と同じビルにあり、生徒たちは1年間ここに通うこととなります。流石KONAMIさん、その設備はかなり豪華で、高校生としての1年間をここで過ごすとなるとそのモチベーションは高くなること間違いなしです!

トライアウト開始30分前には生徒たちが既に何人か来て練習をしていました。プレイに熱中するあまり時折大きな声が挙がることもあり、まだリラックスした雰囲気です。

しかし、スタッフの方曰く「いつもよりおとなしい」とのこと。果たして面接本番のときもいつも通りのままでいられるのか、見ているこっちも開始前からドキドキしてしまいます!

◆トライアウトは2段階あり、今回は1次審査

合同トライアウトは1次審査、2次審査に分かれており、今回伺ったのは1次審査となります(現在2次審査も既に終わり、合格者が発表されています)。

1次審査では事前のプレイ動画を提出と、3つのプロeスポーツチームによる面談に分かれています。この審査を通過した生徒は2次審査に進み、それぞれのチームの定める方法(実技を含む)により合否が決定されるという流れです。

今回の合同トライアウトを開催したチームはDetonatioN FocusMe、SCARZ、TEQWING e-Sportsの3チーム。すべて国内トップレベルを誇る名門チームです。KONAMI eスポーツ学院の生徒は毎年この時期にこれらのチームのトライアウトを受けることができるんですよ。プロゲーマーになるための経路は様々ですが、こういった機会を得られるのは嬉しいですね!

◆面接開始!

面接では最初に自己紹介として名前とプレイタイトル、そして志望動機を伝えます。そして、各チームから生徒に質問をしていきます。

チームからは生徒の緊張を察してリラックスさせるような質問もありながらも、その内容は真剣そのもの。高校1年生を相手に、生徒の性格や周りの環境、志をしっかりと聞き取ります。

生徒の中には実家が遠方で一人暮らしをしている人や、毎日新幹線を使って通っているという生徒も。また、ゲーミングPC所有者がいれば、家にPCがなく学校で自主練習を積極的に行う人もいたりと、ゲーム環境は様々です。

面接官を務めるチームは、今後のことも見据え家庭環境や家族の方の理解なども聞き取りをしていました。ゲームの実力以外の部分もかなり重要視していることが伺えました。

◆トライアウトに合格した生徒にインタビュー!

今回のトライアウトでは2名が合格し、プロチームの練習生となりました!

取材は1次審査の前後に行ったため、まだ合否が発表されていないときに行ったものとなります。彼らの心境や学校生活のことなど聞いちゃいましたよ。

【TEQWING e-Sports練習生 平林武蔵さん】

――平林さんはこれから1次審査の面談を受けることとなりますが、今の気持ちを教えてください。

平林さん「緊張しています……!」

――緊張している中取材を受けてくださってありがとうございます!では、そんな大事な日の前の晩、昨日の夜は何をしていましたか?

平林さん「『フォートナイト』の公式大会に参加していました。調子は悪くはなく15位という結果でした。」

――前日もしっかりとゲームに取り組んでいたんですね!では、ご自分のPRポイントや武器を教えてください。

平林さん「『フォートナイト』では進行とリフレッシュに役割が分かれて、僕は進行を担当しています。特に敵を倒すのが得意ですね。」

――今までの1年間の学校生活で印象に残っていることは何ですか?

平林さん「授業で講師の方から練習方法や役に立つことを教えてもらい、実践したところ本当にレベルアップできたことですね。」

――レベルアップを実感できたのはどんな時ですか?

平林さん「武器が強くエイムが特に重要なシーズンがあったのですが、そのときに『KovaaK’s』というエイム練習ソフトで毎日練習したんです。そうしたら以前よりキル数が増えました。」

――エイム練習って地味なイメージがあって、重要だと思っていても後回しにしてしまう人も少なくないと思います。実際やってみて辛く感じることはなかったですか?

平林さん「音楽を聴きながらやったり、友達と一緒にやったりしていたのであまり苦ではなかったですよ。」

――最後に、憧れているプレイヤーを教えてください!

平林さん「A2 esportsのこよた選手です。敵を倒す能力に長けている選手で、何をしても強い方なんです。自分もそうなりたいと思っています!」

【SCARZ練習生 金戸凪さん】

――面談お疲れ様でした!早速ですが、第1次審査を終えての感想を教えてください。

金戸さん「やり切った、出し切ったという感覚です!あまり緊張せずに臨めました。」

――緊張しなかったというのは凄いですね!

金戸さん「心の底からゲームが好きなので、今日を楽しみにしていました。実際にプロチームの方とお話ができて嬉しい気持ちです。」

――ご自身の強みやアピールしたいポイントを教えてください。

金戸さん「負けず嫌いなところと、考えることが好きというか癖になっているところですね。『なぜそうなるのか』ということを考えて、自分なりの結論を導くのが好きなんです。」

――それはゲーム以外のこと、たとえばほかの趣味とかでもそうなんでしょうか?

金戸さん「そうですね。音楽が好きなんですが、なぜこの歌詞にしているのだろうとか考えるのが好きです。聴くときにも曲全体だけでなくギターなどパートに注目して聴いたりしています。」

――KONAMI eスポーツ学院に1年間通って、印象に残っている授業やエピソードはありますか?

金戸さん「『フォートナイト』の授業は講師の方が凄く面白くて話しやすかったので印象に残っています。それと、動画編集の授業は凄く有益な情報も多かったです。SNS講座では講師のトンピさんが話すことは、色々なことを見てきた人ならではのものでとても参考になりました。」

――講師の方の話もしっかりと受け容れて、それでいて自分でも考える癖もあって、これは凄い伸びしろを感じます!では最後に、憧れているプレイヤーを教えてください。

金戸さん「ZETA DIVISIONのLaz選手とSugarZ3ro選手、海外のプレイヤーだとSuygetsu選手です。配信をよく見るのですが、プレイが全部綺麗で無駄がないんです。すべての行動に意図があると感じます。」

◆eスポーツチームが求めるプレイヤー像とは?面接を行った3チームに聞いちゃいました

すべての1次審査が終了した後、合同トライアウトを開催したDetonatioN FocusMe(DFM)、SCARZ、TEQWING e-Sportsの3チームにお話をお伺いしました。

プロチームが求めるプロゲーマー像、ストリーマー像とは一体どんなものなのでしょうか。プロゲーマーになりたい方はもちろん、eスポーツに関わる仕事がしたい人は必見ですよ!

――今回は主に高校生を対象にしたトライアウトでしたが、面接で見ているポイントはどんなところなのでしょうか?

DFM「現時点での実力は評価の対象とせず、人柄やコミュニケーション能力を重視して見ていました。穏やかだとか怒りっぽいとかですね。加えて、学校での生活態度も見ています。たとえば、どうしても遅刻してしまうという生徒さんも中にはいましたが、私たちの先にいるお客様にも同じように迷惑を掛けてしまうのではと考えてしまいます。」

――学校生活の部分も見ているとは意外ですが、確かに人柄が分かる部分ですね。

DFM「実力は見ていないとは言いましたが、成長速度は気にしています。同じ実力に辿り着くまでに何年も掛かったか、数ヶ月しか掛からなかったか、というようなポテンシャルの違いですね。また、家庭環境、特にご家族様からのeスポーツに対するご理解も重要です。DFMはこれまでにたくさん選手を輩出してきましたが、家族からのご理解を得られず断念したというケースもありました。自分の子どもがプロゲーマーという職業に就くことを心配する方は少なからずいらっしゃいますので。」

――プレイヤー本人だけでなく、周囲の理解も大事なんですね。では、他のチームさんはいかがでしょうか?

SCARZ「パーソナリティを7割、現時点での実力を3割の比重で面接を行っていました。ゲームでの目標や課題に対してどのように取り組んでいるのか、その姿勢をメインにお話をお伺いしています。ゲームの能力に関してはチームに入ってからも伸びると思いますので、伸びしろがあるのかどうかというのもポイントですね。」

――ゲーム以外の部分ではどのようなところを注視していたのでしょうか?

SCARZ「どういった人生経験を過ごしてきたかというところを気にして見ていましたね。たとえば部活や、それで得たことがどう活かされているか、仲間へ思いやりを持てているかどうか、といったところです。特にチーム競技を志望している生徒さんは、仲間のことを尊重できるのかという部分をよく見ていました。」

――ゲーム以外の部分もかなり重要視されているんですね。では、TEQWING e-Sportsさんはいかがでしょうか?

TEQWING e-Sports「他の2チームさんと同じ部分が多いですが、人柄やコミュニケーション能力といった部分は練習して変えるのが難しい部分なので重点的に見ています。中にはプロゲーマーや就活生よりもしっかり話せている生徒さんもいましたし、直接話すことで分かることがたくさんありましたね。」

――今回のトライアウトでは選手志望、ストリーマー志望の生徒さんがいました。それぞれに求めるポイントを教えてください。

DFM「ストリーマーに関しては、1つのタイトル(ゲーム)に固執しないことですね。ゲーマーなので好きなゲームがあるのはもちろん良いのですが、ストリーマーは時代の流れに沿うことが非常に重要です。フレキシブルに動けないといけません。」

――1つのタイトルを極めるプロ選手とは求められるものが違うんですね。

DFM「加えてストリーマーに重要なのはトーク力ですね。ストリーマーはゲームプレイと同じかそれ以上に雑談が重要視されるので、配信上で上手く視聴者とコミュニケーションが取れるかどうかというのは重要です。」

――では、選手に求めるのはどういったところなのでしょうか?

DFM「選手としては、チームとして動けることが大事です。監督やコーチの言うことを聞いてディスカッションして、その上で最終的にはチームの方針に従う必要があります。我が強いのは悪いことではありませんが、それならば監督、コーチを説得するだけのコミュニケーション能力が必要です。」

――SCARZさんはいかがでしょうか?

SCARZ「ストリーマーは、その人自身の持っている魅力が大事です。ストリーマーには色々なタイプがあると思うので、彼らのエピソードなどを聞いて判断しています。今回のトライアウトに関して言うと、生徒さんがなりたいストリーマー像に対して自分に足りないものを分析し、その中で努力しているのかを見ていました。」

――では、選手に求めていることについても教えてください。

SCARZ「選手は人間性と実力が大事です。特に仲間へ思いやり、協調性ですね。加えて、SCARZとしてはSCARZのカルチャーとフィットするかどうかというのも大事にしています。服装や髪型など、その人が入ったときに『SCARZっぽい!』と思ってもらえることが望ましいです。」

――TEQWING e-Sportsさんの求める選手像、ストリーマー像はいかがでしょうか?

TEQWING e-Sports「TEQWINGは千葉で子供向けのプログラミング教室やeスポーツ教室といった教育事業を運営しております。eスポーツチームの中でも特殊なバックボーンを持ったチームです。選手はプレイヤーとして活躍しながら講師も務めています。ですので、普段から選手やストリーマーの発言や振る舞いはかなり厳しく見ています。講師・教育者として振舞えるというのは選手にもストリーマーにも求める部分ですね。」

――貴重なお話ありがとうございました!プロゲーマーを目指す人たちに伝えさせていただきます!

eスポーツへの道は終わらない!

KONAMI eスポーツ学院 合同トライアウト取材、いかがだったでしょうか。

2022年度は2名が合格し、晴れてeスポーツチームの練習生となることができました。もちろんその裏には惜しくも願いが叶わなかった生徒もいますが、彼らのeスポーツへの道はこれで終わった訳ではありません。彼らは学校に通いながら、KONAMI eスポーツ学院で学んだことを活かして、プレイヤー以外の形でeスポーツに携わる人も出てくるはずです。プロゲーマー以外にも進路の選択肢があるのは、ゲームプレイ以外のことも学べるKONAMI eスポーツ学院ならではかもしれませんね。生徒さんたちの益々の活躍に期待しちゃいます!

5月、6月にはオープンキャンパスを開催予定なので、本気でeスポーツについて学びたい人はぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

▼KONAMI eスポーツ学院 公式サイト
https://konami.jp/3mWt9AU
▼オープンキャンに関する情報はこちら
https://konami.jp/3ncNp0W
▼KONAMI eスポーツ学院 公式Twitter
https://konami.jp/3n1TL3n

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