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19歳のApexプレイヤーが見つめる現実と、地域密着チームが見据える未来と【ガチサプ 平岡さん×プロチーム対談連載第2弾】

ゲーマー向けサプリメント“ガチサプ”を皮切りに、eスポーツ業界でチャレンジを続ける株式会社テマヒマ代表の平岡さんの対談企画第2弾!今回はQuintette Shizuoka(クインテット静岡)を務める乗松さんと、所属するSIZU選手にお話を伺いました。

Quintette Shizuokaは地域に根差したeスポーツチームとして活動し、地元でイベント開催するなど新しい形のeスポーツチームです。プロゲーマーへ向けられる周囲の目線、選手の今後のこと、チームと地元企業の繋がりなど、ここでしか聞けない話が今回も盛りだくさんですよ。(取材日2022.11.1)

◆Quintette Shizuoka、SIZU選手

 

Quintette Shizuokaは静岡県袋井市に拠点を置くeスポーツチーム。『Rainbow Six Siege』『Apex Legends』『VALORANT』などFPSを中心に活動している。チーム運営のほか大会イベントも開催するほか、地元企業からのスポンサーを数多く獲得しているなどの特徴を持つ。

SIZU選手はQuintette ShizuokaのApex Legends部門に所属する19歳の若手プレイヤー。2022年の大会にて無所属ながら好成績を残し、同年9月よりQuintette Shizuokaに所属した。

◆アマ時代に初大会でプロと並びプロの道へ

平岡さん「本日はよろしくお願いします。まずは、SIZU選手がQuintette Shizuoka(以下、Quintette)に入った経緯を教えてください。」

SIZU選手「元々『Apex Legends』で活動していて、新しいチームを探していたんです。丁度QuintetteのApex部門に空きがあり、私も静岡県の掛川市出身ということでこれはと思い問い合わせをしてみたことがきっかけです。」

平岡さん「なぜプロチームに所属しようと思ったのでしょうか?」

SIZU選手「初めて参加した大会で、当時は無名だったのですが勝ち上がることができたんです。そのリーグでは唯一のアマチュア無所属のチームだったのですが、そこでモチベーションが一気に上がり本気でやってみようと思いました。」

平岡さん「普段の活動はどのようなことをされているのでしょうか?」

SIZU選手「毎日21:00~24:00に開催されるALGS(※)のスクリム(練習試合)に参加していますね。スクリムの後には反省会を行い、25時~26時頃に終わってから就寝するようにしています。」

※ALGSとは、Apex Legends Global Seriesの略称。世界規模で開催されているApexの大会。詳細はこちらの解説記事をご覧ください。(https://gamer2.jp/post/algs/

平岡さん「深夜まで練習をしているということですが、起床時間もそれに合わせて遅くしているのでしょうか?」

SIZU選手「専門学校に通っているので、朝の授業があるときはアラームをいくつもかけて起きるようにしています。授業がない日はひたすらランクマッチをやっています。」

平岡さん「かなりハードな練習や生活をしていると感じますが、それくらいやらないといけないのがプロゲーマーの世界ということですね。では、SIZU選手の現在の実力はどのような位置になのでしょうか?」

SIZU選手「私個人では日本ランクで8位、世界ランク400位くらいです。Quintetteはスクリム内のランクでは最高位のS+からSを行ったり来たりしています。」

平岡さん「単刀直入にお聞きしますが、そのランクは優勝を狙える位置なのでしょうか?」

SIZU選手「十分狙える位置だと思います。Apexは3ヶ月に一度調整が入り、ゲーム内の環境が大きく変わります。今はその変化にしっかり合わせていくことが課題です。」

◆Apexで食べていく?19歳が見つめる現在のシーン

平岡さん「Apexにハマったきっかけを教えてください。」

SIZU選手「高校2年生のときにプレイしてそこからハマりました。丁度コロナウイルスの感染者が増えていた時期で、友達に誘われてそこからずっとやっています。」

平岡さん「現在19歳だから高校2年というと、2年ほど前ですよね。当時と今の自分を比べて変わったところはありますか?」

SIZU選手「かなり変わりましたよ。以前は友達に教えてもらうことが多かったですが、今は日本上位のプレイヤーとなり自信もついてきました。それにともない、私の中でApexが楽しむものから競うものへと変わってきましたね。」

平岡さん「今ではガチでプレイしているということですね。チームにも所属して本気度合いもかなりのものだと思いますが、SIZU選手は今後もずっとApexのプロとしてやっていくつもりなのでしょうか?」

SIZU選手「もちろんそうしたいですが、現在Apexの人気が少し下がっていると感じています。私自信の知名度を上げて、Apex以外のゲームでも活躍したり注目してもらえたりできるようにしていきたいと思っています。」

平岡さん「しっかり現状と今後を見据えていらっしゃいますね。人気が下がっているといってもApexはまだまだ凄い人気のゲームですし、プロゲーマーという新しい働き方も注目されていると思います。ゲーマー以外の人からの反応ってどんな感じなのでしょうか?」

SIZU選手「私自身プロゲーマーについて聞かれて反応に困ってしまうこともあります。プロゲーマーなんて食べていけない、と言われることもありますね。」

平岡さん「では、プロゲーマーが食べていくためにはどうすれば良いと思いますか?」

SIZU選手「やはり知名度が大切だと思いますね。タイトルのパワーに依存せず、自分で稼げるだけ人気になっていくことが必要だと思います。」

平岡さん「最初は形にするまでは大変です。でも、リスクを負ってリターンを得るのは先陣を切った人ですよね。SIZU選手はシーンを冷静に見て将来を見据えているし、ただ楽しいからやっているのではないと感じています。」

◆賞金、実力 海外との差

平岡さん「Apexの大会では賞金は出るのでしょうか?」

SIZU選手「賞金はあるのですが、日本を含むAPAC Northという地域はあまり高い方ではありません。3人チームで行われるゲームなので1人あたりの取り分はさらに少なくなってしまいます。」

SIZU選手はチャージライフルが好きだそうです。対して平岡さんは3D酔いするためFPSは苦手なんだとか……。

平岡さん「では、Apexが強いのはどの国なのでしょうか?」

SIZU選手「韓国は強いですね。国がeスポーツを推進していることもあり、精鋭揃いで動きも洗練されています。日本はまだまだeスポーツやゲームのイメージが良くないですが、国を挙げて推進してくれるくらいになれば大きく変わると思います。」

平岡さん「そのためにもまずは世界で活躍して注目されることが必要ですね。」

◆eスポーツは地方でも盛り上がれる?

平岡さん「Quintetteのオーナーの乗松さんにもお話をお伺いしたいと思います。Quintetteはどういう団体なのでしょうか?」

乗松さん「Quintetteは静岡県袋井市をホームとするeスポーツチームで、2022年9月で5年目に入りました。」

平岡さん「eスポーツチームとしてはかなり長く続いていますね。」

乗松さん「今も昔もFPSを中心に活動していて、設立当初は『Rainbow Six Sege』(レインボーシックスシージ、以下R6S)のチームでした。『R6S』が5人チームだったことから音楽用語で五重奏を意味するQuintetteという名前にしました。加えて、静岡県はヤマハさんや河合楽器さんもあるのでマッチしているかと思っています。」

代表の乗松さんはオンラインで取材にご参加いただきました。

平岡さん「Quintetteさんからはテーマ性や静岡への愛情を感じますね。チーム公式サイトに紹介されているスポンサーさんを見ても、地元企業さんが応援してくれているのが分かります。」

乗松さん「静岡の企業さんからの応援は本当にありがたいと思っています。しかし、昔よりeスポーツが浸透してきているとはいえ都心に比べると地方は発展途上です。たとえば、秋葉原には企業とeスポーツがコラボした広告がたくさん掲出されていますが、そういう場所はまだまだ少ないです。」

平岡さん「場所を選ばないeスポーツは地方でも盛り上がれる素質がありますよね。」

乗松さん「静岡はサッカーが人気ですし、ラグビーの五郎丸選手が所属するチームもあります。フィジカルスポーツはかなり浸透しているので、eスポーツが盛り上がる土壌はあると感じています。」

平岡さん「スポンサー企業さんはどのように集めているのでしょうか?」

乗松さん「地元の企業さんから次の企業さんを紹介してもらって、という風にどんどん繋がっていっているという感じですね。今は皆さんの応援したいという気持ちに支えられているので、これからは恩返しをしたいと強く思っています。」

平岡さん「地元に育ててもらっているようなイメージですね!eスポーツチームって地域に関係なくどこでも作れますが、続けていくことが大事だと思います。そのためには地元の基盤が重要になるのではと考えているのですが、Quintetteさんはそのロールモデルになるのではないかと注目しています。」

◆イベント、研究協力で地域貢献

平岡さん「恩返しという言葉も出て来ましたが、今後どのように地域へ貢献したいと考えていますか?」

乗松さん「Quintetteがいるから静岡に来る、という人を増やしたいと思っています。ハンバーグで有名なレストラン”さわやか”に県外から人が来るのと同じイメージですね。また、YouTuberの東海オンエアさんは行政とコラボして経済効果を生み出しているので、そういう存在になれればと思っています。」

平岡さん「選手が活躍すれば注目されて静岡に人が来て、チームにも地域にも貢献できるということですね。こういった地域に根付いたチームはまだ少ないので、他のチームから運営に関して相談を受けるようなこともあるのではないでしょうか?」

乗松さん「チームよりも他の自治体や大学の団体からeスポーツをやりたいという相談が来ることが多いですね。Quintetteはチーム運営だけでなくイベント開催も行っているので、他の団体に協力したり、研究のためのデータを渡したりしています。」

平岡さん「そういったことは収益にもなっているのでしょうか?」

乗松さん「まだ収益の柱になるほどではないですね。現在はスポンサーさんの存在が大きく、次の収益源を模索しています。」

◆”脱・ざっくり説明”がスポンサー獲得の鍵?

平岡さん「チームとしては今後どのような活動をしていくのでしょうか?」

乗松さん「自分たちだけでイベントを開催していても限界があると感じているので、他の企業さんにも見てもらおうとしています。また、Web関連の企業さんと協力してeスポーツ全体の信頼度を高めていきたいと思っていますね。」

平岡さん「今後も新しいeスポーツチームが生まれてくると思いますが、長年チーム運営をしてきた乗松さんが考える、新規チームにとって欠かせないことは何でしょうか?」

乗松さん「チーム運営にはとにかくスポンサーの存在が重要です。しかし、立ち上がったばかりのチームはまだ何者でもなく企業から興味を持ってもらうことは難しいです。まずはファンを増やす必要がありますね。」

平岡さん「何者でもないところから応援してもらえるところまでいくのは最大の壁だと思います。企業から興味を持ってもらうために必要なことって何でしょうか?」

乗松さん「真摯に向き合うことだと思います。たとえば、Quintetteでは企業さんにお話をする際には、eスポーツとは何か、どんなチームかというところから丁寧に説明するようにしています。Apexとはどんなゲームで、どれくらい流行っているのか、芸能人でプレイしている人なども交えて分かりやすく伝えるようにしていますね。」

平岡さん「eスポーツチームって説明はざっくり、料金はしっかりというところも多いと思います。Quintetteさんの姿勢は他のチームのお手本になるのではないでしょうか。」

◆目指すは日本一!

平岡さん「最後に、お二人の現在の目標を教えてください。」

SIZU選手「今は大会がひと段落したところなのですが、前回あまり振るわなかったので次のシーズンで良い結果を出したいです。」

平岡さん「それでは、乗松さんからはチームオーナーとしての目標を教えてください。」

乗松さん「日本一を取りたいですね!どのタイトルでも日本一というのは存在感が大きいので!」

平岡さんとQuintette Shizuokaのお二人の対談、いかがだったでしょうか。

SIZU選手はプロチームに所属してわずか約2カ月でしたが、現状のシーンを把握し、がむしゃらにゲームをするのではなく今後のことを考えているのが印象的でした。また、オーナーである乗松さんは非常に地元への愛情が深く、チームだけでなく地域を盛り上げたいという強い意思がありました。静岡はeスポーツが盛り上がる土壌が十分にあるということなので、今後もQuintette Shizuokaが盛り上げてくれることに期待しちゃいます!目指せ、eスポーツ版”さわやか”!

▼Quintette Shizuoka公式サイト
https://quintette.jp/
▼Quintette Shizuoka公式Twitter(@esportsQT)
https://twitter.com/esportsqt
▼SIZU選手Twitter(@sizu_otaku)
https://twitter.com/sizu_otaku

▼テマヒマ平岡さんの新プロジェクト「GACHI GAMING」がスタートしました
https://gamer2.jp/post/news-221108/
▼ガチサプ公式サイト
https://gachisup.com/

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