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【よろず連載第4回】「2030年、eスポーツプレイヤーの能力が数値化される。」《全6回》

◇ よろず
「三度の飯よりゲームが好き」を公言するeスポーツライター。以前は静岡に拠点を置くeスポーツチーム「Quintette」に所属し、現在はeスポーツ企業RATELでVOLBOX MEDIAを主に活動している現在、大学1年生の18歳(2020年4月入学)。執筆中のnoteでは7,600フォロワーを誇り累計PV数150,000以上をたたき出す。
note:https://note.com/yoro2u

こんにちは、よろずです。

もう4回目となるこの連載なのですが、段々と自分的に未来はこうなってほしいという記事に寄せていこうかなと思っていて、今回は「プレイヤーの能力が数値化される未来」というテーマで記事を書いていこうかなと思っています。

とは言っても、ゲーマーにとって数字や能力が数値化されることって物凄く身近だと思うし、そもそも10年後、近未来な感じってあまりしないと思うんです。

ただ自分は能力が数値化される未来に物凄く可能性を感じているし、10年後の社会に寄せる思いを、この記事を通すことで皆さんに発信することができるのです。

「プレイヤーの能力を数値化するということ。」

ゲーム好きの方であれば、ポケモンのレート戦、パズドラのランキングダンジョン、Apex Legendsのランクマッチなど、自分がそのゲームでどの地位に存在しているのか、そして数値として自分を評価されることを当たり前のように認知していると思います。

この数値化の制度によってどんなメリットがあるかというと、言うまでもないですが、自分がどれほどそのゲームが上手いのか、知識を持っているのかという指標となりますし、ゲームを続けていく上での目標設定にも成りえます。

大会がまだ整っておらず、リリースされて間もないゲームにおいては、そういったゲーム内での順位を参考に選手を募集するケースだってあるわけですね。

それが出来るのが2020年の今日。
僕が望むのは、より強さやプレイヤーの情報が細分化された2030年のeスポーツです。

少し自分の話をさせていただきたいのですが、もともと僕はQuintetteというeスポーツチームで、運営のお手伝いをしていた時期がありました。

eスポーツの良さは何かと言われたときに、僕は「誰にでもチャンスがある」所であると断言できます。

芸能事務所の様に、わざわざ東京に赴いてオーディションを受ける必要も基本的にはないだろうし、少なくともQuintetteでは実際に拠点である静岡に赴く必要はありませんでした。

しかし、そのチャンスは誰にでもあるだけで、「誰もがチームに所属できたり、プロになれる」という確証はありません。

凄い現実的な話をしているのではなくて、あくまでも「人間性」という意味です。

勿論メンバー募集をかけた際に、声をかけてくれたゲーマーの人たちと通話して最低限のマナーや言葉遣いの確認はするのですが、実際過去にSNSやゲーム内でどういう発言や行動をしてきたのかは追いきれないことが多いです。

勿論遊び半分の煽り行為は許されても良いというか、立場も伴っていない部分なので、そこを問う必要はありませんが、もし過去の作品でチートを使っていたりだとか、現にそのゲームで過度に人を不快にさせる発言をしていれば、チームではその人を尊重することはできません。

もし仮に、そういった発言、チート歴があった時に、レートやランクと同じようにその過去が数値として残っていれば、eスポーツ側としてその人を判断することがとても容易になりえます。

もう少しeスポーツが発展すれば、そういったビジネスも展開されるかもしれません。

選手を研究し、過去の実績を換算し、数値を出してチーム側に提供する。
当然チームで直接選手と話さなくなることはないでしょうが、eスポーツビジネスの大きな発展になりえるのではないでしょうか。

しかし、人間が数値で表されたり、そういった自由なインターネットの環境やゲームの世界まで現実の人間に監視されてしまうとなれば、あまり良い気がしない人たちや意見も多く生まれてくると思います。

人間を数値で評価するということには、多くの議論が必要になると考えます。

「人間を数値で表すことは、本当に正しいことなのだろうか。」

とはいっても、今僕一人部屋でカタカタしてるだけなので、僕個人としての意見をここに書いていこうかなと思います。

ちょっとさみしい

そういえば先ほどちゃんと話していなかったので、人間を数値化することのメリットを改めて話しておくと、法人格企業であるeスポーツチームが、その人と本当に長期的な契約を結んで良いのかの判断基準がより明確になるということ。

その実数値が細かくなればなるほど、その選手の信頼に繋がってくるので、チームやスポンサーが適切な金銭投資が可能になります。

そしてその数値が現れるということは、一般層にも評価されることとなり、その上昇傾向や下降傾向を判断することで、選手の応援のモチベーションにも繋がるのかもしれません。

簡単に自分が思いつくかぎりのことを書いてみましたが、数字が全てではないということが念頭にあったとしても、よりeスポーツという競技が高度なレベルに成長できるのではないかと思います。

しかしながら、その数値が現れることで、当然人間の優劣がはっきりしてしまうということも事実であります。

例えば僕がずっと頭を悩ましてきた「偏差値」が数値化するということの代表例ではないでしょうか。

偏差値が高ければ頭がいい子、偏差値が低ければ頭の悪い子。
勉強が嫌いだった僕は、常に後者でありました。

eスポーツを通じて学びましたが、学歴というのはゲームの実績と何ら変わりはなくて、やはりこれまでの人生を通して何を頑張ってきたかという指標は、結局学歴が一番分かりやすいんですね。

基本的に勉強は嫌いな人間の方が多いと思うので、自分が好きなこと意外も努力できるというアピールが出来るのは、とても人間の価値を高めていると思います。

もしeスポーツも、このような「ゲーミング偏差値」の導入を始めるのであれば、この10年間という間で、数字というものの存在を明確化していく必要があるように感じています。

あくまでも自分の思い込みなのかもしれないのですが、人間は楽な方を選んでしまうというか、実際僕は楽な方を選んでしまう人間です。

辞書で漢字を調べる前に、スマホの変換でその漢字を調べた方が早くて良いと思うし、実際人を選択するという経験をして、「全員数字で見えたら良いのにな~」と思った経験がこの記事のネタになっています。

なんの根拠もないんですけど、多分最初に偏差値を導入した人も、「学生一人ひとり判断するのめんどくさいから数字にしちゃお~」って言ったと思うんです。

その結果、学校側は効率よく合否を決めることが出来るようになり、反対に自分も学生のほとんどが偏差値で自分の優劣を測るようになり、「勉強が出来る=偉い」という価値観が生まれてしまった様に感じます。

それと同じように、eスポーツが数値を導入することで、今もたまにネットで話題になる「ゲームが上手い=偉い」という価値観の証拠付けになってしまうようなことだけにはなってしまってはいけないと思います。

「毒を以て毒を制す」ではありませんが、数値がもたらす価値観を変えるためには、同様に数値を用いる必要があるように感じます。

自分はスプラトゥーンというゲームが本当に大好きで、長い時間をかけて上達のためにプレイや知識を学び続けた経験があります。

大会において、「チャージャー」を始めとした所謂”後衛武器”は、チームにおいて非常に重要な立ち位置になるのですが、ガチマッチ、オンラインで世界中の人々と戦う際に、マッチングする味方の武器次第で、勝敗に大きく関わってしまうことが多々ありました。

ゲームにおいて、役割としてチームに必要なのに、勝敗だけでその人を評価するとあまり良い点数を得られないということは、ゲームを愛する身としてとても悲しいものがあります。

同時に現在世界中で流行している「VALORANT」では、ゲームの状況を素早く判断し、味方に合図を出す指示の役割に就く人間は、指示が第一優先となるので、ゲームだけの戦績を見た時に正当な評価を受けられない場合があります。

現在のゲームの制度では、プレイヤーの強さを評価することは出来ないと思っているし、一方で、ゲームバランスの調整段階やゲーム設計のバランスにおいて過大評価されているプレイヤーもいるのではないでしょうか。

eスポーツが競技性がものを言う世界なのであれば、選手は正当に評価される必要があるし、ゲームという世界だからこそ、ちゃんとした評価というものが出来るのではないかと思います。

「数字は恐ろしいからこそ、正しい使い方で使わなきゃいけない。」

実際、ゲームが上手い人間の基準は、明確には分かりません。

少なくとも日本では、ゲーム内のランキング=プロというわけではないし、先日行われたクラロワ最強決定戦では、多くのプロが参加している中、アマチュアであるPandora選手がその栄冠を手に入れました。

冒頭に話しましたが、本当にゲームって誰にでもチャンスがあるなあと思うし、面白いなとも思うのですが、だからこそ報われなかったり、まだまだ運要素が高いと言わざるを得ない問題点が多数存在すると考えています。

普段当たり前すぎて意識することはほとんどありませんが、SNSにおいても数字を気にし続ける人達が多いのではないでしょうか。

フォロワーの数を気にしたり、いいねの数を気にしたり、かくいう私もこの記事や普段の仕事でのPVを気にしながら生きています。

自分のやる気に繋げられるのも数字ですし、悩まされるのも数字です。

2030年、プレイヤーの能力が細かく数値化されることで、一見劣っていると思われるプレイヤー達も、長所が映し出されることで、活躍出来るチャンスが増えるのでは無いでしょうか。

そんなeスポーツを作ることが出来れば、国民に対して、数字だけではない大切さに気付かせられるかもしれません。(第4/6回 完)

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