今回は群馬県にある桐生第一高等学校(以下、桐生第一)のeスポーツ部をオンラインインタビュー!
『第4回全国高校eスポーツ選手権』のロケットリーグ部門に3チーム出場し、1チームがブロック決勝に進出した桐生第一eスポーツ部。
設立からわずか1年弱で結果を出した大会の裏側や、群馬県の学校特有と言われる”アレ”のお話などを伺いました!(取材日:2021.12.14)
取材にご参加いただいたのはこちらの5名!
写真左から…石川美都さん(高3)、斎藤健翔くん(高3)、萩原亜美花さん(高2:部長)、高橋悠太くん(高2:副部長)、石井志昴くん(高3)
パソコン部がeスポーツ部に!?部活動の変遷
――早速ですが、eスポーツ部に入ったからこそ体験できた!と思うことはありますか?
「学校でeスポーツをやっているところは少ないと思うので、新鮮な経験ができたと思います。」
「元々僕らはパソコン部として活動していたのですが、そこからeスポーツ部に変わったことはいい経験だったのかなと思います。」
――パソコン部として活動していたんですね!eスポーツ部となって良かったことはありますか?
「eスポーツ部でなかったらゲームの大会に出る機会はなかったと思うので、そういう経験が出来たのはよかったです。」
――萩原さんと高橋くんは数か月前に部長と副部長になったと思いますが、部長・副部長として活動していて大変だったことはありますか?
「皆が主体的になって行動をしているので、大変なことはまだ起きていないです(笑)。」
――部員の皆さんが自ら行動してくれるのは助かりますね!3年生の皆さんは引退ですが、卒業後もeスポーツの活動をしたいと思いますか?
「機会があればやってみたいなとは思っているんですけど、腕前が足りないなと感じるので、今よりも上手くなれたら大会にも出てみたいですね。」
「パソコンを触ること自体苦手なので、多分これで終わりだと思います。」
――パソコンが苦手なのにパソコン部に入部したんですね。それにはどんな理由があるんですか?
「小中学生の頃タイピングが苦手だったんです…。将来社会に出るとパソコンを使う機会が増えるので、これだとまずいなと思って入部しました。」
――小中学生の時にタイピングってそんなに得意になるものなんですか?(驚)今はもうブラインドタッチまで出来るようになりました?
――それはすごい!パソコン部に入った甲斐がありますね!(笑)
創部1年でブロック決勝進出!経験者がいない?
――今年、『第4回全国高校eスポーツ選手権』のロケットリーグ部門でブロック予選の決勝まで進出されていましたよね。以前からロケットリーグをプレイしたことがあるメンバーはいたんですか?
「自分が昔に1か月くらい触ったことがある程度です。」
――プレイ経験者が少ししかないという状態で、約1年で結果を残すことができたのは素晴らしいですね!それでは、部活動として今後の目標を教えてください。
「来年の『全国高校eスポーツ選手権』に向けて、ロケットリーグ部門以外の2つのタイトルも練習しています。そこでもいい結果を残したいです!ロケットリーグ部門で残せた実績はこの部活に記録として残るので、さらに上を目指したいですね。」
――大会に出場して、思い出に残ったことはありますか?
「中学の時は帰宅部だったので、コンテストや大会にも出たことがなかったんですよ。だからeスポーツで初めて大会に出場したんです。そこで大会の空気などを体験出来てよかったです。」
「eスポーツの大会に出るのはそれなりの自信と腕前がないとできないと思っていたので、出場できてよかったなと思います。またブロック決勝で対戦した相手がとても強くて、同じ高校生でも強い人がいるんだなと感じました。」
「同じゲームをプレイしていても一人一人プレイスタイルが違って、勉強になることが多かったです。」
――初めて大会に出たという方が多いんですね!ちなみに出てみて緊張はしなかったですか?
「大会が初めてだったので、対戦相手がその場にいないもののめちゃくちゃ緊張しました。」
――緊張を抑えるためにしたことはありますか?
「いや…緊張してたら試合が終わっていたので何も(笑)。来年はどうにか慣れられたらいいなと思っています。」
――大会には3チーム出場していましたが、チームメンバーはどうやって決めたんですか?
「自分たちで話し合ってバランスよく決めました。この人はこれが得意だからあの人と組んだ方がいいよね、みたいな。」
――話し合いで決めたんですね。それに異議が出たりしなかったですか?
「それはなかったですね。2,3日ですんなりと決まりました。」
群馬の号令は「注目」!?
――聞くところによると、群馬県の一部の学校では授業で行う号令が「起立、注目、礼」だということなんですが…桐生第一高校でもそうなんですか?
「はい、同じです。群馬県の学校ではそれが一般的になっていますね。小学校や中学校も同じなんですよ。」
――県全体でなんですね!もしこの中に県外出身の方がいればお聞きしたいですが、最初違和感はなかったですか?
「私は県外出身なんですが、『お前はまだグンマを知らない』という漫画を読んでいたので知っていました。ただ日直になった時は頭の中でずっと意識していました(笑)。」
――そういった漫画があるんですね!読んでみます!(笑)号令で「気を付け」の代わりに「注目」ということなのですが、行動に違いはあるんですか?
――そうなんですね。「注目」であることにはどんな意味があるんですか?
――先生に顔を合わせろ、ということなんですね。他にも群馬県には「上毛かるた」というものがあり、地元ではかるた文化が浸透していると聞きました。内容を暗記している人はいますか?
一同「あんまり覚えていないです(笑)。」
「一定の年齢を超えた層は暗記が当たり前だったので、それが群馬県民かどうかの区別に使われます(笑)。『それが言えたら群馬県民だ!』みたいな。ある種の合言葉になっています。」
――ここでジェネレーションギャップが生まれているんですね。何か覚えているものがあれば教えていただいてもいいですか?
一同「おぉー」
――実はちゃんと根付いているみたいですね(笑)。ところで石川さんと石井くんがジャージのような上着を着ていますが、それはユニフォームですか?
「制作中のユニフォームの代わりです。今日は学校のイベント用に作成したものを着てもらっています。」
学校のイベント用に作成されたというオシャレなパーカー。袖の文字パターンが2種類ある。
夢の実現に向けて!
――皆さんの将来の夢や、今後やってみたいことはありますか?
「まだぼんやりとなんですが、動画編集と投稿をやってみたいですね。あとはゲーム作成もやってみたいです。」
「小さな頃から家やインテリアが好きなので、建築士の資格を取ったりインテリアデザイナーになったりしたいです。そして自分の好きな家を建ててみたいですね。」
「将来事務や会計の仕事に就きたいと思っています。先輩の進路の話を聞いていて自分はこれでいいのかと迷うことがあったのですが、オープンキャンパスに行くようになって『自分がなりたいのはこれだ!』と気づけました。そのために検定などを受けていきたいと思います。」
「僕は進学してプラグラミングを学びたいと思っています。ゲームまだまだチートがあるので、それを阻止できるアンチチートシステムを作りたいです。今あるものよりももっと良いものを作りたいですね。」
「安定して稼げていけたらいいなーくらいですね。それくらいしか言えることがないです(笑)。」
――生徒の皆さん、ありがとうございました!
続いて、先生方への取材をお届けします!
1人の生徒が学校に変化をもたらした!?
――よろしくお願いします!eスポーツ部が今年に新設されたとのことなんですが、どのような経緯で設立に至ったのでしょうか。
「元々パソコン部として3年ほど活動していたんですが、活動内容が定まらない状態だったんです。そんな中eスポーツが教育現場でも認められるようになり、生徒からも『やりたい』という声が上がってきました。また、学校の経営上の戦略が合致したということもありeスポーツ部として生まれ変わりました。」
――差し支えなければその経営上の戦略を教えていただいてもよろしいですか?
「入学してくる生徒にとって魅力ある学校となることです。生徒のやりたいことができる学校としてパソコン部が出来るのはeスポーツだったということですね。」
――eスポーツ部となってから、入学を希望する中学生から反応はありましたか?
「オープンスクールでお披露目しているのですが、多くの中学生の方に興味を持っていただいて、『入りたい』と言ってくださっています。」
――中学生に魅力がちゃんと伝わっているのが感じられますね。群馬県には他にもeスポーツ部がある高校がありますが、そこと連絡を取り合ったりしているんですか?
「まだそこまではできていないのですが、県内ではもう一校あるので、今後は練習試合の打診をしていきたいと考えています。また群馬県がeスポーツを推進しているので、声をかけて頂き動画出演しました。そういったところと連携してeスポーツの魅力などを発信していけたら良いなと思っています。」
◇桐生第一高等学校eスポーツ部が出演している動画
「esportsストリーム「#4 高校生×eスポーツ(その1)」| eスポーツ・新コンテンツ創出課 | 群馬県」
――群馬県は19歳以下のeスポーツ大会『U19』も企画していますし、県全体で盛り上げていく取り組みが始まっているんですね。ちなみにeスポーツ部で扱っていくタイトルはどのように決定していますか?
「出場をしようとしている大会で扱われている『ロケットリーグ』、『リーグ・オブ・レジェンド』、『フォートナイト』の3タイトルをメインに採用しています。」
――主要な高校生eスポーツ大会を目標に置いているということですね。先生方はゲームの指導を行ったりするんですか?
「私たちはその3タイトルの経験がなく、下手すると生徒の方が上手いという状態なんです(笑)。私はパソコンが得意というか好きなので、主にネットワーク管理や設定をしています。指導の面で言うと、過去に『STAGE:0』のフォートナイトで準優勝したチームが桐生第一の卒業生なんです。小島※という生徒だったのですが、彼に協力してもらおうと話を進めています。」
※『STAGE:0 2019』フォートナイト部門で準優勝した小島ディエゴくんは、以前ゲーマーゲーマーにて取材をさせていただきました!
◇小島ディエゴくんの取材記事
2019.10.11史上初の開催となり、今年8月に全国の高校生eスポーツプレイヤー達を熱狂の渦へと巻きこんだeスポーツ甲子園『STAGE:0』☆そんな大会の中でも人気タイトルとして激闘を繰り広げた「フォートナイト」部門にて見事に準優勝を果たしたのが、...
2019.10.12前回は『STAGE:0』フォートナイト部門にて準優勝を果たした小島ディエゴくんの「独占インタビュー!~前編~」として、大会決勝出場までの軌跡をお届けいたしました…☆そして今回は、高校生としての顔を持つディエゴくんのライフスタイルや...
――そうなんですね!彼が在校生だった当時は桐生第一にeスポーツ部がなかったと思うのですが、学校内での影響はあったんですか?
「あの時は学校からは非公式に出場していたのですが、良い成績だっただけに学校でeスポーツをやる雰囲気が生まれました。それがeスポーツ部を作るきっかけにもなったと思います。」
――とても寛容な校風だと感じますね。非公式参加だったということですが、当時は準優勝を祝う横断幕が飾られたと聞きました。
「基本的にプラスになることは勉強だけではないと考えているんです。教室だけが授業の場ではないので。」
――先生の皆さん、ありがとうございました!
いかがでしたか?
生徒や先生だけでなく、学校としてもeスポーツに前向きな桐生第一。恵まれた環境で練習を積む生徒たちが今後どのように活動していくのか、とても興味深いですね。
また生徒の皆さんに関しては将来やりたいことがはっきりとしている生徒が多く、高校生ながらしっかりしているなという印象を受けました!
ゲームという面で言えば石井くんは今のアンチチートシステムを超えるものを作りたいというお話もありましたので、深刻なチート問題に終止符を打つ人になってほしいですね!
ゲーマーゲーマーでは引き続き高校eスポーツ部に取材を続けていきます☆次回をお楽しみに!