格ゲープロ はやお選手 “はやお流”のゲームの遊び方【後編】
いよいよ12/15(水)20:00より開催!定員に限りがございますので参加申し込みはお早めに!
参加申し込みサイト(こくちーずプロ):https://www.kokuchpro.com/event/chuutate02/
「PGWはやお選手取材 前編」では、はやお選手がゲームを始めたキッカケや学生時代のお話などをたくさん聞いちゃいました!今回の後編ではより話を掘り下げて、練習やゲームに対する考え方などについて伺いました。それでは早速お写真と共に取材内容をお届けします☆(取材日:2021.10.22)
〇ゲームを楽しむために大切なのは「○○を楽しむこと」?!
――はやお選手は格ゲーの練習をするときはどんな練習を行っているのですか?
はやお選手「基本的には自分のやりたいコンボや技の練習ですね。実戦で使えるかは分からないですが、自分の気持ちいいと思う技を練習することがほとんどです。」
――対戦よりも1人でのトレーニングを行っているということですか?
はやお選手「対戦は対戦で結構やります。ただ練習するときは先ほど話したことをするだけです。でも自分は練習中よりも対戦の中で考えることが多いですね。トレーニングモードやキャラの特性を調べたりすることが面倒で、結構人に直接聞いちゃうことが多いです。すぐに再現できる技は調べますが、難しい技は聞いた方が早いと思うんですよね。」
――練習と対戦を分けるとは、格ゲーならではの慣習かもしれません。
はやお選手「でも今の流れは違っていて、いきなり対戦に行く人がほとんどだと思います。それで中級者にボコボコにされて『面白くない!引退だ!』ってなっちゃう人が多いんです(笑)。」
――お話を聞いていると、やはり格ゲーは勉強が結構必要なゲームなんですね。
はやお選手「手っ取り早く上手くなりたいなら人に聞いた方が効率はいいです。ただ僕はあまり推奨しません。なぜなら自分で色々調べて楽しみたいプレイヤーもいると思うからです。」
――攻略サイトを見ずに自分の力で楽しみたいって感じに近いですね。
はやお選手「僕もどちらかというとそっちのプレイヤーですね。最近プレイしている『MELTY BLOOD: TYPE LUMINA』では発売2、3日後にはすごい連続技がもうネットに上がっていました。でも発売から1週間経過するまではそこをあえて見ずにプレイしていましたね。」
――はやお選手は自力で攻略していくタイプなんですね。
はやお選手「僕は1つ強く思っていることがあって、それは『初見の感じ方はそのときしかない』ということです。そこの感じ方はゼロでいきたいんですね。分かりやすくいえば“ネタバレ禁止”みたいな。早く上達するってよりは、せっかくのプレイだから自分の触りたいように遊んで満足したら攻略を見るという感じです。でもそこも人それぞれだと思います。」
――攻略を見ることが当たり前の今、攻略自体を楽しむ考え方は大切ですね。
はやお選手「クリアしたときに攻略とかRTA(※)を見ると「『こんな道があったのか!』と答え合わせすることも楽しみ方の1つですね。答えを最初に見てしまうとその時の感情って絶対に味わえないと思うので、最初は迷いながら遊ぶことが大好きです。」
(※)RTAとは、Real Time Attackの略。ゲームのクリア時間を競うプレイスタイルのこと。
〇「なんなら大会だってそこまで興味ないんです。」勝つことと、楽しむこと
――「攻略を楽しむ」過程が楽しいと仰っていましたが、最近は効率を求めるプレイの風潮が強いように感じます。これに関してはどうお考えですか?
はやお選手「対人戦は勝てないとストレスが溜まるので、ストレスを軽減するために攻略を見にいくのはいいんじゃないかと思います。ただ問題はそのストレスとの向き合い方ですよね。」
――ストレスとの向き合い方、とは?
はやお選手「簡単にいうと自分との向き合い方ですね。人それぞれこだわりはあると思うので、それで勝っても負けても楽しいが続くのであればそれでいいし、ストレスが大きいなら考え方を変えればいいんです。大事なのは負けたときの向き合い方です。効率厨(※)も悪くないですが、それは人ごとの向き合い方によって変わるものだと思います。」
(※)効率厨とは、ゲームでの勝敗や最速クリアなど“効率”にこだわって遊ぶ人。プレイスタイルの一つだが、効率を求めすぎるあまり楽しむことを忘れてしまうような人を指す場合もある。
――格ゲーにもメタ(強くて流行っているもの)を多用する“効率厨”が多いということはあるのですか?
はやお選手「あるにはありますね。ただそれはプレイヤーの考え方次第で、勝ちたいって強く思う人は強キャラを使いますし、操作時の楽しさを優先してキャラを選ぶ人もいます。これに関しては“勝ちたい”と“楽しい”のバランスだと思っています。」
――プレイヤー次第ということですね。
はやお選手「格ゲーは対戦も醍醐味だけど、あくまで対戦は1つのゲームモードですからね。なので格ゲーを1人用の“アクションゲーム”だと捉える人もいるんです。人によって格ゲーの見方が違うってことですね。中にはシナリオを見るためにプレイする人、音楽やビジュアルが好きで格ゲーをやる人だっています。」
――格ゲーは他のゲームジャンルと比べて色々な楽しみ方をするプレイヤーが多いのですね。ではなぜ他のジャンルと違ってプレイヤーの個性が出るのでしょうか?
はやお選手「一言でいえばプレイヤー層の違いですかね。格ゲーはいうならおじさん世代が多いジャンルで、昔からずっとプレイしてきた人がほとんどです。なので新作が出ても自分の戦い方やこだわりが染みついている人が多いんです。」
――まさにはやお選手がそうですね!
はやお選手「僕なんかそうですね。勝つことよりも自分が楽しいと思うことを続けてきたプレイヤーなので。なんなら大会だってそこまで興味ないんです。」
〇はやお選手は“プロ格闘ゲーマー”ではない?!
――はやお選手といえば高速でレバーを2回転させることで成立させる“立ちギガス”(※)が有名ですが、あの技はどうやって覚えたのですか?
はやお選手「その時に流行っていたネット掲示板で立ちながら技を出せるって話を聞いて、挑戦したんです。そして練習したらたまに出来たんですね。なので自分が先駆者というわけではないです。」
(※)立ちギガスは『ストリートファイターIII 3rd Strike』のヒューゴーの必殺技「ギガスブリーカー」を立ち状態から繰り出すこと。ギガスブリーカーを出すにはレバーを2回転する必要があり、上方向を経由するため通常はジャンプが出てしまい立ち状態のまま出すことは難しい。立ちギガスを成立させるためには素早く正確なレバーさばきを求められる。
――なぜ立ちギガスを覚えようと思ったのですか?
はやお選手「あの技は基本1回ジャンプを挟まないとできないんです。ただそれを挟まずに繰り出せたら凄いじゃないですか。それが出来たときはとても楽しかったこともあって練習しましたね。」
――はやお選手らしいエピソードですね。
はやお選手「僕はどちらかというと格ゲーを課題をクリアする“チャレンジモード”みたいな遊び方をしています。出来るか出来ないか分からないことをやってみて、出来たときって楽しいですよね。そういった考え方を根底に格ゲーを遊んでいるんです。」
――でははやお選手は“楽しいことにチャレンジすること”が格ゲーでのこだわりや美学だったりするのですか?
はやお選手「そうですね。自分が面白いと思ったことをやる、逆に面白くないと思ったものはそれが有用な戦術でもやらないです。ただ気分によって変わることもあるので「今日はそんなに抵抗がないな」と思った日にはやりますね(笑)。」
――面白いことが最優先なのですね!
はやお選手「自分が面白いと思えないところで頑張っても意味はないと感じています。そういう面ではゲームをeスポーツとして見たときには自分のことをプロとは思っていない部分もありますね。」
――はやお選手はいい意味でプロゲーマーっぽくないかもしれませんね。
はやお選手「個人的にはプロゲーマーの名義はそこまで気にしていないです。やっていることがストリーマーといえばストリーマーだし、RTAプレイヤーといえばRTAプレイヤーですからね。ただそれが今はプロゲーマーという形になっているんです。もしそれがプロゲーマーではないといわれたら、プロゲーマーでなくてもいいかなと思っています。」
――はやお選手にとってプロゲーマーはどんな存在ですか?
はやお選手「プロゲーマーは大小問わない感動を起こしたり、大会や報酬みたいなものを生み出したりできるものだと考えています。何かしら与えることが出来る人なのかな。」
――生み出す力がある人ということですね。
はやお選手「プロゲーマーだからこうしないと!みたいなことは気にしていないです。他の格ゲーのプロゲーマーの方だと特定のタイトルをずっとプレイしている人もいるんですけど、僕の中ではそれだとプロ“格闘”ゲーマーだなと思っちゃいます。個人的な感想ですが、プロゲーマーならもっと色々なゲームをプレイした方がいいのではないかと感じています。」
――戦績を追い求めるだけでなく、人に面白いと感じさせる存在が、はやお選手にとってのプロゲーマーなんですね。
はやお選手「自分が面白いと感じないと周りも面白いと感じてくれないというのが持論です。なので自分が楽しいと思えるものをどんどんやっていきたいと思っています。そして自分の活動を見てくれた人たちがゲームを始めてくれたりすると、自分は人に何か与えられたんだなぁと感じますね。それが出来たらプロゲーマーですね。」
〇気づいたらRTAで世界1位。プレイとやり込みのに共通するキッカケ
――はやお選手のチャレンジ・面白いことが好きという性格から、なぜRTAも始めたかということも容易に想像できますね。でははやお選手は『Jump King』と『Pogostuck: Rage With Your Friends(以下、Pogo)のRTAを始めたきっかけは何だったのでしょうか?
はやお選手「『Jump King』は格ゲーマーの間で話題になったので始めました。実際にプレイしてみたら面白くて、気づいたら特殊プレイで世界1位になってました(笑)。なのでRTAをやりたくて始めたのではなく、結果としてRTAに挑戦したって感じです。」
――Pogoはどういったキッカケで始めたのですか?
はやお選手「『Jump King』で知り合った人がPogoをプレイしていたので、『面白そう!』ってコメントを送ったらSteamギフトでゲームを贈ってくれました。ゲーム自体は結構難しかったのですが貰ったからにはやらなきゃと思い、そのまま全実績解除までいきました。」
――2タイトルともRTAのために始めたのではなく、ゲームが面白かったから結果として始めたって感じなんですね。
はやお選手「RTAのためにそのゲームを始めるというのは大きな勘違いで、格ゲーで例えると大会のために格ゲーを始めるみたいなものですね。普通はゲームが面白くて大会にも出てみたいって思いますよね。その方がゲームも嫌いにならないと思います。」
――確かに普通はそうですよね。
はやお選手「ゲームが面白ければ、自然と突き詰める作業に入ると思いますね。ただいきなり突き詰める作業から入ると絶対にしんどいです。もっといえば突き詰める作業だけだったら『Jump King』でなくてもいいわけです。RTAプレイヤーの多くはそのゲームが大好きって人が多いんですよね。だからこそやり込んでいるんです。ゲームが面白いが前提で、その延長線上にRTAがあるんですね。」
――でははやお選手が今後気になっている、もしくは挑戦したいと思うゲームはあったりしますか?
はやお選手「今のところパッと思いつかないですね。面白そうって思ったらやるだけなので。遊んだ結果クリアするだけで面白いのだったらそれだけで終わるし、RTAをやる気になったらやるし、そこは自然とそうなりますね。」
〇これからも続けたいこと
――最後に今後の目標や意気込みを教えてください!
はやお選手「自分の生活で意識していることそのままですが、自分が面白いと思って行ったことが見てくれた人にも繋がっていったら1番いいなと思います。その活動をずっと続けていくことが目標です。ただそれを広げるには自分自身が面白く感じないといけないので、これからも頑張っていきたいですね。」
――はやお選手、本日はありがとうございました!
はやお選手のインタビューはいかがでしたでしょうか。今回の取材ではやお選手がどのようなプレイヤーなのかがよく分かりましたね。格ゲーもRTAも結果に関係なく好きだからやる、ということはとても大切なことだと思いました。今はゲームも競技化が進み息苦しさを感じている人も少なくないと思います。だからこそはやお選手のように初心に帰り「ゲームを好きになる」ということを思い出していきたいですね。
今後もゲーマーゲーマーはプロゲーマーの方々やeスポーツプレイヤーなど、様々なゲーマーを取材していきます!次回もお楽しみに☆
はやお選手がゲスト出演のイベントが開催されます!
12月15日(水)20:00~にはPGWのはやお選手、伝説のオタク選手が出演するイベントをゲーマーゲーマーより開催いたします。
イベントでは質疑応答の時間もありますので、直接PGW選手やトレーナーの桑原さんにお話しをお伺うチャンスも!実際に前回のイベントでは参加者の方から寄せられた質問にPGWのレン選手、神園選手、そして桑原さんが丁寧に答え、軽妙なトークもあり非常に盛り上がりました!(参加者とのお話の中で、桑原さんの驚きのご年齢も発覚しましたよ☆)
今回もゲームやコンディショニングについてのぶっちゃけトークを繰り広げる予定ですので、より深くはやお選手のお話を聞きたい方はぜひご参加くださいませ。