遂に高校日本一!クラーク記念国際「Yuki飯食べ隊」を取材!

2021年12月26日に行われた「第4回全国高校eスポーツ選手権」のリーグ・オブ・レジェンド(以下、LoL)部門で高校eスポーツの歴史が動きました!

絶対王者、N高の『N1』を準決勝で抑え、決勝でアートカレッジ神戸『ACK A』に勝利したクラーク記念国際 CLARK NEXT Akihabara『Yuki飯食べ隊』が遂に日本一に輝いた瞬間は、当編集部も衝撃を受けました。

2019年、夏のeスポーツ甲子園「STAGE:0」では予選敗退という辛酸をなめ、「第2回全国高校eスポーツ選手権」以降、全国大会では毎回ブロック大会決勝や本選決勝まで進出するもN高という高い壁に阻まれてきたクラーク記念国際。

高校生eスポーツシーンのLoL部門では決勝大会常連校が続々と登場してきていますが、その中でも常に注目度が高かったのがN高とクラーク記念国際の精鋭チーム対戦でした。

そんな『Yuki飯食べ隊』のメンバーは、どんな思いで今回の大会に臨んだのか…?決勝大会を振り返りつつ、遂に『Yuki飯』を食べることはできたのか!?などなど質問してみました!(取材日:2022.1.11)

Yuki飯食べ隊
写真順…nanabito選手(田中勇輝くん 高3)、borutu選手(上野壮志朗くん 高3)、Galaxy選手(田中大智くん 高2)
toriyaki選手(菅野珀冬くん 高2)、siroshi選手(鬼島至雄くん 高3)

遂につかんだ優勝トロフィー!夏の大会『STAGE:0』決勝敗退からどんな変化が??

――この度は優勝おめでとうございます!皆さん昨年8月に行われた『STAGE:0』から短期間で軒並みランクが上がっていますが、練習環境に変化があったんですか?

「僕はnanabitoと一緒にプレイすることで、2人のコミュニケーションや技術の向上に努めたんです。それがランクが上がる要因としては大きかったと思います。」
――個人技も鍛えつつチームメンバー同士のコミュニケーションも成長させたんですね。それではコーチからの指導法の変化などはありましたか?
「細かいところを突き詰めていくようなフィードバックが増えました。それもチーム全体のレベルが上がったからできることなのかなと思います。」
――実力に合わせて、優勝するために細かい修正をするようになったんですね。
「そうですね。それにスクリムの練習相手もどんどんレベルの高い相手とプレイする機会が増えたので、その分成長できたと思います。」
――個人技やコミュニケーションだけでなく、対戦相手もレベルが上がって環境自体がガラッと変わったんですね。
「基本的に僕らが勝てないような相手と練習していました(笑)。そしてN1と対戦した時に『あ、N1ってこれくらいなんだ』と思うくらいの相手と練習させるとコーチも言っていましたね。」
――では練習した相手と比べて、決勝大会のN1との試合はどうでしたか?
「対面してみたら『このくらいなんだな』と実際に思いましたね。3年間勝てなくて、格上だという印象があったんですが、ふたを開けてみると『自分たちも強くなっているんだな』と実感できました。」

――コーチが狙っていた感覚を掴めていたんですね。『STAGE:0』でN1と対戦した時と今回を比べて、チームとしてはどんな変化がありましたか?
「『STAGE:0』での課題は、前半がよくても後半に巻き返されてしまう中盤の詰めの甘さでした。それを修正するために、中盤以降も焦らず相手にペースを握らせないことを意識して練習していたので、今回はその成果が出たんだと思います。」
――確かにN1との対戦は終始圧倒するような試合運びができている印象でした。皆さんはどこがターニングポイントだったと思いますか?
「僕は4つ目のドラゴン前の集団戦ですね。ドラゴンを3つ取れていましたが、ここを取られるとどうなるか分からないという状況だったので、落ち着いて上手くファイトできてよかったです。」
「僕も4つ目のドラゴンですね。前回の反省からオブジェクトに先に陣取って視界を取ることを徹底できて、リー・シンをキャッチ※できたのかなと思っています。」

※1人を捕まえて落としきること

「最初のBOTでのファイトだと思っています。最初に有利を取れたらそのまま強気にゲームを進められるので、最初のファイトで勝つことができたからこそ他でも『勝てる』という声掛けが出るようになりました。」
――序盤から主導権を握ることができて、チームとしても声掛けが増え勝ちに繋げられたんですね。
優勝した時よりも嬉しいんじゃないかというくらい喜んだーー雪辱を果たした瞬間
――決勝大会トーナメントの初戦がN1に決まった時の心境はどんな感じでしたか?
「準決勝で対戦することになって、僕は『大丈夫かな』と不安でした。でも皆は『一発で倒せるなら分かりやすくていいじゃん』と言っていたんです。最終試合で当たると決勝はBO3(2戦先勝)になるので、最低2試合は戦うことになります。そのプレッシャーを感じないで終わらせられるならいいかと思ったので、前向きに考えるようになりました。」
――なるほど。試合数が増えると、その分ネガティブなイメージも沸いてくるのでしょうか。
「過去の大会で決勝のプレッシャーを経験していたこともあって、ポジティブに思っていなかったんです。それに1試合戦った後にもう1試合あることを考えると、疲労もありますし、1戦目でパッと決められる組み合わせになったのはよかったですね。」
――先輩たちと共に戦ってきた決勝試合が頭をよぎるんですね。その緊張感を肌で知っているからこそ、精神的な負荷も大きかったのではと思います。

――では皆さん、まず準決勝でN1に勝利した時の感想を教えてもらえますか?
「試合前は五分五分で自分たちが負けると思っていたんです。今回も『STAGE:0』のようになるのかと思っていたんですよね。でも練習してきた成果を発揮して勝つことができて嬉しかったです!」
「勝った時は優勝した時よりも嬉しいんじゃないかというくらい喜んでしまって、チームの雰囲気も優勝したみたいになっていました(笑)。」
「3年間負けてきたので、やっと勝てたという感じでした。」

「自分は2年の夏から負けてきたので、勝った瞬間は優勝した時よりも嬉しかったです。それとこれまでの悔しい思いが晴れましたね。」
――優勝した時よりも!?(笑) やっと雪辱を果たせたという思いが伝わる言葉ですね。チームリーダーのsiroshi選手は、N1に勝利していかがでしたか?
「勝った瞬間は勝った実感が全然湧かなくて、インタビューの時にやっと勝ったんだと思うくらい現実味がなかったです。人生でこんなに喜ぶことがあるんだなと思うくらい声も出たし、気持ちを入れ替えるのが難しいくらい嬉しかったですね。」
――配信でも映っていましたが、勝利が決まった瞬間にメンバーと抱き合った姿が印象的でした。決勝試合も落ち着いて試合を運んでいたように見受けられましたが、優勝が決まった時の心境を教えてください。
「嬉しかったのですが、無観客試合でコーチも入れなかったので、応援してくれた人と喜びをすぐに共有できなかったのが少し悔しかったです。」
「優勝したのは嬉しかったですね。でも同時に、先輩と一緒に優勝できなかった時の光景も思い出しました。」

――昨年春に卒業した大村くん(Funahwi選手)や山田くん(ponkotu23選手)達は2年間苦楽を共にしたチームメイトですもんね。この勝利を一緒に味わいたかった…という思いでしょうか。他の3名はいかがですか?
「ずっと負け続けていたので、優勝して嬉しい気持ちで大会を終えられるのが幸せでした。」
「N1に勝ったときに喜びすぎちゃって、優勝した時に『本当に優勝したのかな』という感じで、現実味がなかったです。」
「優勝で嬉しい反面、もうこのチームではプレイできないと考えると悲しさもあって、何とも言えない複雑な感情になっていました。」

◇やり通せば出来ないことなんて無いと体現できた
クラーク記念国際 CLARK NEXT TOKYO / Akihabaraではeスポーツコースの生徒が年々増え続け、2021年度は3学年合わせて約80人も在籍しているそう。
高校生大会で同校チームの活躍を見た学生が入学してくるケースも多いと思います。『自分もYuki飯食べ隊に入りたい』と思う後輩たちにアドバイスするとしたら…?とSiroshi選手に聞いたところ、『入学した当初はeスポーツをするってこと以外、大会の存在も知らない状態でLoLを始めてここまで来れました。本当にこの3年間いろんな苦難があったなと今振り返っても思いますけど、そういうのも乗り越えて3年間一つのものを貫いたら結果は出るんだなって自分自身が証明できたので、それを今度は後輩達に伝えたいなと思いますね。』とのこと。経験からくる言葉には説得力がありますね。

将来有望!? 次回大会のトロフィー獲得を目論むGalaxy選手

――Galaxy選手は大会でMVPを獲得していましたね!
「N1戦ではMVPを取れたんですけど、トロフィーを鬼島くん(siroshi選手)に持っていかれたので、それが本当に悔しいですね。」
――先輩に花を持たせる、というわけではなくて結構我があるタイプですね!(笑)
「そうですね。トロフィーが欲しかったです。」
――なるほど、トロフィーを狙っていたんですか。
「大会が始まる前も(Galaxy選手が)『トロフィー欲しい』と言っていて。いざ決勝後、僕がMVPになってトロフィーを受け取ったら、トロフィーを凝視していたので納得ができていないみたいですね(笑)。」
「どうしてもGalaxyが注目されてしまうので、コーチ陣はsiroshiをMVPに選んだ大会運営サイドもよく見てくれていたんだね、という話をしていました。」
優勝しましたよね……Yuki飯は食べることができた!?

――散々他社取材でも聞かれてきたかと思いますが…(笑)、遂にチーム名の由来である「Yuki飯」は食べられましたか?

「Yuki飯」とは、クラーク記念国際チームのコーチである元Rascal JesterのYukiさんがプロチーム在籍中にゲーミングハウスで選手の料理を作っていたことから付けたものだそう。
ちなみにそこから転じて同校Bチームである「Sesa飯食べ隊」はコーチのSesamiさんからとっている。

「実はまだ食べていないんですよね、残念ながら(笑)。」
「Yuki飯はキッチンスタジオを借りて、企画として皆さんに見えるように作ろうと考えています。なのでYukiさんが買い物に行くところから始まります。(笑)」
――買い出しから(笑)!それは楽しみですね。いつ頃行うんですか?
「3年生が卒業する前の2月頃ですね。今広報課が進めています。」
――学校の全生徒が注目するイベントになりそうですね(笑)。siroshi選手は何を食べてみたいですか?
「気分で変わるんですけど今はチャーハンが食べたいです。大会直後の取材でも同じことを聞かれたのですが、ひとまず中華料理を一通り揃えてもらって、僕らが満腹になるまで作ってもらわないと(笑)。」
――気持ち的に満足できるとこまで食べたいですよね。
「僕とかは卒業で次の『Yuki飯』を食べられる機会が無いので、とことん満足するまで作ってもらわないといけないですね(笑)。」
――そうですよね。ちなみに今回は卒業生を呼んだりしないんですか?
「僕的には優勝しているメンバーではないので、どうなのかなという気持ちがありますね。優勝してYuki飯を食べるぞ、というチーム名なので…。」
「卒業生は優勝した当日に集まってピザを頼んで食べていたんですよ。でもYuki飯の時にOBは呼ばないです。」

◇祝勝会の裏側で…外されたブレスレット
余談ですが、コーチのYukiさんはチームが初めて決勝大会に進出しN高に敗退した「第2回全国高校eスポーツ選手権」の直後から、大会の悔しさを忘れないため大会出場者に配られたブレスレットをずっと腕に付け続けていました。
今回の大会後、選手が学校に戻り皆で祝杯を挙げていた際、Yukiさんは顧問の笹原先生に『もう外しても良いよね』と言いながらブレスレットをそっと外して置いたそうです。時には厳しく、時には親友のような距離で生徒たちを見守ってきた、Yukiさんの感慨深い気持ちが伝わってくる素敵なエピソードでした。

今後目指すプレイヤー像を聞いてみた
――この中で、今後プロプレイヤーを目指している人はいますか?

(Galaxy選手が挙手)

――Galaxy選手はプロを目指すということですが、どのようなプレイヤーになりたいですか?目指す選手像があれば教えてください。
「エンゲージ※がめっちゃ上手い選手になりたいと思っています。先陣を切ってエンゲージを上手く決められるようになりたいですね。」

※エンゲージ…集団戦で率先して敵陣に入り戦いを始める役のこと。これが上手い人は始めるタイミングやどれだけ多くの人に行動妨害スキルを当てられるかで差が生まれる。(非常にわかりやすくsiroshi選手が解説してくれました。感謝!)

――2年生のお二人はこれからも高校eスポーツの舞台で戦っていきますが、負けたくない選手はいますか?
「N1のrre選手には負けたくないですね。ポジションは違いますが自分と同じ年齢で、アカデミーチームにも招待されている選手なので負けたくないと思っています。」
「僕も同じでrre選手ですね。まだN1の次のメンバーは分かりませんが、一番脅威なんじゃないかと思っています。」
――お二人ともrre選手に注目しているんですね!ところで、ずっと画面上で気になっていたんですが…Galaxy選手がいる部屋の壁にお札が貼ってありますよね。一体何の…?

「中学の修学旅行で行った金閣寺でもらったお札ですね。特に意味はないですがとりあえず貼っています(笑)。」
――意味はないんですね(笑)。

◇高校生活を振り返り一言であらわすと…?
3月には卒業となるsiroshi選手、nanabito選手、borutu選手の3人に「高校生活を振り返って一言であらわすとしたら?」と聞いてみました。『やっぱり青春ですね』と照れながら話すSiroshi選手。実はクラーク秋葉原の生徒会長でもある彼。色々な場でこの言葉を使っている為『【青春生徒会長】と言われちゃうんじゃないかっていうくらい擦ってきたんです(笑)。でも本当に青春でした。』と教えてくれました。
nanabito選手の答えは『ずっとeスポーツしてました』。シンプルイズベストですね!(笑)borutsuくんは『チームゲーム』。LoLの中でも学校生活の中でも、かなりチームに助けられてきたから…とのこと。それを聞いたSiroshi選手は大きく頷いていました。

それぞれの今後――クラークの新星チームが「siro飯」
になる日がくる!?

――皆さんが今後やってみたいことや目標を教えてください!
「卒業後もeスポーツに関わっていくチャンスがもらえたので、後輩育成に力を入れて、指導者として成長したいですね。最終的には自分が中心になって教える、Yuki飯やSesa飯みたいな僕の名前が入ったチームを作りたいです。」
――「siro飯食べ隊」とかですかね?それだと白米になっちゃいます!(笑)。…でも卒業後のsiroshi選手がコーチとして活躍することになったら楽しみ過ぎますね。他の方はいかがですか?
「eスポーツの可能性を広げられるような人間になりたいです。eスポーツが抱える問題を解決したいですね。それと僕だけダイヤモンドじゃないのでダイヤモンドに行ってからLoL人生に終止符を打とうかなと思っています。」
「LoLの新シーズンが始まったのでランクを上げたいと思っています。あとはeスポーツ大会の運営などをやりたいですね。LoLに限らずVALORANTなどもやってみたいです。」
「やっぱり『STAGE:0』と『全国高校eスポーツ選手権』の2連覇ですね。今回も含めて3連覇したいです。」

「自分はプロを目指しますが、これから進路も考えないといけないので、勉強とゲームの練習を両立出来たらと思っています。」
――皆さんありがとうございました!


遂に「N1」に勝利し、優勝を果たしたYuki飯食べ隊。『STAGE:0』から半年後大きく躍進し、『第4回全国高校eスポーツ選手権』では改善して抜け目のない試合を準決勝・決勝で見せてくれましたが、優勝後のコメントではとにかく「コーチ陣や応援してくれてきた人たちへの恩返しができた」と繰り返したsiroshi選手をはじめ、選手皆が口を揃えて謙虚に感謝を伝えていたのが心に残りました。

メンバーの内3人が3年生ということで、次年度は「Yuki飯食べ隊」のメンバーがガラッと入れ替わることになります。しかしクラーク記念国際のeスポーツ専攻コースで精鋭達が次々と育っていることは間違いありません。今度は背中を追われる立場となった次回の全国大会でも一層の活躍を期待しています!

ゲーマーゲーマーでは引き続き高校eスポーツ部に取材を続けていきます☆次回をお楽しみに!

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