釧路高専は国立工業高等専門学校で、スマートメカニクスコース・エレクトロニクスコース・建築デザインコースの3つから様々な専門分野を深く学ぶことが出来るそうです。また一般的な高校は3年制ですが、釧路高専はなんと5年制!5年をかけてじっくり学び、仲間たちと長い間過ごせるなんて楽しそうですね♪
そして釧路高専といえば、ロケットリーグ!!「全国高校生eスポーツ選手権」に3年連続で出場し、強豪としても名高いんですよね。先日開催された「第3回全国高校スポーツ選手権」では2チームが出場し、『mirage virtual Calimba』(以下、mvc)が決勝大会進出、『VFC(Ⅱ軍)』(以下、VFC)は予選決勝へ進出していました。果たして彼らはどういうチームなのでしょうか?ではオンライン取材の様子を写真と共にお届けしていきます☆(取材日:2021.3.22) ※学年は取材時点でのものを表記しています
ーー本日はよろしくお願いします!最初にeスポーツチーム発足の経緯について教えてください。
「僕たちは元々ゲーム開発研究会という部活に所属していましたが、そこで仲の良い3年生同士でゲームをしてみようということで始まった部活ですね。」
ーー元はゲーム開発研究会から派生した部活だったんですね。メンバーは最初何人ほどいたんですか?
「3人だったね。そのうちの2人がゲーム開発研究会で、もう一人は他の部活に所属していました。」
ーーその最初の3人はどなただったんですか?
「僕と今はmvcとして活躍している石黒くん、大和くんです。石黒くんが僕たち2人を誘って『第1回全国高校eスポーツ選手権 ロケットリーグ部門』に出場したことがキッカケです。」
ーー第1回大会に参加していたなんて凄いですね!ちなみに出場しようと思ったキッカケは?
「石黒くんが大会の少し前からロケットリーグを始めていて、その石黒くんに誘われて出ることになりました。」
ーー皆さんのチームは『VFC(Ⅱ軍)』という名前ですが、なにか意味とかはあったりするんですか?
「この名前は第1回大会から使用していた『Vtuberすこすこ隊』の英名である『Vtuber Fan Club』の頭文字を取った名前です。また今回の大会に出場にあたって、2つのチームに分けて出場することは最初から決まっていました。そしてこれまでの大会に出場していたVFCということ、VFCではあるけど1軍ではないということを主張するためにこの名前にしました。」
ーー名前から既にそうですが、皆さんVtuberの大ファンなんですね!
〇様々なタイトルをプレイ ーー今は何名で活動?
「今は16人で活動しています。全員がロケットリーグというわけではなく、ApexやLoL、スマブラもプレイしていますよ。」
ーー16名とは結構賑やかですね!ちなみにロケットリーグ以外でも大会には出場しているのでしょうか?
「ApexやLoLはまだまだですけど、スマブラは釧路の大会に出場して優勝しています。」
〇攻撃こそ最大の防御 ーーロケットリーグにおける自分たちチームの特徴があれば教えてください!
「僕らは攻めがめちゃくちゃ強いと自負しています。そのかわり守りが劇的に弱いですね(笑)。」
ーー攻撃に全振りしているんですね(笑)。そこまで攻めを強化している理由はなんでしょう?
「元々このチームは守りが下手でした。しかしゴールを決めてしまえばボールは所定の位置に戻ります。つまり得点を入れてしまえば、状況がリセットされるのでディフェンスをする必要がないんです。そこでゴールをしっかり決めきるという方向で強化していきました。」
〇大会を振り返って ーー「第3回全国高校スポーツ選手権」に出場した感想はありますか?
「自分たちが思っていたよりも簡単に勝てたことですかね。予選決勝では中々てこずったので、連携をより意識しながらプレイしました。」
「今回の大会は全部を通して楽しかったですね。初戦からノリに乗っていたので、強みである攻めが発揮されて楽しかったです。しかし予選決勝では攻めを封じ込まれて、そのままストレート負けでした。でも物凄く楽しめたのでよかったです!」
「今回の大会はロケットリーグが無料化して初の大会ということで、初心者が多かったんです。そういうこともあって予選はサクサク勝てました。それでギアがあがり、その日の試合は全て勝つことが出来ました。しかし予選決勝は別日だったので、調子がリセットされてしまった感じですね。」
ーー大会で印象に残った試合はありますか?
「第2回戦目です。強みの攻めと連携を生かしてガンガン得点を決められたのでそこが印象に残っています。」
「阿南工業高等専門学校の『Kamase Dogs』と当たった3回戦目です。元々このチームとはプライベートでも交流のあるチームだったので、大会で当たったのが楽しかったです。」
「ぼくも『Kamase Dogs』戦です。そこのただのぬのきれ選手と車体が密着して、並走したままフィールドを1週してしまったことが面白かったですね(笑)。さらにその後の打ち上げで彼と仲良くなったこともあってとても印象に残っています。」
ーー大会を終えた今後の目標を教えてください!
「僕らは3年生なので来年の高校生大会には出場できませんが、この大会での経験を生かしてロケットリーグに限らず様々な大会に出場したいです。そして釧路北海道とeスポーツを広げていきたいと思っています。」
「3回のすべての大会に出場してみてとにかく楽しかったです。そして釧路のスマブラ大会を運営してみて主催する方の楽しさも味わったので、こうした感覚をもっと味わいと感じました。なので今後はeスポーツ大会の主催をしてみたいです。」
「今回の大会が最後の大会でした。しかし後輩はあんまりおらず、ロケットリーグをプレイしている人もいません。なのでなんとか釧路高専からロケットリーグのチームを出場させたいなと思っています。」
〇限界を超え続ける ーー最後にあなたにとってロケットリーグとは?
「どんなにプレイして成長しても限界を感じないゲームです。全クリがないんですよ。僕はまだ最高ランクに到達はしていませんが、到達してもさらに上があります。常に自分との戦いで、昨日できなかったことが今日出来るようなったりと、常に限界を越え続けるゲームだと思っています。」
「僕は小学校中学校でサッカーをやっていて、高専に入学してからは通学時間の関係で続けられませんでした。今は車でサッカーをやるという形になっていますが、サッカーをできているということで小中学の続きという感覚があります。」
「最初ロケットリーグに誘われたときは軽いゲーム感覚で遊んでいました。しかし大会に出場するようになってからは、ゲームというよりスポーツだなと感じるようになりました。例えば1つの技を繰り出せるようになるにも、地道な練習しないと習得できないとか、今の技上手くいったなと思っても、自分より上手い人がいたりします。そういったところがすごくスポーツだなぁと感じるところです。」
〇ゲームをギフトで送ったことがキッカケ
『mirage virtual Calimba』 写真左から ・石黒 航汰くん(高3) ・大和 幹くん(高3) ・森 大樹くん(高3)
ーー続いてmvcの皆さんよろしくお願いします!皆さんもゲーム開発研究会から活動しているのでしょうか?
「ゲーム開発研究会で活動していたのは1年生の時だけですね。そのあとは僕がeスポーツ同好会を作っちゃいました。」
ーーeスポーツ同好会のキッカケとなったのが石黒くんと岩田くんが仰っていましたが、ロケットリーグは元々プレイしていたんですか?
「僕は第1回大会が始まる少し前からロケットリーグを始めていました。それでゲームが楽しかったので、みんなにギフトで送って始めたのがきっかけです。」
ーー『mirage virtual Calimba』の由来を教えて下さい!
「これはチームの3人が適当に出した英単語を組み合わせただけのやつです(笑)。」
ーー特に意味はないんですね(笑)。ちなみに去年の「Vtuberすこすこ隊」という名前はボツになったんですか?
「それは去年の大会の時、実況者の方々にその名前は噛みやすいので遠慮してほしいという要望があったので、名前を変更しました(笑)。」
〇安定したバランスと深い連携力 ーーロケットリーグでのチームの特徴はありますか?
「Ⅱ軍ほど特徴はないのですが、全員の平均ランクが高く、安定したプレイが出来ることが特徴かなと思っています。」
ーー確かに!試合中もバランスが取れていると解説されていましたね。
「あとよ大和くんとは3年間ロケットリーグをやってきているので、連携力の高さには自信があります。ロケットリーグには見えない死角が存在するのですが、死角にいても大和くんの存在が感じ取れるくらいですね。」
〇大会を振り返って ーー大会を振り返ってみての感想をお願いします!
「3年間参加させてもらって、去年は東京へ行ったりと、本当に素晴らしい体験をさせてもらいました。またロケットリーグを通じて友達も出来たし、こういう大会は毎年開催してみんなにいい経験をしてもらいたいですね。」
「今回は初出場で、決勝大会まで進めてすごくいい体験でした。またこのゲームを通じてみんなと仲良くなれたのが本当に良かったです。」
「他学校との繋がりや出来て楽しかったです。あと第1回ではベスト8、第2回ではベスト4だったので、今回はそれ以上に行きたかったのですが、準決勝で敗れてしまったのが悔しいです。」
ーー印象に残った試合はありますか?
「やはり負けたN高戦ですね。ランク的に勝てる見込みは薄いと感じていましたが、想像以上に強く、かなり点さを付けられてしまったので悔しくて心に残っています。」
「同じくN高戦です。少し緊張していたこともあって、思うように動けなかったです。あとはとにかく実力が違ったので、もうちょっと練習しておけばと感じました。」
「僕もN高戦です。N高との戦いはいつもやっている試合とはスピード感が段違いでした。3戦目でようやく慣れることができたのですが、惜しくも負けました。ですが感覚的にはあと1、2試合あれば勝てると感じたので、もうちょい練習を頑張れば勝てたのではと考えています。」
ーー大会を終えて今後の目標はありますか?
「来年からは出れないのですが、釧路でeスポーツ大会を主催するお話をいただいているので、そっち側を頑張っていきたいです!」
「この先eスポーツに係る機会はないんじゃないかなと思うんですけど、今は色々な方法で活動できるのでそこで活躍できればなと考えています。」
「明確な目標ではないんですけど、今回の大会に出場してeスポ―ツの奥深さを知れたので、他のゲームタイトルでも大会に出場してみて結果を残してみたいです。」
〇出会えてよかったゲーム ーーあなたにとってのロケットリーグとは?
「僕はゲームセンスがなくてどのゲームも途中で投げ出してしまうことが多かったのですが、このゲームは成長を実感できるのでとても楽しいです。」
「ロケットリーグを通じてみんなと仲良くなれましたし、大会に出るまでの道筋を作ってくれた、出会えてよかったと思えるゲームです。」
「ロケットリーグは石黒くんにギフトで貰ったゲームで、その時は岩田くんと一緒に始めて難しいなと思っていました。でも気づいたら100時間をあっという間に越していて、ドはまりしました。ロケットリーグは本当に高校生活の一部でしたね。このゲームと出会って充実しました。今では1800時間もプレイするほどハマっています。」
――本日はありがとうございました。
〇顧問渡邊先生のお話 最後には顧問の渡邊先生にもお話を伺いました!
ーーeスポーツ部はもともとゲーム開発研究部の一部だったとのことですが、具体的にはどういった経緯で独立したのでしょうか?
「元々はゲーム開発研究部に所属していた石黒くんたちが大会をキッカケに作った感じですね。最初の『第1回全国高校スポーツ選手権』ではゲーム開発研究部として出場しましたが、翌年からはeスポーツ同好会となりました。」
ーー学校に部室や活動に必要な設備はあるのですか?
「部室に関しては学校側には申請しているのですが、場所がないという理由で今は作れていないです。またネット環境の問題もあって、中々進んでいないですね。でも学校の後援会からは支援としてパソコンやスイッチを寄贈してもらいました。学校側としては応援してくれていますね。」
ーー渡邊先生は生徒たちの活動は見ていられるのですか?
「実際にはほとんど見られていないです。私もゲームはそこそこやるのですが、生徒たちと一緒にゲームをプレイする機会も中々ないです。でも学生がこれやりたい!と相談してきたら、環境を作る等のサポートをするようにしています。」
ーー渡邊先生は生徒さんたちを陰から支えてらっしゃるんですね!ちなみに先生はなんのゲームをプレイしているのでしょうか?
「コロナをキッカケにスイッチを買ったので、それでスマブラをやっています。一応生徒たちが取組んでいるゲームは自分でもプレイしていますよ。」
ーーeスポーツ活動を通して生徒さんたちに変化はありましたか?
「去年のeスポーツ選手権で3位になったことをきっかけに、釧路市の青年会議所から一緒にeスポーツ大会を主催しませんかというお話をいただき、8月に学生達も実行委員として加わって釧路eスポーツ大会を運営しました。あと私はひがし北海道eスポーツ協会の顧問をやっているのですが、生徒たちの活躍で釧路市でのeスポーツの施設や大会などeスポーツが盛り上がってきていると感じます。彼らの熱意で釧路市のeスポーツが変わってきているんですよ!」
ーー最後に今後の目標を教えてください!
「世代交代や新入部員の確保ですかね。実際にゲームをやっているよという人は多いのですが、大会に出場してみたいという人は少ないので、部活の様子を配信したり学内のeスポーツ大会を開くなど、宣伝を生徒たちに頑張ってもらっています。」/div>
釧路高専 eスポーツ同好会の取材はいかがでしょうか!3年間も連続で『全国高校eスポーツ選手権 ロケットリーグ部門』に出場している学校だけあって、ロケットリーグに対する熱意を物凄く感じる取材でした。また彼らはプレイヤーだけでなく、大会の主催を依頼されているなど、高校生とは思えないくらいしっかりしていたことも印象的でしたね。
今回取材した生徒さんたちは全て3年生なので『全国高校eスポーツ選手権』に出場するのは今回の第3回大会が最後でした。しかし釧路高専は5年制ということで、皆さんはこれからもeスポーツ同好会での活動を続けるとのこと!新入部員にeスポーツを教える彼らの姿をまた取材できる日が楽しみですね☆