2年目で全国大会へ!「勝ち続ける」難しさ知るスポーツ強豪校-東海大札幌高校eスポーツ部

57年の歴史をもつ東海大学付属札幌高等学校は、柔道・剣道・陸上・バレー・バスケ・スキー・吹奏楽など全国常連の強豪に加え、野球部は春のセンバツ大会全国準優勝、サッカー部も全国出場経験がある、部活動が盛んな学校です。
アスリートをはじめ、著名人を多く輩出している学校なんですよね~!

今回は8月に行われた高校生eスポーツ甲子園『STAGE:0』でリーグ・オブ・レジェンド(以下LoL)部門の北海道ブロックを制し決勝大会へ進出、見事全国ベスト8という輝かしい結果を残したチーム【南無阿弥(なむあみ)シュバリエ】の皆さんにお話を聞きました☆

東海大札幌高校の取材は今回が2回目。実は本年度よりeスポーツ同好会から部活へと昇格したんです。同部のロケットリーグチームが2020年秋から年始にかけて行われた『第3回全国高校eスポーツ選手権』で決勝大会まで駒を進めるという快挙を成し遂げ、その実績が部活動への昇格を後押ししたそう!

前回の取材でLoLチームの松尾くんから「『STAGE:0』では北海道ブロックを勝ち抜きたい」という熱い気持ちを聞いていたので、まさに有言実行を果たしたということになりますね♪

高校生大会の感想はもちろん、高校生活でeスポーツ活動をするってどんな感じ?…などなどざっくばらんに聞いてみました!(取材日:2021.9.7)

【南無阿弥シュバリエ】
上列左から…松尾 奈和くん/ぱいもん(高3)、尾田 亜斗夢くん/gemudeusu(高3)、佐藤 颯くん/Velsty(高2)
下列左から…青木 雅くん/tadasu(高2)、石塚 慧大くん/safaia1(高2)、工藤 京汰くん/kikikai(高2)

◆活動実績
2020年
・STAGE:0 2020 LoL部門:出場 フォートナイト部門:出場
・全国都道府県対抗eスポーツ選手権2020 KAGOSHIMA
ウイニングイレブン部門:北海道代表として出場
・第3回全国高校eスポーツ選手権大会
ロケットリーグ部門:予選ブロック優勝、全国決勝大会 全国第3位
LoL部門:予選出場
2021年
STAGE:0 2021 LoL部門:北海道ブロック優勝 全国ベスト8

プレイ歴は1~2年!自分達で一から成長してきた

全員がLoL初心者の状態からはじまったeスポーツ同好会が、3年目にして部活動に昇格、遂には全国の大会への切符を手にしました。

お話を聞いてみると皆さん非常に謙虚で柔和な印象。どうやらプレイ時と印象が違うようです。

ーー皆さん本日はよろしくお願いします!まずは高校生大会『STAGE:0』のLoL部門では北海道ブロック優勝、全国ベスト8おめでとうございます♪
チーム名の『南無阿弥シュバリエ』という名前はインパクトがありましたね(笑)。どんな経緯で付けたんですか?
「最初『南無阿弥陀仏』という案だったんですが、さすがにそれは…という話になったので(笑)、『シュバリエ』って海外の言葉なんですけど、カッコいいということで繋げました。意味は、えーと…」
ーー『シュバリエ(Chevalier)』ってフランス語で騎士を意味する言葉なんですよね!
「そう、それです(笑)。名前は2年生がほとんど案を出してくれました。」
ーー東海大札幌高校eスポーツ部は、今年度同好会から部に昇格されたんですよね。現在部員数は何名なんですか?
「現在は18名です。現在ロケットリーグ、LoL、フォートナイト以外はVALORANTやウイニングイレブンをプレイしています。」
ーー現在はどのような活動をしていますか?
「北海道は緊急事態宣言が発令されていますので、学校での部活動は原則禁止となっているんです。次回『全国高校スポーツ選手権』のロケットリーグ部門はLoLより先にエントリーが始まる関係で、ロケリチームが今は学校で練習を行っています。その為LoLチームはオンラインで繋がって練習を行っている状況ですが、こちらもエントリーに間に合うよう1年生と練習を重ねていきたいので、今後はLoLの方も学校で練習を行っていきたいなと考えています。」
「今は先輩方が忙しいので、2年生主体で1年生と練習するようになりました。LoLは1年生2人と2年生3人でチームを組むようにしています。」
ーー部員の方が練習しているゲームはLoLとロケットリーグ以外にもあるんですか?
「学校ではロケットリーグやフォートナイト、VALORANTやAPEXを練習している部員もいます。自分もウイニングイレブンを練習することもあります。」
ーーそういえば、佐藤くんは国体でのウイニングイレブンにも出場したことがあるんでしたね!3年生はもうこの夏の大会後は引退という形になっているんですか?
「そうですね、若干引退という感じです。最近は試験勉強が中心なので、部活は参加できていないです。」
ーーなるほど。受験などが控えていますもんね…。1年生、2年生は自宅から部活に参加しているわけですね。週に何回練習しているんですか?
「現在は短縮授業期間なので、月曜日から金曜日まで毎日14時半~17時半頃まで練習しています。」
ーーおお!毎日最低でも3時間ほど練習時間をとっているわけですか。プレイ歴は皆さんどのくらいですか?
「みんな学校に入学してから始めているので…3年生は2年ほど、2年生は1年半くらいでしょうか。」
ーー強くなるために取り入れている練習方法はありますか?
「2年生の中ではおススメの動画を共有したり、ランクマッチに行ったりしています。1年生に関しては、LoLは特に座学で上手くなっていくものなので、分かりやすい解説をしてくれる動画を教えたりしています。」
ーーなるほど!まずは膨大な知識を入れないといけないですもんね。大事ですね~。1年生への指導は基本的に2年生が担当しているんですか?
「そうですね…たまに気になることがあれば教えたりすることもありますけど、基本的には任せています(笑)。」
ーーそうでしたか(笑)。2年生は今まで先輩に教えてもらう側でもあったわけですよね。1年生が入部して教える側になることで、大変だと感じることはありますか?
「自分は教えるのが好きなので、そういうのはあまり感じないです。それでもLoLを教えるのは結構難しいですね。結局知識がモノをいうゲームなので、教えるというより自分たちで動画を見たりして覚えてとしか言いようがなくて(苦笑)。」
ーー基礎を学んでもらってから…という感じですね。LoLを上達していくうえで苦労したことはありますか?
「知識ですね、やっぱり。ゲーム内での環境の変化は常にありますが、変わらないことがあるので、それをちゃんと覚えてから、最近の変わってきたところを補っていくという感じなんですよね。その辺りが大変でしたし、今もそうです。」
「自分は動画とか見て学んでいくのが好きなんです。普段からプロの試合を見たりするので、学ぶことは全く苦にならないですね。」
「LoLって特に5対5の集団戦が起こるときが大事になんですけど、5人で戦うので、個々がやりたいことを勝手にし始めるとすぐ崩れてしまうんです。そこのコミュニケーションを合わせるのが本当に難しくて、苦労しましたね…。今もです(笑)。」
ーーチーム統制の難しさはありますよね。今後は佐藤くんがその辺りを引っ張っていくんだと思いますが、今までは尾田くんが担っていたんですか?
「松尾くんがその辺中心になっていましたね。」
「そうですね…戦略案を出すのはみんなでやって、決定するのは僕という感じでやっていました。」

◇決勝戦までずっと興奮が冷めなかった!

ーー今年はLoLチームとして『STAGE:0』の北海道ブロックを制覇するという野望があったわけですよね。並々ならぬ意気込みだったと思いますが、決勝戦に駒を進めたときの気持ちを聞かせてください。
「最初は実感が沸かなかったんですけど、段々と。北海道代表になった1週間、2週間たっても興奮が収まらなくて、決勝大会の直前までどこまでいけるかなぁってすごくワクワクしていました(笑)」
「まず嬉しかったですよね(笑)。本当に勝った時は嬉しい!となったんですけど、その後に松尾くんと話してジワジワと実感が沸いてきました。」
ーーでは『STAGE:0』決勝大会の試合について、佐藤くんの感想はいかがですか?
「全国大会の決勝は…試合中5対5の集団戦のところで、上手くコミュニケーションが取れませんでした。最初は良い流れだったんですが、そのズレから逆転されてしまって…。」
ーー決勝大会では準優勝したクラーク高校の『YUKI飯食べ隊』と対戦したんですよね。確かに、序盤は東海大札幌高校の方が優位にあったように見えました。
「難しいなって負けた瞬間は思いました。スゴイ悔しかったです。」
ーー少しの気の緩みも許されないのがLoLのゲーム性でもありますよね…。石塚くんは大会を通して印象的だった試合はありますか?松尾くんからは札幌新陽高校との試合が白熱したという声もありましたが…。
「自分達の試合ではないのですが、中部ブロックの決勝が熱かったと思います!基本、序盤や中盤で流れをつかむとそのまま差がついていくゲームが多い中、試合が二転三転してなかなかあまりない展開だったので、見ごたえがありました。」
ーー俯瞰でモノを見れるというのは良い視点を持ってますね、石塚くん(笑)。大会後は反響がありましたか?工藤くんは『kikikai(キキカイ)』の名前で、大会中は司会の方々によく声をかけられていましたね(笑)。
「そうですね(笑)。サブで参加していましたが、よく呼ばれたのが記憶に残っています。夏休みが明けてからも、周りからラーメン屋の店主やたこ焼き屋だの言われました(笑)。まぁそこは軽く返しています(笑)。」

◇チームのキーワードは【報連相】

ーー高校生活でeスポーツ活動をして、良かったことや思い出深いエピソードがあれば教えてください。
「部として…になりますが、【報連相】の部分ができるようになったことです。自宅で他のeスポーツをやっていても活かせていると思います。チームの戦略のひとつで【提案】と【拒否】というのをやっているんですが、部員が提案したことに対してどうするのか、やめるのか、遂行するのかという判断するという時間を取るようにしているのが色々な場面で役に立っています。」
「ロケットリーグの大会やLoLの大会に出て結果を残せたのが良かったです!緊張する試合も経験できて…。後はロケットリーグで大会の会場にいた時も新聞の取材を受けたんですが、それはとても緊張しました(笑)。」
ーーおお!全国高校eスポーツ選手権の時の取材ですよね。青木くんはロケットリーグのチームでも大会参加していましたもんね。ご家族の方には見せましたか?
「そんなに家族に話していなかったけど、勝手に親が探して新聞の記事を見せてきました(笑)。ちょっと恥ずかしかったんですけど、喜んでくれていたと思います。」
ーー佐藤くんは、eスポーツをやって良かったことはありますか?
「中学の頃からゲームをやっていたけど、大会のように緊張するくらい真面目に取り組む機会がありませんでした。良い経験になったというか、ゲームへの取り組み方が変わったような気がします。大会があるタイトルをプレイする場合、上手くなるための方法を調べたりプロの動画を見たりするようになりました。」
ーーゲームを上達するための方法を考えるクセがついたという感じでしょうか。勉強とかにも転用できそうですね!
「そうですね。『こうしたら上手くなりそうだな』とか考えるようになりました。勉強はあんまりですけど…(笑)。暗記系は強くなったかもしれないです(笑)。」
「僕は小学校で将棋、中学はバレーを頑張ってきたんですけどあんまり結果を出せていなくて…。高校でeスポーツ部に入って全国大会に出れたという経験ができたのが良かったです。」
「今までチームで協力するゲームはあまりやらなかったんです。どちらかというとRPGとかストーリー性の高いゲームが多くて。多い人数で一緒にゲームできるのが楽しいですね。」
「LoLをやってて色々学べたけど、ゲーム中に心掛けていることが良い経験値になりました。尾田くんも言ってたように報連相の事とか、人に何か教えてもらうときに最低限自分が行うべき振る舞いとか、誰も教えてくれなさそうだなっていうことを部活動の中で学べたと思います。」
ーーとても良い経験ですね。3年生の松尾くん、尾田くんは同好会発足時から在籍していると思いますが、最初はどんな風に練習を重ねていったんですか?
「発足当時はみんなLoL初心者だったので、1ヵ月程動画を見て、それでもよくわからなくて…学校でAI相手にしばらく戦って、家で動画を見るというのを続けました。」
ーー1から自分たちで覚えて上手くなっていったんですね!積み上げてきたものの重みを感じます。他校と交流戦を行うことはあるんですか?
「はい。僕らが1年生の時から練習試合の機会はありました。同じ北海道の札幌新陽高校へ出向いて交流戦をしてもらいました。大会前にはおかやま山陽高校や朋優学院高校とも練習試合をさせてもらっていましたよ。」
ーー最近は練習試合などやっていますか?
「練習試合したいですが、今は1年生を育てる段階なのですぐにはできそうにないですね…でも今後は考えたいです。」

◇また全国大会を目指して

ーー最後に、皆さんの今後の目標を教えてください。
「僕は大学合格ですかね!(笑)」
「新チームになって1年生も入るので、また全国行けたらと思っています。」
「個人的な目標は自分のLoLランクを上げたいですね。部活としてはもう一回全国出れるように頑張りたいなと思います!」
「ランクを上げることが目標です。今ゴールドⅠで、後何勝かしたらプラチナに行けると思うのでまずプラチナを目指します!」

※9月17日時点でプラチナに到達したそうです!

「チームとしては次回の大会で全国に行きたい!個人としては、自分のランクを上げたいです。最近ランクはできていないんですが、一旦ゴールドを目指したいなと。そしてそろそろ大学も決めたいですね(笑)。」
「就職、もしくは大学進学と進む道はどちらだった場合でも、eスポーツの認知度を上げるというか、eスポーツ部で頑張っていたというのが誇りに思えるように活動に参加したり、積極的に動いていきたいです。」
ーー次回の参加大会は9月からエントリーが始まる『第4回 全国高校eスポーツ選手権』でしょうか。尾田くん、松尾くんは進路へ向けて、2年生の皆さんは後輩と挑む次回大会での活躍を楽しみにしていますね!!本日はどうもありがとうございました!

一同「ありがとうございました。」

◇勝ち続ける難しさを知るからこそ【eスポーツ部顧問/高野先生】

ーーメインチームとして活動しているLoLチームですが、今回全国規模の大会で決勝進出を果たしたということで、先生から見て生徒の皆さんに変化はありましたか?メンタル面や生活面で気づいたことがあればお聞かせください。
「生徒の生活面は相変わらずですが、夏休みも平日は毎朝8時半くらいに『前日の就寝時間、勉強内容、ゲーム内容』等の報告を貰っていたんです。常日頃から何かあった際の【報連相】を大事にするようにと口酸っぱく伝えてきました。学校生活や私生活でも役立つことだからです。部員にもそれが浸透してきていると実感しています。」
ーー2020年度から2つの高校生大会で2タイトル全国大会の決勝まで進んだということで、先生としても喜びがひとしおだったのでは?
「当校はバレー、バスケなどの運動部をはじめ吹奏楽部も全国大会常連という校風なので、正直嬉しいことには変わりないのですが、あまり浮つかないように生徒達には伝えています(苦笑)。やはり『勝ち続ける』というのが一番難しいと考えているからです。」
ーーなるほど…!全国大会常連校だからこそ、実績を重ねていく大変さも実感されているというわけですね。先生の冷静な視点や指導が部員の皆さんの姿勢にもしっかり伝わっているように感じます!

っというわけでいかがでしたか?

同好会発足から2年目で、全国eスポーツ大会の地方ブロックを見事勝ち進んだ東海大学付属札幌高校のeスポーツ部。

取材はあまり慣れないという皆さんでしたが、一言ずつ淡々と、しかし意思を感じるコメントをしてくれました。

全国規模の大会常連校として、一時の栄光ではなく継続・安定した強さを求められるという環境が今後のチーム育成にも影響を与えてくれそうです。

ロケットリーグチーム、LoLチームともに次回大会での活躍が非常に楽しみですね!

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