【卒業特集】高校生プロゲーマー「赤バフ」佐倉涼太 独占インタビュー

いよいよ真打登場。数あるリーグ・オブ・レジェンド(以下、LoL)高校生チームの中でも必ずと言っていいほど強豪校として名前が挙がるのが岡山県共生高等学校、通称「岡山共生」。

そんな岡山共生eスポーツ部の主将を務め、高校在学中にプロゲーミングチームに加入する超高校級eアスリート「akabuff/赤バフ」こと佐倉涼太くん(以下、赤バフくん)に独占インタビューを慣行☆ゲーマーゲーマー独占取材となる注目回☆とくとご覧ください…♪(取材日2020.3.12)

岡山県は新見市。ゲーマーゲーマー取材陣が新見駅に着くころにはご覧の快晴で、嬉しさ溢れる取材日和となりました☆新見駅から歩くこと十数分。ほどなくして「岡山共生」の校舎が見えて参りました…♪

さぁ、3月4日に卒業式を迎えたばかりの赤バフくんといよいよ対面となります…☆

#01/ 高校eスポーツ選手権の開催に「こんな面白いのあるんや!」

ーーはじめまして!早速ですが、2018年に岡山共生高校eスポーツ同好会は、部活動に変わったとか。きっかけはなんだったんですか?

赤バフ「全国高校eスポーツ選手権の意見交換会が開かれた時、声をかけて頂いて出席してたんです。当時ちょうど自分自身でも高校生大会をやりたいと思ってた時に第1回大会の話を聞いて、凄いな!って感銘を受けました。」

ーーなるほど!高校生eスポーツ選手権をきっかけに部活動になったんですか?

赤バフ「はい。そこでいち早く『こんな面白いのあるんや!』って先生に持ちかけ協力してもらって、それからすぐ僕はチームメンバーを探しに行く旅に出てました(笑)。校内に留学生が多かったので片っ端から声を掛けに行ったんですよ。」

ーーそうだったんですね(笑)。岡山共生高校はアジアからの留学生が多いそうですが、LoLを知っている人は多かったんですか?

赤バフ「そうですね。中国からの留学生は全員LoLを知っていたんですが、あまりガッツリやり込んでる人は少なかったです。だから人を集めるのに結構苦労しました。」

#02/ N高チームとの裏話

ーー去年N高チーム「KDG N1」のメンバーに取材した時に、夏のSTAGE:0決勝大会での出来事を話してくれたんです。決勝試合で岡山共生対N高が戦った時、かなり接戦でしたよね。1-1で迎える3試合目の直前、裏ですれ違った赤バフくんにプレッシャーを掛けられたことをきっかけにN高チームが奮起したと聞きました。この時赤バフくん目線ではどういう状況だったんですか?

赤バフ「それ思い出はありますよ!あの時めっちゃ(N高チームが)萎えてたんです。『もう帰りて~』みたいな顔してたのが気になって、『大丈夫?』って感じで声かけて。その話の勢いのまま、ちょっとふざけた感じで『(2試合目)勝っちゃったよ俺ら』みたいなこと話してたので、ある意味助け舟だったのかもしれないですね。」

ーーなるほど(笑)!軽口の延長線でそういう流れに。てっきり、プロになるような選手が集まると舞台裏で心理戦が行われるものなのか…!なんて思ってたんです。半年越しの答え合わせができました(笑)。

赤バフ「そうですね(笑)。元から友達だったので。でも舞台裏で選手同士が話すの、本当はダメだって後で注意受けたんですよ。それから怖くて裏で話しに行けないです(笑)。」

#03/ 2年間プロの世界で全力

ーー大学には進学されるんですか?

赤バフ「大学を希望してたんですが、第一希望が落ちちゃったんです。第一希望に行けないならプロを終えたあとに大学か専門か…と考えてますね。」

ーープロを終えたらというと?

赤バフ「(プロを)20歳までっていうのを決めているんです。20歳越えると若い人も出てきますし。成功しないのに夢を追いかけ続けるのも自分的に嫌なので、だったら20歳までは全力で頑張ってみるって決めたほうがプロ活動にも力が入るという風に考えています。」

ーーご両親とそういった約束をされているとか?

赤バフ「いえ、自分で決めました。親は結構『好きにしたら良いよ』って応援してくれているので(笑)。今18歳なので、2年間の間にセンスがあるかどうか分かると思っています。」

#04/ 2年間プロの世界で全力

ーープロチームのBurning Core(バーニングコア)に加入する前は、ロジクールカップなどで他チームにも所属されていましたよね。

赤バフ「練習生として参加していたアマチュアチームは3つ程です。友人に『やらないか』って誘われて最初に入ったチームが活動期間的には一番長かったんですが、当時中学生でしたね(笑)。」

ーー中学生ですか!声掛かるのが早いですね!

赤バフ「中学3年生くらいの頃チャレンジャー(*1)までいってたんです。それで声掛けて頂いて。中学生の時はずっとそのチームでやっていましたね。」

ーー今のチームに加入されたのはどういった経緯なんですか?

赤バフ「それまでプロチームは探していて、積極的に動くようにはしていたんです。大会とかにいらしているオーナーさんに挨拶に行ったりとか。そこでプロになりたいと発信していて、3、4チームくらいお声掛け頂いて。Burning Coreさんは条件的にも良くてオーナーさんと話しやすいと思ったんです。あとFlaw(*2)が居たというのも理由でしたね。あいつとむっちゃ仲良いので、『どう?一緒にやろうや』って言ってくれて。それが大きかったです。」

ーーFlaw選手とは、第1回高校eスポーツ選手権の決勝大会の舞台で戦っていましたよね。プレイヤーとしての交流はそれ以前からあったんですか?

赤バフ「大会が決まって、勝ち残る選手とか予想している中で、お互いに連絡取って『練習しようぜ』みたいになりました。大会があったからこそめっちゃ仲良くなりましたね。」

(*1)/チャレンジャー…LoLの最上位ランク。プレイヤー人口の約0.02%(2020 3/17時点)
(*2)/Flaw(フロウ)選手…第1回高校eスポーツ選手権LoL部門で優勝した学芸大付属高校のメンバー。Burning Coreに練習生として所属

「プロを目指す前は先生になりたかったんです。」そう語った赤バフくんは中学時代不登校だった経験から不登校支援をしたいという思いに至り、自らNPO法人と掛け合って支援の会を行う活動もしていたそうです。

#05/ LoLというゲーム

ーーLoLをプレイしていて、どういうときが一番楽しいですか?

赤バフ「勝ったときですね。自分のレーンがめちゃくちゃボコボコにされてても勝てばいいみたいなところがあります(笑)。流れにのって勝ちが続いてる時が楽しいですね。」

ーー赤バフくんにとってLoLとはどういうゲームでしょうか。

赤バフ「昔はただ遊ぶゲームでしたけど、今は自分に対しての可能性や成長できるものというか。まだ目指すべき尊敬する選手がいるから、そういう人に追いつける、対面できる唯一のツール…という感じでしょうか。」

ーー今一番尊敬している選手は誰ですか?

赤バフ「結構憧れる選手は多いんですけど、今一番はDeft選手(*3)です。日本人ですとYutapon選手(*4)、Yutorimoyashi選手(*5)の2人ですね。日本でしたらあの2人と、いつかLJL(League of Legends Japan League)という舞台で戦ってみたいです。そのためにはやっぱりLoLを使うのが一番真っ向といいますか…そんな感じで思っています。」

(*3)/Deft(デフト)選手…韓国リーグLCKのチームDragonXに所属する人気選手(ADC)。2つの異なる地域で1000キルを達成した最初で唯一のプレイヤーといわれている。
(*4)/Yutapon(ゆたぽん)選手…LJLトップチームDFM(DetonatioN FocusMe)所属選手。
(*5)/Yutorimoyashi(ゆとりもやし)選手…SG(SengokuGaming)所属選手。2019年5月までBurning Coreに所属していた。

#06/ 何十連敗してもとにかく練習を続ける

ーー集中力を続ける方法、モチベーションを保つためにしていることはありますか?

赤バフ「戦績ってよくV字を描くんですよ。負けが続くと絶対次に勝つ流れがあるって思ってて、逆もそうなんです。勝ちまくってると不安になったりしますね僕は(笑)。そういう考え方をしています。」

ーー勝っても調子にのらず、負け続けても浮上できるっていう自分のモチベーションコントロールの仕方があるんですね。

赤バフ「負けが怖くて(試合を)回さないっていうのが一番ダメだと思ってるんです。何十連敗しても成長できたら、正直負けても良いと。プロになってそういう考えになりましたね。『とりあえず練習しよう』『バカにされないスキルを身に着けたい』と思ってるので。正直、今活躍されてる方達には、全然及ばないんですよ。少しでも早くあの立場になれるように、負けてもランクを気にするというよりは練習しようって感じに切り替えてますね。」

ーーランクを上げるのを目的にするより、今は試合数を重視されてるんですね。

赤バフ「今はそうです。昔は一回負けただけでちょっと休憩挟んだりしてましたけど(笑)。」

#07/ 僕も、プロも、あなたも『同じ人間』だから

ーー『eスポーツ部発足支援プログラム』もこれからどんどん広がって、全国にeスポーツ部が増えていくと思います。これからLoLを始める中学生、高校生にメッセージをお願いします。

赤バフ「そうですね…。僕が思うには戦う相手も『同じ人間』なんですよね。プロの人も、僕も、あなたも、同じ人間だから頑張れば絶対たどり着けるんですよ。僕はそう思っています。だから、それを信じて頑張って欲しいと思います。自分一人じゃ絶対勝てないゲームだから、ある意味社会経験になるかもしれないですね(笑)。そこが面白いゲームだとも思っています。」

ーー本日はありがとうございました(笑)!

#08/ 「オール岡山チーム」として地元大学、企業と共に高校生eスポーツを牽引

◇ 顧問の柴原先生
教師として、eスポーツ部のプロデューサー的立ち位置で生徒たちを導く顧問の柴原先生。生徒の身体と心をケアすることにとても注力されています。次世代の活躍に向けて、岡山共生高校eスポーツ部でも新たな動きがありました。
2020年1月より岡山大学医学部神田教授をチームドクターとして迎え、科学的見地から依存症対策を行っています。さらに、4月から赤バフくんのお兄さんであり同校eスポーツ同好会発足にも携わった佐倉悠太さんがコーチとして指導にあたることになっているんだとか。
「高校eスポーツ部を発足したい」「生徒の活動を支えたい」と思う学校関係者からの問い合わせが後を絶たないそうです。

という訳で皆さんいかがでしたでしょうか☆赤バフくんは、中学校時代の勉強の遅れを取り戻すために、高校入学から勉強を再開して3ヶ月で英国数の復習を終えたそうです♪中学時代にチャレンジャー(LoL最上位ランク)になるという並大抵じゃない突破力は、ここでも発揮されています☆

3年間傍で見守ってきた柴原先生曰く、高校入学から成績を取り戻し生徒会長とeスポーツ部主将を兼任、そしてプロプレイヤーとして将来の道を行く赤バフくんは、学校に通えなくなった子どもたちにとってヒーローなんだそうです!

「LoL」「eスポーツ部」「大会」を通して様々な繋がりができたという赤バフくんのこれからの活躍が益々楽しみです!!皆さん、最後までご一読ありがとうございました♪

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