スポーツとeスポーツ 双方を見てきたチームKAWAZが語るシーンの現状【ガチサプ 平岡さん×eスポーツ対談第5弾】
ゲーミングサプリ ガチサプでお馴染みの平岡さんとeスポーツチームの対談企画第5弾は、今回の対談相手は名古屋を拠点に活動するKAWAZ(カワズ)さんです!
運営する株式会社D-MeNTIONは、元々フィジカルスポーツに関する事業を行ってきたとのこと。さらに若手プレイヤーを中心とした選手陣の中には、eスポーツの講師を務める方もいらっしゃるということで、異色な部分も目立つチームです。
プロバスケットボールリーグB.LEAGUE(Bリーグ)の立ち上げから見てきたKAWAZのオーナー鬼塚さんは、今のeスポーツシーンをどう見ているのでしょうか。比較されがちなeスポーツとスポーツですが、eスポーツの未来はどうなのでしょうか。それではご覧ください!
◆KAWAZと対談参加者の紹介
KAWAZは2019年より活動をする、名古屋を拠点とするeスポーツチームです。「今はまだ『井の中の蛙』かもしれないけれど、まだ見ぬ強敵や立ちはだかる壁を乗り越えて頂上を目指す」というコンセプトを掲げ、『Fortnite』(フォートナイト)を中心に『スプラトゥーン』『VALORANT』など多岐に渡って活動しています。
今回はチームを運営する株式会社D-MeNTIONのオーナーの鬼塚さん、『Fortnite』の元プロゲーマーで今は講師として活動するJUMP選手、そしてスプラトゥーン部門からはっきー選手にご参加いただきました。(はっきー選手はオンライン参加となります)
◆セカンドキャリアとしても注目のeスポーツ講師
平岡さん「本日はよろしくお願いします。まずは現在eスポーツ系の学校で講師を務めているJUMP選手にお話しをお伺いしたいと思います。JUMP選手は元々選手として活躍していましたが、講師へと転向したのは何かきっかけがあったのでしょうか?」
JUMP選手「選手活動と併行しながら、KONAMIさんのeスポーツスクール(KONAMI eスポーツ学院)の立ち上げのときから講師と携わっていました。そこから色々なところから声をかけていただいて、自然と講師の活動が増えて現在に至ります。」
プロ選手から講師・コーチ業へとシフトしたJUMP選手は、プロゲーマーのセカンドキャリアのモデルケースになるかも!
平岡さん「様々な学校で講師を務めているということですが、どのような雇用形態になっているのでしょうか?」
鬼塚さん「チームオーナーの私が代わってお話させていただきますね。JUMPは業務委託という形で講師を行っています。活動の幅に制限があまりないという意味で理想的かもしれませんが、反面彼はオクテなところもあるのでもったいないと思うこともあるんです。実績も豊富なので、もっと自分から仕事を取りにいけるようになると良いと思いますね。」
平岡さん「セカンドキャリアとしても講師という仕事は注目されていますよね。現在のJUMP選手はどのような活動をしているか教えてください。」
JUMP選手「講師としての活動に加えて、Twitchでの配信とコーチングが主軸となります。加えて、イベントの手伝いもしていますよ。」
平岡さん「コーチングもしているんですね!ゲームのコーチングは、教わる側も上達するし、選手のセカンドキャリアの形成にもなるし良いですね。」
JUMP選手「加えて、eスポーツ兼パソコン教室のようなものを開きたいと考えています。私の住んでいる三重県はまだまだeスポーツ分野では遅れています。東京でモデルケースを見てきたので、三重県でeスポーツ教室の第一人者になりたいですね。」
◆eスポーツはオリンピックで変わる!?
平岡さん「鬼塚さんは元々スポーツのイベントに携わっていたんですよね。なぜeスポーツの分野に進出したのでしょうか?」
鬼塚さん「元々はB.LEAGUEなどバスケットボールのチームに携わり、その傍らでeスポーツ部門も担当していました。段々と手が回らなくなってきていたので、eスポーツを会社として独立させたんです。立ち上げた頃に『Fortnite』の大会、FNCS(Friday Night Challenge Series)で優勝することができたのですが、そのころはまだ大会の規模も小さくあまり注目されることもありませんでした。」
平岡さん「eスポーツはここ数年で規模や注目度も大きく変わってきていますよね。」
鬼塚さん「そうですね、私たちもFNCSでの優勝をきっかけにチームを拡大し他の部門も作っていきました。『Apex Legends』部門では世界大会に行くような選手もいたのですが、他のチームに移籍され今では部門としては残っていません。」
平岡さん「人気選手の移籍はチームとしては難しい問題ですね。スポーツとeスポーツではまだ世間への理解や浸透具合に差があると感じますが、どちらも見てきた鬼塚さんはどう感じていますか?」
鬼塚さん「スポーツでいえば、今では人気のB,LEAGUEは発足当初は注目されていませんでした。しかし、ストリート感を演出し始めてから流行り始めて、現在の人気を確立していきました。eスポーツも同じように何かをきっかけにして人気が爆発すると思っていますが、B.LEAGUEのときよりも壁は高く感じていますね。」
平岡さん「バスケットボールはプレイヤー人口も多いし、基本的なルールが分かりやすいですよね。それでも立ち上げ時には苦労をしていたというのは少し意外です。eスポーツも同じようなポテンシャルは凄く感じているのですが、界隈にお金が流れて来ないことが問題だと思っています。」
鬼塚さん「2026年のオリンピックに向けて金メダルを目指す、みたいな流れができれば変わって来るのかもしれませんね。前回の東京オリンピックでスケボーが脚光を浴びたようにeスポーツも注目されるかもしれません。」
平岡さん「親世代からの市民権を得られていないのが課題だと思っています。たとえばゴルフや筋トレと同じように、ゲーム=遊びではなく趣味や競技として、若者が熱狂する大きなコンテンツとして認められる必要があると思いますね。」
鬼塚さん「確かにeスポーツがより多くの人に普及する像はすぐには見えてこないですね。VCT(VALORANT Challenge Tour)のような大会は観戦が有料でしたが、それがeスポーツ全体で最初からできていれば現状もまったく異なっていたのではと思います。」
JUMP選手「現在はプロゲーマーの試合を簡単に見ることができますし、一緒にプレイすることだってできてしまいますからね。プレイヤー同士としての壁が無く、距離が近いと感じます。」
鬼塚さん「プレイヤーの理解を得て、徐々に意識を変えていければと思いますね。」
◆プロゲーマーにはゲーム以外のスキルも必要
平岡さん「スプラトゥーン部門についてもお伺いしたいと思います。『スプラトゥーン』は公式大会の参加可否が抽選で行われたり、メーカーがあまりeスポーツに積極的ではなかったりという事情を別チームに対談した際に耳にしました。オーナーの鬼塚さんとしてはどのようにお考えですか?」
鬼塚さん「より大きな大会、イベントをするために勉強している最中で、まだ収益を上げるようなものにはなっていません。選手には自社が関係しているスポーツの大会の手伝いをしてもらいながら、運営について学んでもらっています。彼らに報酬も払えるので、大会のお仕事をいただけるのは非常に嬉しいです。」
平岡さん「ゲーム以外の活動も積極的に行っているんですね。『スプラトゥーン』は上手いだけでは選手として成り立たないからこそ、選手やチーム、取り巻く界隈からは熱い情熱を感じます。」
鬼塚さん「彼らのセカンドキャリアのことを考えると、ゲームのスキルだけしか持っていないのでは厳しいと思います。実際私のチームにも他のチームから抜けた選手から相談が来ることもありますが、ゲームのスキルだけでは採用まで至るのは難しいというのが正直なところです。」
平岡さん「プレイヤーが自分で稼げるスキルを持っていれば、チームも選手のサポートをしやすいですよね。大企業は仕組みを動かすために社員を雇いますが、大きいeスポーツチームもそうなりつつあると感じています。しかし、多くのeスポーツチームはベンチャー企業のように全員で会社を動かしていかなくてはなりません。KAWAZの皆さんからは、そういった力強さを感じます。」
はっきー選手「今の時代にあるべき姿は、そのベンチャー企業のような姿勢なんだと思います。」
JUMP選手「大きいチームだと、たとえばアパレル分野にも進出したりしていて、チームを1つのコンテンツ、ブランドとして扱っていますよね。」
◆理想と現実のギャップに悩まされたスプラ部門
平岡さん「プロゲーマーには単なるゲームの上手さだけではなく、コンテンツを作る力やストリーマーとしての魅力など様々な要素が必要になりますよね。」
鬼塚さん「私は選手のやりたいことを理解しているつもりですが、『スプラトゥーン』の選手たちには他の人に伝える力がまだ足りていないのだと思います。積極的に練習をしているのですが、それが結果としてまだ出ていません。私にあれこれ要望を言って来ないのは、きっと自分たち自身が納得していないからなのだと思っています。」
はっきー選手「スプラトゥーン部門は最近ようやくまとまってきたところです。メンバー同士で喧嘩になることは以前からよくあったのですが、今では良い意味でのぶつかり合いが増えてきていると感じます。」
平岡さん「チームとして良くなってきているということですが、それを結果として見せるチャンスはどういったところになるのでしょうか?」
はっきー選手「競技面でいえば、まずは公式大会である『スプラトゥーン甲子園』です。その他でいえば、大会の主催・運営や、チームのSNSの運用ですね。」
鬼塚さん「インプレション、フォロワー、登録者数など、目に見えるところに繋がれば良いと思っています。」
平岡さん「プレイヤーとしての目標を教えてください。」
はっきー選手「サッカー系YouTuberのWINNER’S(ウィナーズ)さんは、言葉を選ばずに言わせていただくと、場合によっては日本代表選手に並ぶくらい人気だと思います。もちろん技術では代表選手には劣ることもあると思いますが、それでも彼らは凄い収益を上げていますよね。スプラトゥーン部門は、スプラ界のWINNER’Sさんになりたいと思っています!」
平岡さん「最後に、チームとしての目標を教えてください。」
鬼塚さん「ワイワイとしたチームです。私はプレイヤーと同じ目線ではなく、上の世代の目線から選手を見てときに『頑張れ!』と、そしてときには『まあまあ、そこは穏便に』という感じで見守っています。リラックスして、楽しいチームが良いチームだと思っています。」
平岡さん「本日はありがとうございました!」
平岡さんとKAWAZさんの対談、いかがだったでしょうか。
eスポーツとスポーツはまったく異なるようで実は似ている部分も多く、野球やサッカーのように発展していくことを望む声もあります。そのためにはチームも選手も安心して活動できるようなセカンドキャリアの道があり、JUMP選手のように継続的に活躍できることも必要になってくるはずです。
また、鬼塚さんはeスポーツの発展に関して高い壁があると感じている一方、オリンピックのようなきっかけで大きく変わることにも期待しているのが印象的でした。ゲームの競技性や、プレイヤーの魅力が伝わっていけば、世間の見る目も変わり業界全体にも変化があるかもしれませんね。
B.LEAGUE以上に高いかもしれない壁も、eスポーツの力をもってすればきっと突破できると私たちは信じています!そのためにも今後もeスポーツや選手たちの魅力を伝えていきますよ!
▼KAWAZ公式サイト
https://d-mention.jp/team/kawazu/
▼KAWAZ公式Twitter(@KAWAZ_esports)
https://twitter.com/KAWAZ_esports
▼テマヒマ平岡さんのプロジェクト「GACHI GAMING」
https://gamer2.jp/post/news-221108/
▼ガチサプ公式サイト
https://gachisup.com/