18歳なのに中身は40代!?世界大会で17位の異端児KNIGHT選手にインタビュー!

今回私たちが取材を行ったのは、Rox³gaming(ロクスリーゲーミング)所属のKNIGHT選手です!格闘ゲーム『ストリートファイターⅤ』を主軸に活動されており、18歳という若さでトップ層まで上り詰め注目されているプレイヤーです。

更に、2022年8月5日から8月7日の3日にかけて行われた世界最大級の格闘ゲーム大会『Evolution 2022』(EVO 2022)にて、初の海外渡航の大会にもかかわらず1324人中17位という成績を収めています。

今回は帰国直後のインタビューということもあり、『EVO 2022』についてのタイムリーな話や、実は知られていないKNIGHT選手ご自身のことについてお届けしますよ☆(取材日:2022.8.10)

◆Rox³gaming所属、KNIGHT選手とは

Rox³gaming(ロクスリーゲーミング)は、2022年2月23日に三重県四日市市(よっかいちし)にて発足した新規チーム。現在は『ストリートファイター』、『鉄拳』、ストリーマーの3部門で構成されている。

KNIGHT(ナイト)選手は、2003年 11月 23日生まれの18歳。Rox³gaming発足と同時に所属契約を締結しプロチームに所属し、大会だけでなく『格ゲーモノマネ選手権』など、多方面で活躍をしている。『FGC Arcade PlayStation Tournaments: サマーコミュニティシリーズ』で優勝し、格闘ゲームの世界大会である『EVO 2022』参加のサポートを獲得し出場した。

お父さん譲りの格ゲー魂

――本日はよろしくお願いします!早速ですが、KNIGHT選手は格ゲープレイヤーの中ではかなり若い方ですよね。同世代の方は『モンハン』やFPSなどプレイしている方が多いとは思いますが、その中で格ゲーを知ったきっかけはなんですか?

KNIGHT選手「小学生のとき、近所の古本屋にスーパーファミコンと『ストリートファイターII』(ストII)の試遊台が置いてあって、お父さんに『おもしろいよ』って言われてプレイしてみたのがきっかけですね。そのときはダルシムでボコボコにされたんですけど、すごく面白くて(笑)。その年の誕生日プレゼントでスーパーファミコンと『ストII』も一緒に買ってもらったって感じです。」

――かなり昔から格ゲーのことを知っていたのですね。では、大会に出場し始めたのはいつ頃ですか?

KNIGHT選手「中1の終わりぐらいに初めて『EVO JAPAN 2018』に出場しました。そこでは一回も勝てずに終わってしまったのですが、大会で勝てるようになったのは中2の冬ぐらいですね。」

――大会で上を目指そうと思ったのもその時期からですか?

KNIGHT選手「そうですね。実は当時ネットを全くやっていなかったこともあり、加えて家の周りにあるゲームに触れることがほとんどだったので、ストリートファイターの最新作が『ストIII』だと思っていたんですよ(笑)。」

――20年以上の前のゲームを最新作だと思っていたんですね。

KNIGHT選手「最新作が『ストV』であるということ、更にプロゲーマーという職業があることを知った瞬間に、根拠なしに『これは上にいけそう!』と当時思ったんです(笑)。それで中学生の頃から大会にも出場するようになりましたね。実際はそんなことは全然なくて、厚い壁がありました。」

プロゲーマ―という職業とこだわりについて

――当時はまだプロゲーマ―という職業があまり一般的ではなかったかと思います。プロゲーマ―というものを知ったきっかけはありますか?

KNIGHT選手「漫画『突撃!となりのプロゲーマ―』というプロゲーマ―を取材した漫画を読んだことです。プロゲーマ―なんてものがあるわけないだろうと思って、最初は誇張した話だと思いましたね(笑)。」

――確かにゲーマーにとっては夢のような職業に思えますよね。

KNIGHT選手「でも実際にしっかり読んでみてそれが本当にある職業だと分かってきました。更に本で出てきた選手の名前をブラウザで全員調べてみて実感が増した時、これは自分の天職だと思って目指そうと決めました。」

――運命的なものを感じたんですね。

――数多くの大会で活躍しているにも関わらず、KNIGHT選手の情報はネットにほとんどありません。有名なプレイヤーの情報が記載されている『格ゲープレイヤーwiki』にも載っていらっしゃらないですよね。

KNHIGT選手「そうなんですよ。プロライセンスの獲得のために多くの大会に出場してはいるのですが、なかなかwikiに載らないんですよね。誰か早く書いてくれないかなと(笑)。

――強調しておきます(笑)。トッププレイヤーには使用者が少ないエドというキャラクターを使っているのは何かこだわりや理由はあるのでしょうか?

KHIGHT選手「最初はカッコよかったナッシュを使っていたのですが、当時はネットでも最弱って言われているくらい明らかに弱かったんです。それもあって、次には最強といわれていた豪鬼に変えました。その時はある程度勝っていたのですが、何か違うなって思って。」

――キャラ愛で選んだ後に、性能で選んだわけですね。

KHIGHT選手「それで一回『ストⅤ』のストーリーをやり直しました。その中でエドは体だけ成長していくのですが、中身は子供で、それが当時中学生だった自分と似ていると思ったのが決め手でしたね(笑)。対空技や無敵技などクセはありましたが、性能のバランスが良かったっていうのもありました。」

――格ゲーをプレイする上でキャラクター以外にも美学とかこだわりとかってありますか?

KNIGHT選手「こだわりを持たないことがこだわりだと思っています。こだわってしまうと勝てるはずの場面で逆に勝てないので!」

見た目は子供、中身は40代!?意外な一面とは?

――KNIGHT選手ご自身についても教えてください。匿名で質問できるSNS『質問箱』では車や漫画が趣味だと仰っていますよね。

KHIGHT選手「運転免許は持っていないですが、保育園の頃から車の雑誌をお父さんが買ってきて一緒に見ていましたね。映画とか漫画も『ワイルドスピード』や『湾岸ミッドナイト』『頭文字D(イニシャルディー)』『よろしくメカドック』など走り屋系のものばかり見ていました。名前の“KNIGHT”もアメリカの車のドラマ『ナイトライダー』から取っています。(※)」

(※)ここで名前の挙がった作品はどれも車やレースを題材とした物で幅広い年齢層に人気であるが、KNIGHT選手よりも上の世代に特に人気のものが多い。中でも『よろしくメカドック』は1980年代の漫画で、KNIGHT選手が生まれる20年前に連載が始まった。

――そうなると同世代で趣味が合う人ってなかなかいないのではないでしょうか。

KNIGHT選手「ほとんどいないです(笑)。最新の車なら好きという人はいるのですが、僕は旧車が好きなので趣味が完全に合致する人はなかなかいませんね。」

――車が好きということですが『グランツーリスモ』のようなレースゲームには興味はなかったのですか?

KNIGHT選手「趣味では『グランツ―リスモ』をプレイしています。実は小学校の頃にレーシングカートをやっていたんです。昔の夢はF1ドライバーだったのですが、近くのサーキット場で乗った時、怖くて思いきって突っ込むのが無理で。そこでF1ドライバーを諦めたって感じです。」

――『質問箱』に来た「このゲームが一番っていうのは?」という質問対して『ワールドヒーローズ2』と答えていましたよね。年齢とギャップのある渋い回答なので何かネタなのかとも思ってしまったのですが本当のところを教えてください。

KNIGHT選手「本当に好きですよ!加えて、ゲーセンミカド(※)の『ワーヒー2』大会では謳い文句みたいな感じで『世界で一番面白いのは?』という問いかけに対して『ワーヒー2!』と答える流れがあるんです。それのパロディ込みでの回答でもあります。」

(※)ゲーセンミカドは都内にあるレトロゲームを多く扱うゲームセンター。常連プレイヤーが国際大会で優勝したことなどから『伝説のゲームセンター』として有名であり、国内外問わず数多くのファンを有する。1990年代に人気を博した『ワーヒー2』の大会も不定期ながら頻繁に開催されている。

――それでは『ワールドヒーローズ2』の好きなところを教えてください!

KNIGHT選手「ハマったきっかけはキム・ドラゴンというキャラですね。彼のようなブルース・リーに似ているキャラクターが好きなんです。加えて、操作も簡単ということで『ワーヒー2』にはハマりましたね。更に言うと、マッドマンが個性的で好きです!」

――好みが全部渋いですね!

プロゲーマーとホテル業務の二足のわらじ

――1日どれくらいの時間ゲームをプレイしますか?

KNIGHT選手「多くて7、8時間とかですね。アルバイトで毎日長時間プレイするのは難しいですが。」

――アルバイトということは兼業でプロゲーマ―として活躍されていらっしゃるということでしょうか?

KNIGHT選手「そうですね。チームから給料をいただきながら、不足分をアルバイトで補っているって感じです。」

――ちなみにどんなお仕事されていらっしゃるのでしょうか?

KNIGHT選手「ホテルのベッドメイクや、掃除をやっています。最初はベッドメイクが難しすぎて向いていないんじゃないかと思いました。“綺麗”って単語は生まれてきてから今まで自分の中に無かったので(笑)。」

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