高校生eスポーツ界を大いに盛り上げるN高等学校のN1。これまで数多くの偉業を成し遂げ、2021年12月に開催された『第4回全国高校eスポーツ選手権 LoL部門』では惜しくも決勝大会で敗れてしまいました。それでもN1は高校生eスポーツ史に残るチームと言えるくらい、多くの活躍をし続けているチームでしょう。
そんなN1のメンバーにも遂に卒業の時が訪れ、2022年3月にはrre選手を除いたNaiNa選手、momo tqt選手、zyunia選手、yunocy選手、Acciy選手の5名が卒業となりました。今回はN1を去っていく卒業生を代表してNaiNa選手、momo tqt選手、zyunia選手の3名がインタビューに応じてくれました。将来への目標や唯一の在校生であるrre選手へのメッセージなど、卒業生は何を語るのでしょう。それではお写真と共に取材内容をお届けします。(取材日:2022.3.25)
〇LoLを通して知った大切なこと ――まずは卒業生の皆様、ご卒業おめでとうございます!eスポーツに熱中した高校生活だったと思いますが、この3年間の中で最も印象に残っていることは何でしょうか?
「高校生活だとやはりN1で活動したことです。高校生活以外だとアカデミーチームに加入して試合を行ったことが印象に残っていますね。」
「『STAGE:0 2021』を優勝した瞬間が一番印象に残っています。全国優勝したという達成感が凄かったですね。」
「僕もzyuniaくんと同じで『STAGE:0 2021』で優勝したことですね。優勝時に鳴ったクラッカーの音にものすごくビックリした記憶があります(笑)。またこの大会に向けてみんなで移動中にアカデミーチームの合格通知が来て大喜びしたことはいい思い出です。」
――N1での活動は本当に素敵な思い出だったのですね。では皆さんが入学時と比べて成長したなと感じる部分はありますか?
「できないことから逃げずに取り組もうと思えるようになりました。特に初めの頃はLoLがめちゃくちゃ弱くて、皆でプレイできればいいなという思いだけでチームに入りました。ですが徐々に優勝したいなと思うようになっていったんです。」
rre選手とAcciy選手の2ショット写真+Acciy選手の卒業式の写真です!
――LoLのプレイを通して挑戦する大切さを知ったのですね。
「ゲーム以外のことにも挑戦するようになりました。今まで勉強なども自分には無理だと諦めていたのですが、いつかはやらないといけないと思い始めてからはコツコツと取り組むようになりましたね。」
――zyunia選手はLoL以外でも大きな成長をしていますね!ではmomo tqt選手の成長したと思うところはどんなところでしょうか?
「僕はLoLの実力くらいじゃないですかね(笑)。ちょっとだけ上手くなったかもしれないです。」
一同 「めちゃくちゃ謙遜するじゃん(笑)。」
――他の選手はmomo tqt選手が変わったなと思うところはありますか?
「自己アピールをする力が付いたんじゃないかな?3年生から急に大会に出てきたのに“俺を見てくれ~!”ってアピールしていたのは凄いと思います。」
――momo tqt選手のアピール力は将来に活かせそうですね(笑)。ではNaina選手は何か成長を感じた部分はありますか?
「『STAGE:0』や『全国高校eスポーツ選手権』を通してインタビューの受け答え能力が身についたかなと思います。『STAGE:0 2021』の際は頭が真っ白になってしまったのですが、数を重ねるにつれてきちんとした受け答えが出来るようになりました。」
――確かにNaiNa選手をはじめN1の選手の皆さんはインタビューの受け答えがしっかりしているなぁと感じます!
〇入学前の自分に言っても信じてくれないことは? ――高校生活の中で入学時の自分では信じられないような出来事は何かありましたか?
「ゲームのプロになっていることじゃないですかね。入学時くらいからLoLにハマったのですが、最初は遊びでプレイしていたんです。そして今はこのゲームのプロになった、大会で優勝したと言ったら3年前の自分はとても驚くと思いますね。」
――遊びで始めたゲームでまさかプロになり大会でも優勝しているとは、想像すら出来なさそうです。
「僕は入学前にリアルタイムで『全国高校eスポーツ選手権』の配信を見ていました。過去の自分に2年後3年後にその舞台に立っているよと言っても絶対に信じないと思います。」
――リアルタイムで見ていたからこそ、凄さが分かっていますもんね。ちなみに大会参加時はどうでしたか?
「高2の時の予選決勝でクラーク記念国際高等学校と当たって勝ちそうになったとき(※)は、脳汁ドバドバでした(笑)。」
※zyunia選手は高校2年生当時、Team No Planで活動していました。 当時の取材記事はこちら! https://gamer2.jp/5661/
――めちゃくちゃエキサイトしてるじゃないですか(笑)。ではNaiNa選手はこの3年間で昔の自分では考えられないようなことはありましたか??
「僕もmomo(_tqt)と同じで、プロの道を目指すようになることと、あとはN1のリーダーになっているということですね。昔からリーダーを務めるタイプではないので、これは絶対に昔の自分に言っても信じないと思います。」
――リーダーに任命されたときはどんな気持ちでしたか?
「絶対に自分では務まらないと思っていました。rreくんがゲームの指揮が上手いのに対し、自分はその能力には特化していないと感じていたからです。実力の面でも人間性の面でもまとめられるとは思っていなかったで、本当に自信がなかったです。」
――他の選手から見て、NaiNaリーダーはどうでしたか?
「そもそもリーダーは成り行きで決まったんです。多数決でNaiNaに決まってからはずっとNaiNaがリーダーを務めていました。最初は少しやってみてダメだったら変えるつもりでいたのですが、そのままリーダーを務めてくれたって感じです。」
――リーダーを務めることはいい経験になったのではないでしょうか?
「リーダーに対しての価値観が変わりました。リーダーは何でもやらなければいけないというイメージがあったのですが、みんなが自然とまとまってくれたんです。この経験を通して、リーダーは必ずしも気負う必要がないということが分かりました。まぁ、このチームだけの話かもしれませんが(笑)。」
〇N1に抱いていた意外なイメージ ――N1加入時を振り返って、当時の思い出を教えてください!
「Team No Planから成り行きで入ったので思い出といっても難しいですね(笑)。でも入った当初はめちゃくちゃ強いチームだなと思いました。」
――zyunia選手はTeam No Planからの流れでN1に加入したのですね。他の選手は加入時の思い出はどんなことがありますか?
「最初はN1加入に強い思い入れがあったというわけではなく、LoLをプレイしていたから入っていたって感じでしたね。そこからだんだんとLoLのやる気が上がり、大会やプロなどの道を意識することも増えてきました。」
――チーム活動を通してモチベーションが上がっていったのですね。Naina選手はいかがでしょうか?
「僕は最初はN1に怖いイメージを持っていました(笑)。」
――えぇ、なぜですか!?
「僕が2年生の時はN1が1軍、Team No Planが2軍、そして僕が所属するチームが3軍という位置付けでした。そして毎回チーム内でスクリムが終わったあとはフィードバックを行うのですが、その時にTeam No Planにいたzyuniaくん、yunocyくん、他のメンバーなど誰も話さず黙っていたから怖かったんです。加えて当時のN1に関してはrreくんやAcciyくんや他のメンバーも実力差がありすぎて怖いなって感じでした。」
――交流を通してみて変わったんですね(笑)。
「実際に話してみたら全然怖くなかったので驚いちゃいました(笑)。ちなみにmomo(_tqt)に関しては最初から変な奴ってイメージを持っていました。」
――それはなぜですか?
「実はN1に加入する前に一度momo(_tqt)とLoLでマッチングしたことがあったんです。その時に喧嘩を吹っ掛けられたのでとても覚えています。名前も憶えていたので、実際に会ったときは『何だコイツ?!』って感じでした(笑)。」
――momo tqt選手は覚えていらっしゃいますか?
――ゲーム内での恨みは怖いですね……(笑)。
〇あの時に戻れたら……。 ――2021年12月に開催された『第4回全国高校eスポーツ選手権』では惜しくも決勝戦で敗退してしまいましたね。この大会についての思いを改めて教えてほしいです。
「やはり優勝したかったですね。僕が下手で負けてしまったので、本当に悔しいです。今でも負けたことをふと思い出すくらいです。」
――やはり相当悔しかったのですね。
「通常の大会なら翌年に巻き返すことができますが、高校生最後の舞台で負けてしまったので、マジでキツいなぁ、悔しいなぁって思います。負けた時は相当へこみましたが、今ではその悔しさをバネに頑張るようになりました。」
――高校生最後の大会は特別な意味がありますね……。でも悔しさをバネに出来ていることはとても素晴らしいことです!
「僕も悔しいし、負けたことがショックすぎて未だに大会放送のリプレイを見ることができていません。Team No Planで負けた時も悔しすぎて、1年くらい試合のリプレイを見られなかったんです。」
――見ると悔しさを思い出してしまうのですね。
「いつかしっかり見返したいと思います。負けたことは悔しいけど、これをキッカケに自分に言い訳したくないなと思うようになったんです。」
――zyunia選手も大会を通してより一層意志が強くなったのですね。ではリーダーのNaiNa選手はどうでしょうか?
「負けると思っていなかったのですごく悔しいです。でも負けると思っていなかったこと自体が敗因の1つだと思うんです。」
――楽観視していたということも敗因の理由だっということですね。
「未だにシャワーを浴びているときに思い出して叫びたくなる時があります。寝るときにも『もしあの時に戻れたら、あそこで相手を止められていれば、このチャンピオンを選んでいれば……。』と考えるくらい悔しいです。」
――ずっと大会のことを考えてしまうのは辛いですね。
「アカデミーチームの活動でもクラークさんのメンバーが敵チームにいるので、彼らがいる限り悔しい思いは残り続けると思います。それもあって、次は絶対に負けないぞ、妥協はしないぞと思えるようになりました。」
――絶対に負けたくないという思いが芽生えたのですね。では在校生のrre選手は今回の大会をどのように見ているでしょうか?
「僕は『第3回全国高校eスポーツ選手権』で勝っていたにも関わらず、今回の大会で負けてしまいました。高校生大会を多く経験しているという点でも僕がチームを引っ張っていくべきだったし、負けたことにはとても責任を感じました。」
――経験が多いだけに多くの責任も感じてしまったのですね。
「僕にはまだ2022年度にも高校生大会があるので、そこではちゃんと勝ちたいです。今年のチームはメンバーが非常に個性的ですごく強かったので、このチームで負けたのは本当に悔しいですね。」
〇それぞれの進路 ――皆さんの進路先での目標を教えてください!
「とにかくLoLを頑張ろうということに尽きますね。早くプロデビューしないとおじいちゃんになってしまうので、それだけは阻止したいです(笑)。」
「まずはきちんと大学に通いたいです。あとは知り合いの方のところで3Dモデリングのアシスタントを行う予定なので、そちらの技術も勉強できたらなと思います。」
「僕もmomo(_tqt)と同じで一刻も早くプロデビューしたいです。そしてプロを卒業したらゲーム関連の仕事に就きたいなと考えています。あとは1人暮らしも始めるので、そこも頑張っていきたいです。」
――皆さんしっかりと将来へ向けて活動していますね!
〇敗北を経験したからこその厳しい意見 ――卒業生から、今後のN1メンバーへ向けてアドバイスをお願いします!
「高校生なので、将来LoL以外の道に進む人もいるだろうし、LoLの時間がなかなか取れない人もいると思います。しかし、強いチームに入って1回でも負けるとめちゃくちゃ後悔するので、使える時間は精一杯練習して、今年はみんなに優勝してほしいなと思います。」
「N1は強いチームですが、そこに入ったからといって自分が強くなるわけではないので、慢心せずにちゃんと練習してほしいです。あとはrreくんに背負わせすぎず、みんなで頑張ってください。まずはrreくんという身近に最高の目標がいるので、彼を目指して頑張ってほしいですね。」
「僕よりもたくさん練習してほしいですね。そうすれば負けることはないと思います。あとは慢心しないことです。調子がいい日こそ慢心するものなので、慢心せずに練習すること。あとは地道に努力を重ねていけば必ず勝てると思います。」
――それぞれの思いが詰まったアドバイスですね。それでは新3年生となるrre選手へ向けた一言もお願いします。
「仇をとってほしいです。今年は『STAGE:0 2022』と『第5回全国高校eスポーツ選手権』を2連覇してほしいですね。あとは優勝したときに貰えるRPで僕にスキンを買ってくれれば満足です(笑)。頑張ってください!!」
「大会の配信を絶対に見るので、そこで仇をとってくれたら僕の魂も成仏できると思います。大会配信をニコニコ生放送でニコニコしながら見たいので頑張ってください!」
「大会で一緒に戦うことはもうなく、次からは敵同士でライバルになります。一緒に頑張ろうと言いたいけど先輩としては高校生大会を連覇し、自分たちの悔しさをバネにして優勝してほしいです。そしたら負けた経験が次の成功に繋がった感じがして嬉しいですね。あとは僕もスキン3つくらい欲しいのでよろしくね(笑)。」
一同 「めちゃくちゃ欲張りじゃん(笑)。」
〇rre選手から卒業生へエール ――では最後にrre選手から卒業する選手たちへ一言お願いします!
「momo(_tqt)くんとNaiNaくんはそれぞれ別とはいえアカデミーチームに所属したので、アカデミーリーグではいい勝負ができたらなと思います。これからもお互いに頑張りましょう!」
――次会うときはライバルですね!
「zyuniaくん、Acciyくん、yunocyくんも自分の夢に進むために頑張っている姿は本当に尊敬しています。別々の道に行くことにはなりますが、これからも仲良くしてくれれば嬉しいです。」
――夢に向かって進む先輩方は本当にカッコイイですね!
「とにかくみんなが行きたい道へ進んで、元気にやってくれれば一番です!」
――本日は皆さんありがとうございました!
高校生eスポーツ界の最強チームとして、君臨し続けてきたN1。『第4回全国高校eスポーツ選手権』では惜しくも敗れてしまいましたが、彼らの活躍は多くの人々に興奮と感動を与えてくれました。rre選手を除くメンバーは2022年3月に卒業となってしまいましたが、卒業生たちはこれからも自分の道を強く進んでいくことでしょう!
また取材を通してN1のメンバーたちがとても大きく成長をしているとも感じました。数多くの試合や練習、悔しさが溢れる敗北を通して、彼らは成長していったのでしょう。また卒業生の皆さんがrre選手や次のN1メンバーへ託したアドバイスは、まさに自分たちの経験を活かしてさらに成長してほしいという強いメッセージでしたね。
果たして2022年度のN1は一体どのようなチームになり、どのような活躍を見せてくれるのでしょうか。これからも私たちゲーマーゲーマーはそんなN1を追いかけ続けます。次回もお楽しみに☆