先生の熱意と生徒の努力で突き進む!酒田光陵高等学校 eスポーツ班

さて今回紹介する高校は山形県酒田市にある酒田光陵高等学校です!東北・北海道エリアの中では最大規模を誇る公立高校で、普通科・工業科・商業科・情報科の4大学科を持つ超巨大校なんですよ!

また部活も様々なものがあり、そのうちの1つであるITサイエンス部の中にはeスポーツ班も存在するそうです。しかもこのeスポーツ班はなんと学校の先生が立ち上げたとの情報も!!一体酒田光陵高校はどのようなeスポーツ活動を行っているのでしょうか?それでは今回のオンライン取材の様子をお写真と共にお届けします!(取材日:2021.5.13)

左から佐藤涼平くん(高3)、佐々木陽飛くん(高3)

◇ LoLとフォートナイトをメインに活動中!

――本日はよろしくお願いします。eスポーツ班として活動を始めたキッカケを教えてください!
「僕は元々ゲームが好きで、主にPCゲームなどをやっていました。そういうこともあって、eスポーツ班には入学したらなるべく早めに入部しようと考えていました。また、僕の2つ年上の兄がこのeスポーツ班で活動していたので、兄の話を聞いて興味を持ったということもあります。」
「中学校の頃はソフトテニス部に所属していたのですが、高校生になってからはなにか新しいことを始めたいなと考えていました。そして入学してすぐの部活動紹介でこのeスポーツ班の存在を知って、興味を持ち入部しました。」
――佐々木くんは入学してから興味を持ち、佐藤くんはお兄さんがこのeスポーツ班のメンバーということで興味を持ったのですね!ではeスポーツ班はどういったゲームタイトルで活動しているのですか?
「主にLoLとフォートナイトの2つに分かれて活動しています。僕たちはLoLをメインにプレイしています。ちなみにフォートナイトは2人の部員が練習しています。」
――LoLとフォートナイトをプレイしているんですね。現在部員は何名いらっしゃるのですか?
「今は 13 人で、情報科の実習室を使って活動しています。この教室は授業でも使うので、部活動の時にはパソコンなどをセッティングして部室に変えています。」
――通常はどれくらいの時間活動しているんですか?
「部活が始まるのは15時50分で、終わるのは18時です。なので2時間ほどですね。」
――2時間ほど活動しているんですね!ちなみに家で自主練をしたりすることもありますか?
「家にパソコンがある人は練習しています。この自主練は1人で行うこともあれば、何人か誘って練習することもあります。」

◇ LoLの好きなところは?

――お2人は現在LoLをメインでプレイしているとのことですが、LoLのどんなところが魅力だと感じますか?
「チームメイトと戦略を練って、色々な攻め方ができることが魅力だと思います。そこがすごく楽しいです。」
「最近になってからは他の人のプレイを見ることが楽しくなりました。最初の方はルールが全然分からなかったのですが、プレイを重ねてからは分かるようになってきて、そこからはプレイを見ることが楽しくなってきました。それこそ自分でプレイするより他人のゲームを見ている方が楽しいときもあります。あとは自分が中心になってキャリーするときが楽しいです(笑)。」
――ちなみに佐藤くんはどなたのプレイを見ているんですか?
「ネットで他のプレイヤーを見ることも多いのですが、たまに後輩のプレイを見てアドバイスをすることもあります。」

◇ 1つのゲームに集中!

――皆さんは過去の『第2回全国高校eスポーツ選手権』ではロケットリーグ部門の方も大会に出場されていましたね。しかし、翌年の大会からはロケットリーグに出場することはなくなってしまいましたが、それはなぜでしょう?
「やはり色々なゲームをやっていると、1つのゲームに集中することが難しくなり、時間も取れないという問題が起きてしまいます。なので今は一つのゲームをメインで行っています。」
――ちなみにロケットリーグではなく、LoLを中心に据えたのはなぜですか?
「僕たちは元々LoLをメインでプレイしていたので、自然とそっちへ流れた感じですね。」

◇ レベルの違いを感じた『第3回全国高校eスポーツ選手権』

――大会だと『第3回全国高校eスポーツ選手権』が一番直近の大会だと思います。実際に大会に出場した感想はありますか?
「圧倒的にレベルが違いました……。」
「この大会が始まったのは去年の12月だったのですが、その当時は現在の2年生がLoLを始めて半年にも満たなかったんです。それでルールを覚えたり、ゲームに慣れたりすることで精一杯で、まともなチームプレイができませんでした。僕たちも当時はまだまだ LoL になれておらず、他の高校についていくことが難しく、思った通りのプレイが出来ませんでした。」
――まだLoLに馴染めていなくて大変だったのですね……。では大会で特に印象に残った出来事はありますか?
「大会でセオリー通りの戦いをしてこなかったチームがいて、とても印象に残っています。その時は全く対抗ができず、そのまま負けてしまったことが悔しかったです。」

◇ 『STAGE:0』2回戦突破を目指して

――eスポーツ活動を通して何か得たものはありますか?
「僕の勝手なイメージだと、文化部は上下関係がないと思っていました。でもeスポーツ班で活動してからは、後輩に指導したり、先輩にアドバイスを貰ったり、とても運動部っぽいなと感じました。なので上下関係は結構学べたかなと感じています。」
「普通の文化部と違って、モチベーションがないときでも練習はしっかりと行わなければいけないので、メンタルは鍛えられましたね。これまでモチベーションが保てなくて普段通りの力を出せないこともあったのですが、最近になってようやく上手くいくようになってきました。」
――佐々木くんは普段どのようにモチベーションを保っているのですか?
「YouTubeで上手なプレイヤーの動画を見ていますね。」
――では最後に今後の目標を教えてください!
「次に出る大会が『STAGE:0』なので、そこで悔いの残らないように、今までの積み重ねを発揮して頑張りたいです!」
「今は『STAGE:0』が一番大きな目標で、2回戦突破を目指したいです。あとはロールも状況に応じて変えたりと、色々な戦法も試していきたいです。あとは『Apex Legends』の高校生大会があると聞いたので、そこを目指そうかなと考えています。」
――本日はありがとうございました!
一同「ありがとうございました!」

最後に顧問の先生である湯澤一先生、難波秀幸先生にもお話を伺いました!

画面左から湯澤一先生、難波秀幸先生

◇ 先生発で発足「情報科の生徒たちが活躍できる場を作りたい」

――eスポーツ班は生徒ではなく先生方が立ち上げたと伺ったのですが、なぜ作ろうと考えたのですか?
「最初に部活動で e スポーツをやろうと言い出したのは私です。生徒がわくわくするような面白いことを始 めたいことと、私が担当している情報科の生徒達はどうしても消極的な生徒が多く、そういった子たちも一 生懸命活躍できる場を作りたいという願いもあって設立しました。」
――湯澤先生が立ち上げたということは、もしかして先生も結構なゲーマーだったりするのでしょうか?
「ゲームは好きですけど、どちらかというと結構ライトな感じです。ただ生徒の方からもeスポーツやってみたいという声が上がっていたので、とにかく叶えてあげたいという理由でeスポーツ班を始めました。」
――生徒さんからもそういった声が上がっていたのですね!
「校内では反対意見も上がりましたが、幸い校長先生や教頭先生の理解もあり、設立はスムーズに行きました。また eスポーツ”部”だと設立が難しくなると考え、ITサイエンス部の中に eスポーツ班を作る形にすることでなんとか認めてもらうことができました。」

◇ プレイするゲームタイトルを絞る理由とは

――先ほど生徒さんにお話を伺ったときに、「部でプレイするゲームは入ってから知った」と語ってくれましたが、ゲームタイトルは先生方が決めているのですか?
「扱うタイトルについては我々の方で決めました。理由としては生徒たちが好きなタイトルを自由にプレイしているとチームが組めなくなってしまったり、生徒達への指導が難しくなるからです。」
――採用しているタイトルはやはり高校生大会が開催されているものを選んでいるのでしょうか?
「『全国高校 e スポーツ選手権』と『STAGE:0』の採用タイトルから選んでいます。ちなみになんですが、個人競技のタイトルは行わないようにしています。部員同士で協力できるタイトルでコミュニケーション能力を身に付けてもらいたいと考えているので、格闘ゲームやぷよぷよではなく、LoLやフォートナイトなどのチームでプレイできるものを採用しています。」

◇ 指導について

――eスポーツ班は湯澤先生と難波先生の2人体制で行っているとのことですが、それぞれ具体的にどのような役割を担っているのでしょうか?
「私は基本的には後方支援をしています。ITサイエンス部顧問として全体の活動もあるので、そちらの指導も行っており、eスポーツ班の会計や大会等の手続などを行っています。そのため、eスポーツ班の指導に関しては難波先生にお願いしています。」
――では難波先生はどのような指導を行っているのですか?
「フォートナイトやLoLは、eスポーツ班が立ち上がってから初めてプレイしたので、ゲームの指導は難しくてなかなか出来ていません。生徒たちとプレイしながら一緒に学ばせてもらっています。プレイに関しては生徒の方が上手いのかなと思います。生徒たちのコミュニケーションを円滑にするための指導などを中心に行っています。」

◇ 保護者に向けて説明会も実施

――eスポーツ活動する上で、保護者等から理解は得られているのでしょうか?
「eスポーツ班を立ち上げる際には、希望生徒の保護者を集めて説明会を開きました。ただゲームで遊ぶのではなく、目標をもって取り組み、他の運動部のように活動していくと説明をしました。その結果、保護者の皆様から肯定的に受け止めていただき、また応援もいただきました。特にこれまで否定的な意見が出たことはないですね。」
――確かに事前に保護者会を開くことで、保護者の同意は得やすくなりそうです。
「生徒たちからも保護者の方にしっかり説明するように指導しました。それでも保護者からの同意を得られず、入部できなかった生徒もいました。入ってからの説明ではなく、事前に説明をしっかり行ったので、保護者との問題は起きていないです。」

◇ eスポーツ班の課題

――eスポーツ班の課題はありますか?
「ゲームの指導に関しては今でも困っています。現状、フォートナイトやLoLもようやくルールを理解してきたところです。もうちょっとルールやゲーム内での指導をできるようになればいいかなと思っています。今では他の学校と交流するサイトもあって、練習試合や先生同士の相談の場もできているので、そこを活用しながら頑張っています。」
――やはりゲームを教えるというのは前例がないので難しいですね。
「今は勝たせてあげることが一番の課題です。これに関しては僕自身がもっと指導できるようにならなければいけないなと思います。また、ゲームのプレイ以外の取り組みとして、もっと eスポーツを提供していく場を作るということもしてみたいです。」
――eスポーツを提供する場とは具体的に大会を開催するなどといったことでしょうか。
「eスポーツ班の活動はゲームをするに留まらずに、生徒がいろいろなことに前向きになれるようにしたいと考えています。ゲームのプレイ以外でもeスポーツイベントの開催や、小さい子供に教えるなどといった活動をやりたいです。コロナの影響で中々難しいのですが、ゲームをプレイするだけで終わらずに様々な活動にもう一歩踏みだしてもらいたいという最終的な目標があります。」


以上が酒田光陵高校eスポーツ班のオンライン取材の様子でした。本取材を通して彼らのeスポーツに対する姿勢が伝わったのではないでしょうか。特にプレイするゲームを1本に絞ってストイックに練習する様はまさにスポーツそのもの!色々なゲームをやるよりも、1つに決めて練習に取り組む彼らからは、真剣にゲームと向き合っているという熱意をひしひしと感じました。

またeスポーツ班の設立経緯も素晴らしいものでしたね。顧問の先生方のeスポーツに対する理解や情熱があって、eスポーツ班で活動が出来ているということがよくわかりました。最後には大会運営にも挑戦したいと仰っていたので、その時は是非取材に行ってみたいですね!

関連記事一覧