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《最終回》毛見誓也のコレで良いのか!? 日本のeスポーツ「競技勢はゲームの楽しさを奪っている!」【連載全6回】

◆ 毛見誓也
洋ゲー、映画、自販機巡りが好きな高校生ゲームライター。ゲームを仕事にしたくてゲームクリエイターを目指すも、プログラミングと3DCGを学校で学びつつ同級生とのレベル差に悩み挫折を味わう。そんななかゲームライターという仕事を知り、海外ゲームのレビューや攻略ブログの運営をスタート。より多くの人に「面白い!!」と思ってもらえるような記事執筆を目指し日々邁進中。
◇洋ゲーのレビューや攻略、ニュースなどを紹介/げーむのはらわた

“これはただのゲームだから”といった台詞は弱い考え方だ。ゲームで負けた時に怒ることをやめるということは、二度負けたことになる。学ぶべきことや改善の余地は常にあり、妥協をしてはならない。

有名ストリーマーNinjaは自身のTwitterアカウントでこう述べました。”eスポーツ”という形でゲームを真剣に取り組むことが流行するなか、Ninjaは多くのゲーマーに向かってゲームに本気で取り組む必要性を説いたのです。

彼の経験談を反映したアドバイスはとても説得力のあるものですが、なんと当ツイートは多くの否定的な反応で溢れかえりました。「ゲームなんだからいいだろ!」「誰もがプロゲーマーになるわけではない。」「楽しくやりたいだけ。」などといった意見が多数を占めたのです。

ゲームが競技として真剣に取り組まれるようになった今、ゲームのプレイスタイルの違いによる分裂が起きようとしています。

■ 2種類のゲーマー

ゲームのプレイスタイルは人それぞれ。友人たちとワイワイプレイする人、一人でまったりプレイする人。ストレス解消を目的とした人、真剣に取り組みたい人。ゲーマーの数だけプレイスタイルが存在するといっても過言ではありません。

ですが対戦系のゲームでは、エンジョイ勢ガチ勢の2種類のスタイルに分別されることが多いです。また、eスポーツの流行によってガチ勢を競技勢と呼ぶことが多くなってきました。

エンジョイ勢は名の通りゲームを楽しむことを第一としている集団です。そのため勝ち負けはほぼ気にしておらず、楽しむことだけを考えています

一方、競技勢はゲームの上達が楽しさに繋がると考えています。そのため、遊び半分でプレイするよりもストイックな練習を好む傾向にあります。eスポーツはまさにこの考えを体現したものですね。

楽しさ第一のエンジョイ勢、ストイックな競技勢。見てわかるようにこの2種類は相反の関係にありあます。そして異なる思想を持ったゲーマーたちが同じ空間にいることで様々な衝突が発生するのです。

■ 弱い奴はいらない

競技側面の強いFPSではエンジョイ勢と競技勢の対立がよく起きます。ルールやセオリーを把握している競技勢が、あまりプレイが上手くないエンジョイ勢にキレているなんて日常茶飯事。下手くそなプレイをすればチャットで怒られ、除外投票が始まります。ネットを見ればキルレの数値で言い争ったり、弱い奴は邪魔という書き込みが多くみられます。

ゲームを始めたばかりの初心者も、下手なことが理由で嫌なことをされた人が多いそうです。オードリーの若林さんは最近になってApexを始めたものの、味方のプレイヤーにいじめられてしまったことが原因でゲームをやめたと語っていました。

「FPSは遊びじゃねぇんだよ!」というネットミームがありますが、現状のFPSコミュニティはまさにその考え方を体現しています。真面目にプレイしない人や向上心がない人、初心者に対して今のFPSコミュニティは冷たいのです。

■ ゲームは楽しいもの

強いことが正義である今の対戦ゲームは非常に息苦しい。僕はそう感じます。

上手くならなければならない、まじめに取り組まなければならない。対戦ゲーム=競技といった考え方が根付きつつあるのです。

eスポーツが流行りだした今ではなおさらこの考え方が広まっています。しかし、Ninjaのツイートの件からもわかるように、誰もが競技として本気でプレイしているわけではないのです。ゲームは本気で取り組むものだという価値観を押し付けるのは絶対にやめるべきことだと思います。

そしてもう一つ忘れないでほしいのは、ゲームの楽しさの本質は競技性だけではないということです。ゲームの世界観を味わうといった芸術作品としての側面もあれば、みんなでコミュニケーションを楽しむツールとしての側面もあります。本気で世界を目指すプロプレイヤーもいれば、トリッキーなプレイをYoutubeにアップするプレイヤー、キャラクターを愛でるプレイヤー、世界観に浸るプレイヤーも存在します。楽しみ方は人それぞれ。そこがゲームの面白いところでもあります。

今の時代はeスポーツという形でゲームがかつてない盛り上がりを見せています。これは大変喜ばしいことですが、この楽しさは一部の競技勢が独占するものであってはなりません。真剣に取り組む競技勢も、純粋に楽しむエンジョイ勢も、どちらのスタイルのプレイヤーも楽しめるものであってほしいと僕は考えます。どちらも受け入れられる環境があることで、よりたくさんの人たちがゲームという文化に興味を持ってくれるでしょう。

エンジョイ勢や初心者の楽しみを潰すことだけは絶対にしてはなりません。それはゲームという文化そのものを否定することと同じことです。ゲームは娯楽であり、対戦競技としてのeスポーツはあくまでゲームの一つの楽しみ方なのです。(第6/6回 完)

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