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《第1回》毛見誓也のコレで良いのか!? 日本のeスポーツ「クロスプレイはeスポーツ界をダメにする!」【連載全6回】

◆ 毛見誓也
洋ゲー、映画、自販機巡りが好きな高校生ゲームライター。ゲームを仕事にしたくてゲームクリエイターを目指すも、プログラミングと3DCGを学校で学びつつ同級生とのレベル差に悩み挫折を味わう。そんななかゲームライターという仕事を知り、海外ゲームのレビューや攻略ブログの運営をスタート。より多くの人に「面白い!!」と思ってもらえるような記事執筆を目指し日々邁進中。
◇洋ゲーのレビューや攻略、ニュースなどを紹介/げーむのはらわた

今まで「フォートナイト」や「ロケットリーグ」などの一部タイトルでしかクロスプレイをすることが出来なかったPS4ですが、「コールオブデューティ:モダンウォーフェア」のリリースを皮切りにクロスプレイを全面解禁しました。

これによってPS4やXBOX、PCといった様々な機種間で同じゲームを一緒に遊べるようになったわけです。それだけではなく全てのプレイヤーを同じサーバーに統合したことにより、ゲームプレイ人口の減少を食い止める手段にもなりました。

このようにクロスプレイに対応するということは、たくさんのメリットがあります。しかし、eスポーツシーン、特にFPS勢からはあまり受け入れられていないようです。特に声高く叫ばれているのが使用機種によるゲームプレイの優劣で、マウスを使用するPC勢がコントローラーを使うPS4やXBOXのプレイヤーを蹂躙するのではないかとの声も上がるくらいです。

そのためクロスプレイに合わせてPS4やXBOXは「フォートナイト」や「コールオブデューティ:モダンウォーフェア」などのゲームでマウスを使用可能にするといった対処をとったのです。また、コントローラーを使ったプレイヤーがマウスを使ったプレイヤーとマッチングしないよう「インプットマッチメイキング」という機能も導入しています。

そうした対策によって平等な対戦環境が整いつつあるわけですが、ここ最近のeスポーツ大会ではこれらの問題があまり認知されていないようです。

特にそれを感じた大会がコカ・コーラ主催のeスポーツ大会「STAGE:0」です。本大会は高校生たちがクラロワやLoL、フォートナイトで競い合い、これからのeスポーツに希望を感じるようなものでした。

しかし、僕はこの大会を見ていて1つ疑問に思ったことがありました。それはPCとPS4のプレイヤーが混合しているということです。普通のeスポーツ大会でしたら使用デバイスが異なるPCとPS4が同じステージで戦うことは絶対にありえません。ましてやTPSやFPSといったシューティングゲームならなおさらです。しかし、本大会のフォートナイト部門では確かにPCプレイヤーとPS4プレイヤーが闘っていたのです。

最初はPS4マウスVSPCマウスの対戦だったのかと思いましたが、あまりに珍しかったので大会規約を確認したところ、そこに書いてあった内容に危うく顎が外れかけました。なんと本大会のフォートナイト部門は全機種混合だったのです。

■ オンライン予選・決勝大会(オフライン)共通ルール

1 参加プラットフォームについて
本大会は下記のプラットフォームでの参加が認められています。
・PC
・Nintendo Switch
・Play Station4
・Xbox One
・Android

STAGE:0 フォートナイト部門 大会ルール PDFより抜粋。(◇引用元はこちら)

これでは機種によってFPSや使用デバイスなどパフォーマンスに差が出てしまい、平等なゲームにはなりません。

PCプレイヤーが100FPS越え&マウス操作でプレイするのに対し、Switchプレイヤーは30FPS制限&コントローラーのみとなんて明らかに不平等ですよね。
ちなみにマウスとコントローラーでのエイム操作には決定的な違いがあります。僕自身マウスとコントローラーの両方でFPSをプレイしていますが、全然別物なんです。

【マウスでの操作】
【コントローラーでの操作】

これは僕がよくプレイしている「Batlefield V」というFPSゲーム。上はマウスでのエイム、下はPS4コントローラーでエイムしています。見ての通り振り向き速度に差がありますよね。コントローラーはスティックを傾けてカメラを動かすので一定の速度しかでないのですが、マウスは動かす速さに応じて遅くしたり早くしたりと感覚的に操作ができます。このようなことからFPSではマウスが有利と言われています。

また使用デバイスだけではなく、フレームレートも勝敗に関わる要因の1つです。Nvidiaの調査によると使用するグラフィックボードによってキルデス比に差が出るようです。ちなみにグラフィックボードはゲームのフレームレートを左右するくらい重要なパーツで、高性能なものほどフレームレートも上がります。

一番右が最新のグラフィックボードRTXシリーズ。(◇引用元はこちら

上記の画像は「フォートナイト」と「PUBG」のキルデス比をグラフィックボード別に比較したもの。見ての通り、最新のグラフィックボードを使い高フレームレートでプレイするプレイヤーの方がキルデス比が高い傾向にあるんです!

しかしこれらはあくまでも一つのデータ。デバイス以外にも技能や練習量、運など様々な要素が勝敗を喫するのです。実際にSTAGE:0のフォートナイト部門優勝者はPS4のパッドを使って見事ビクトリーロイヤルを獲得していました。

それでもプレイに差が出来ている事実は変わりません。デバイスやプレイ環境の違いは明確に存在します。例えばサッカーの場合、相手のチームがスパイクを履いてプレイしているのに自分のチームは長靴だったらどうでしょう。これじゃあ走りづらくて勝てる試合も勝てませんよね。

これらのことからeスポーツシーンでクロスプレイが活用されることは絶対にありえません。むしろあってはなりません。交流目的の大会ならありかもしれませんが、競技としてプレイする場合は不平等になってしまうだけです。そのためPCはPC、PS4はPS4と格闘技の体重別階級のように分けるべきだと思います。そうすることで初めて”eスポーツ”と呼べるようになるのではないでしょうか。(第1/6回 完)

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