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SFL2022に初参戦した広島TEAM iXAの光と影【ガチサプ 平岡さん×プロチーム対談第4弾】

今回は、ゲーミングサプリメント「ガチサプ」でお馴染みの株式会社テマヒマ代表の平岡さんと、eスポーツチーム 広島TEAM iXAさんによる対談をお届けいたします!

昨年『ストリートファイターリーグ』(SFL)に参戦し話題となった広島TEAM iXAさんですが、その裏側ではなかなか勝てずに苦悩したこともあったのだとか。華やかなeスポーツシーンの光はもちろん魅力的ですが、ときには裏側にある影の部分も泥臭く魅力的なんですよ!

『ストリートファイター5』にドハマりし、それをきっかけにeスポーツ業界に進出してきた平岡さんにとっては、まさに夢ともいえるSFL出場チーム・選手との対談、ご覧ください!

◆広島TEAM iXAオーナー板垣さん、ストーム久保選手とは

広島TEAM iXAは広島を拠点に活動するeスポーツチームです。『ストリートファイター』『クラッシュロワイヤル』などを中心に多数の部門を持ち、2022年にはSFLにもチームとして初参戦を果たしました。今回は代表を務める板垣さんに対談にご参加いただいています。

ストーム久保選手は『ストリートファイター』シリーズを中心に活動するプロゲーマー。以前よりSFLでは選手として選ばれ、2022年にはチームリーダーとして出場しています。見た目や動きの変わったキャラクターをメインに使用することが多いのも特徴です。

◆SFLに参加するも出番がなかったことも

平岡さん「本日はよろしくお願いします。私も『ストリートファイター』のプレイヤーでして、本日はお話できて嬉しいです!プレイヤーになる前までは何かを観戦して熱狂するというようなものが無かったのですが、SFLがある日は放送時間を心待ちにする生活を送っていました。それくらいSFLは楽しかったです。」

ストーム久保選手「観ていただいてありがとうございます!」

平岡さん「チームとしては初のSFLへの参戦となりましたが、ストーム久保選手は以前より何度もSFLに選手として参加していましたよね。」

ストーム久保選手「私が最初に出場したときはまだSFLという名称ではなかった頃ですね。その頃は3vs3のチーム戦で、必ず自分の出番があるという形式でした。次には4vs4に変わり、その中から3人を選出するルールになりました。そのときはリーグの前半・後半のうち、1回だけでも試合に出ればOKというルールだったんです。」

平岡さん「SFLにも歴史があるんですね。」

ストーム久保選手「自分では気にしていなかったのですが、当時私は参加していたにも関わらずほとんど出番がなくて、それについては様々な意見がありました。それもあってか2022年のSFLからは今のルールに変わりました。大会としても柔軟に周りの声を聞いて対応しているのだなと感じています。」

◆チームリーダーとしての苦悩、立ち直り

平岡さん「選手やファンの声に応えてくれるのは嬉しいですね。では、広島TEAM iXAさんがチームとして出場した2022年のSFLで感じた課題を教えてください。」

ストーム久保選手「今回私は広島TEAM iXAのチームリーダーとして参加したのですが、今までに無い経験だったので苦労しました。自分のプレイ内容を考えながら、チームメンバーのオーダー(順番)を考えたり、戦力を考えて戦略を立てたりする必要があり、慣れないことだったので負担になってしまっていました。」


SFLの試合の様子はピックアップされて動画になっています!

平岡さん「リーダーは考えることが多いんですね。」

ストーム久保選手「特にコミュニケーションが不足していたのが良くなかったですね。自己申告で自分の強さや対戦相手との相性を伝えるようにしていたので、本人はいけると思っても客観的に見るとそうではないということもありました。もっと話し合いをした上で決めるべきだったと思います。」

平岡さん「リーダーとしてチームを導くというより、選手を信頼してやってみたということですね。」

ストーム久保選手「前半はその形でやった結果良くないことが多かったので、後半からは自分がリーダーとして仕切るように変えました。チーム内には年上の方もいらっしゃるので最初は戸惑ったりもしたのですが、年齢に関係なく接してくださったので後半は上手くいったかと思います。」

平岡さん「長期のリーグ戦だからこそ調整ができたという訳ですね。こういった不調や悩みはチームで話し合ったりもしたのでしょうか?」

ストーム久保選手「年長者であるクラッシャー選手に相談させてもらいました。社会人経験も豊富な方なので、その経験から学ばせてもらうことは多かったです。リーダーとしての動き方にも迷いがあったので、それはチームオーナーの板垣さんにも相談させてもらいました。ディレクター的な立ち回りが良いのではないか、とアドバイスをもらってそこから迷いは消えましたね。」

平岡さん「以前にディレクター職の経験があったんですか?」

ストーム久保選手「いえ、経験はなかったのですが、そのアドバイスのおかげでイメージを持つことができたんです。あとは板垣さんに色々聞いたり、本を読んだりしてそれを補うようにしていましたね。」

平岡さん「SFLをきっかけに大きく成長する機会になったということですね!」

SFL2022で初勝利を収めた瞬間のストーム久保選手。表情からもそれまでの苦労が伺えます!

◆大会中のプロはどんな練習をしている?

平岡さん「リーグ期間中は普段とは異なる内容のトレーニングをするようなことはあったのでしょうか?」

ストーム久保選手「対戦相手が使うキャラクターの対策をとにかく練習していました。プロアマ関係なくそのキャラクターを使う人に声を掛けて、オンラインでスパーリングという形で1~2時間対戦するということをするんです。ほとんどの時間をそのスパーリングに使っていましたね。」

平岡さん「対戦相手が分かっている長期リーグだからこその練習方法ですね。」

ストーム久保選手「今回のSFLにはホーム/アウェイというルールがあり、特に相手の対策をすることが重要だったんですよ。自分がホーム側だと相手チームのオーダーが先に発表されるので、それに合わせての対策を集中して行いました。」

平岡さん「リーグの期間中にもお互いが対策し合って、変化していくんですよね。その応酬が格闘ゲームやSFLの魅力の一つだと思います。」

ストーム久保選手「リーグの最初と最後ではプレイヤーの動きがまったく違うこともあり、リアルタイムでこちらも動き方を更新していくのは大変でしたね。」

平岡さん「観ている側としては、大会全体としては長期間に渡るので間延びするのではないかと危惧していたのですが、最後までずっと楽しみ尽くせました。選手たちの駆け引きを想像しながら見ていたら凄く面白かったです。」

◆正社員プロゲーマー!

平岡さん「次は、ストーム久保選手の普段の活動について教えてください。今はチームの拠点である広島にいらっしゃるんですか?」

ストーム久保選手「広島にいるときと東京近郊にいるときが半々くらいですね。イベントは関東で多いので。」

平岡さん「広島と東京を行き来する現在の活動スタイルになって、何か自分の中で変化はありましたか?」

ストーム久保選手「意外とオンラインでできることが多いので、あまり気にならないですね。」

今回は広島と東京でのオンライン取材でした。平岡さんのビデオ背景は道場!

平岡さん「ストーム久保選手は兼業のプロゲーマーなのでしょうか?」

ストーム久保選手「私の場合は、正社員として専業プロゲーマーの活動をしています。」

平岡さん「チームオーナーである板垣さんにもお聞きしたいのですが、これは実業団のようなイメージですかね?」

板垣さん「広島TEAM iXAを運営するヤルキマントッキーズ株式会社はゲーム制作などをしている会社です。ストーム久保はそちらには関わらず競技に専念しているので、いわゆる実業団所属の選手のような働き方とは異なります。会社としては、彼は広報的な役割として捉えていますね。大会や試合で活躍することで、会社のことを世の中に広めるという位置付けです。」

平岡さん「ではガッツリとゲームのトレーニングできるわけですね。他のチームメンバーはいかがですか?」

ストーム久保選手「私以外の選手は朝から晩まで別のお仕事をした上で、夜にゲームの練習をしていましたね。最初は無理のない範囲で頑張ろうという話をしていたのですが、後半になるにつれてみんな勝ちたい気持ちが強くなってきたんです。選手によっては無理をして練習時間を割いて、毎日働いて練習して寝るだけのような生活をしている人もいました。」

平岡さん「長期のリーグならではの大変さですね。」

◆SFL不参戦の苦難の年、チームが取った行動とは

平岡さん「広島TEAM iXAさんは昨年SFLに初めてチームとして参戦しましたよね。参戦にあったってどのような経緯があったのか教えていただけますか?」

板垣さん「SFLが今の形になる前からコミュニティにはよく顔を出していて、盛り上げたいと思い活動をしていました。それなので、主催者からもある程度認知はされていたのかと思います。」

平岡さん「確かに、広島TEAM iXAさんはSFL参戦前から十分な存在感がありました。」

板垣さん「しかし、2021年には選手が一人もドラフトで選ばれず、SFLに直接的に関わることがなかったんです。」

平岡さん「『ストリートファイター』の競技シーンにおいてSFLの存在は大きいですが、そのときはチームとしては何をしていたのでしょうか?」

板垣さん「リーグに関われない状態で1年間をどう過ごすかを考えたんです。選手はプロツアーにできるだけ多く参加して活動しながら、チームとしてはiXA CUPという大会を継続して主催するようにしました。そういった活動もあってか、2022年にはSFLのチーム枠に空きができたことをきっかけに主催者から声を掛けていただきました。」

平岡さん「これまでの活動の積み重ねが参戦に繋がったという感じですね。では、SFLに参戦して、オーナーとしてのご感想を教えてください。」

板垣さん「日本全体をゲームで盛り上げていきたいという意気込みを強く感じましたね。野球やサッカーのように、地元の人から応援されるようなeスポーツのリーグ作りをしていると感じ、私たちも広島を代表してそれに応えたいと思ってやっていました。」

平岡さん「SFL期間中のキャラバン(チームとファンが交流するイベント)は今までもあったのですか?」

板垣さん「一般の方も出られる大会イベントのようなものはあったのですが、昨年のようなファンイベントは初めての試みでしたね。正直なところファンイベントって、ハズれると地獄だと思うんですよ(笑)。でも、実際にやってみるとたくさんの方にお越しいただけて大成功だったと思います。」

平岡さん「ずっとコロナ禍で外に出づらい雰囲気の中、イベントが外に出て楽しむきっかけを作ってくれたのはファンも嬉しかったんだと思います!」

◆琉球TEAM iXAになりかけた!?

平岡さん「現在は広島を拠点にしていますが、以前は都内で活動していらっしゃいましたよね。なぜ広島に移転されたのでしょうか?」

板垣さん「きっかけは新型コロナウイルスの流行ですね。オフィスに出社する人も少なくなり、都心に会社を構える意味が薄れてしまったんです。」

平岡さん「移転先を広島にしたのには何か理由があるのでしょうか?」

板垣さん「私は広島出身なのですが、地元の知人から情報をもらって、閉鎖的な広島をもっと開放的にしていきたいという人が増えていると知ったんです。加えて、広島空港もあって便利ということもあり移転を決めました。」

平岡さん「eスポーツでは大会やイベントで移動することも多いので、交通の便が良いのは大きなメリットですね。」

ストーム久保選手は見切れてしまっていますが、板垣さんとチームメンバーのオフショットです!

板垣さん「実は沖縄も移転先の候補だったんですよ。沖縄だったら琉球TEAM iXAになっていた可能性もありました(笑)。」

平岡さん「それはそれで見てみたかったかもしれません(笑)。先ほど広島を代表するというお話もありましたが、チームとして地域との関わりもあるのでしょうか?」

板垣さん「初めの頃と比べて、関わりは増えていますよ。移転した初年度は『何なんだこいつら』という空気を肌で感じていました(笑)。オフィス構えも独特で『ゲームで戦う人をみんなで応援したい』という看板と一緒にぽつんと立っているわけですから、最初の3ヶ月くらいはそういう目線で見られていたと思います。」

平岡さん「周囲の見る目が変わったのには、何かきっかけがあったのですか?」

板垣さん「テレビやラジオなどメディアで取り上げられていくにつれて、イメージが変わっていったのだと思います。最近だと地元のコンビニで声を掛けられたりすることもありますね。皆さんの見る目もかなり優しくなったと思います。」

平岡さん「すっかり有名人ですね!メディアにはご自分から積極的に売り込んでいったのでしょうか?」

板垣さん「初めはプレスリリースなどを出すのみだったのですが、地元メディアから注目されることはほとんどなかったんです。それで、県庁の情報投げ込みボックスのようなものに投函してみたら、色々なところから反応をいただくことができました。」

平岡さん「昔ながらのアナログな手法が功を奏した、と。地方で活動したい人には参考になりそうな情報です!」

◆ゲームを観戦して余生を過ごす時代に、応援されるチームへ

平岡さん「最後に、お二人の今後の展望についてお聞きしたいと思います。ストーム久保選手の現在の目標を教えてください。」

ストーム久保選手「昨年は初めてのチームリーダーということで、他のことにあまり手をつけられませんでした。それなので、今年は自分がやりたいことを全部やろうと思っています。大会はもちろんですが、動画や配信、受け持っているコラムなど競技シーン以外のことも頑張りたいです。」

平岡さん「今は大会で勝つことだけがプロゲーマーの仕事ではなくなってきていますよね。」

ストーム久保選手「加えて、趣味や交友関係を広げたいと思っています。プライベートで遊べるような友達が少ないので……(笑)。」

平岡さん「それは意外ですね(笑)。SFLが終わった後、チームメンバーとの交流は続いているんですか?」

ストーム久保選手「いやあ、実は全然ないんです。むしろ他のチームの方と食事に行ったりすることが増えましたね。リーグ期間中はどうしてもピリピリしてしまってあまり接することができなくなってしまったので、その反動かもしれません。」

平岡さん「では、次にチームが目指す理想を教えてください。」

板垣さん「広島の人から応援されているチームですね。ファミコン世代の人たちが、甲子園やプロ野球を見るように、ゲームを観戦して余生を過ごすという時代が今後来ると思うんです。そのときに広島の人たちから応援されながら世界と戦っていくというのが目指している像ですね。」

平岡さん「私の父親が大の野球好きでよくテレビで観戦していたのですが、昨年のSFLを見てその気持ちが分かりました。それなので、板垣さんの思い描くビジョンにかなりしっくり来ています。今後も広島TEAM iXAさんの活躍に期待しています!」

平岡さんと広島TEAM iXAさんとの対談、いかがだったでしょうか。

時に熱く、時に楽しく私たちを魅了するSFL。取材を通して、その裏側にある選手とチームの苦悩が伝わってきました。そして、eスポーツが一過性のブームではなく文化として根付く未来を見据えていると感じられました。

広島TEAM iXAのSFLメンバーは個性的なキャラクターを使用する選手も多く、今年のSFLでも熱い試合を見せてくれることに期待しています!

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