e-sports業界の発展のためには、チームが黒字化することが欠かせません。チームを黒字化させ、e-sports業界を発展させるために必要な3つの変化があります。
今回はその3つ目「地域に根ざしたe-sportsチームを増やすこと」についてお伝えします。
人気スポーツチームの現状
人気のスポーツはどれも特定の地域を本拠地とするチームが存在します。それにより、ファンの帰属意識が高まり、他チームに対しての対抗心を生み出し、熱狂の原動力となっています。
サッカーの日本代表戦などで、普段サッカーを観ない人たちもガチファン化して応援してたりするのは、国という地域に根ざしたチームを応援したくなるからです。
野球やサッカーやバスケなど人気のスポーツは、プロリーグに参加する各チームが全国に散らばる本拠地にスタジアムを持っています。
一定の水準を満たす規模のスタジアムを持つことが、リーグ参加の条件になっていたりするためです。
ホームゲームの入場チケットは貴重な収入源となるので、スタジアムに足を運んでもらうことはチーム運営にとって、とても大切です。
ガチファンは遠征してきますが、来場者の多くは地元のファンです。
そのため、地元に貢献することでファンが増え、また地元への貢献度を高められる良いサイクルを生み出せているチームは、来場者数も多く収入を安定的に増やせています。
直接プレイを観れたり、スタジアムの熱狂を直に感じられたりすることが、オフラインでのスポーツ観戦の最大の魅力なので、スタジアムに足を運びやすい地元のファンをどれだけ増やすかが、チームの人気を最大化し、収益へと繋げるために大切になります。
e-sportsチームの現状
地元にチームを作ったり、大会を開いたりと、e-sportsを活用して地域を活性化しようという動きは活発です。都市部よりも地方の方が積極的に動いている印象もあります。
パソコンと場所があれば、すぐに大会を開けるし、チームを作るのも他のスポーツと比べて簡単なので、やりたい人さえいればできてしまいます。
e-sportsに積極的に取り組むことで、若者にも地元への関心を高めてもらうことができます。
ゲームで遊ぶことが高齢者にとって良いという研究も進められているので、福祉の面でゲームを取り入れる自治体も増えています。
ゲームイベントへの参加を目的に、旅行がてら訪れてくれる人も増やせるので、観光誘致にも繋げられます。
若年層を取り込みたい地域にとって、e-sportsというコンテンツを活用して、人の流れを作ることは理に適っています。
ですが、仕組みとして出来上がっているものがある状況ではないため、担当者のやる気が存続を決めてしまっているような実態もあります。
十分なコストをかけられるわけではないので、その多くが今は小さな存在です。
地元企業が赤字事業としてチーム運営をしている状況はよく耳にします。
これでは継続性が乏しく、そのうち参入する企業や自治体も減っていってしまう恐れがあります。
成功モデルがあるわけではないので、今は手探りでe-sportsに取り組んでいる自治体や企業が多いため、仕方ないと思うところもありますが、そんな中での打開策があります。
それが、地域に根ざしたe-sportsチームを作ることです。
地域に根ざしたe-sportsチームとは?
e-sportsはオンライン対戦ができる競技だからこそ、よりオフラインでの交流の価値が高まります。
動画配信などでコミュニケーションが取れるのは、他のスポーツよりもファンとの距離が近いと言えますが、生で見れる機会は他のスポーツと比べるとまだまだ少ないと言えます。
メインはゲームの画面なので、生で見てもあまり変わらないのですが、会場の熱気を感じられる点が大きな違いです。
e-sportsで野球やサッカーのようなチーム保有の本拠地スタジアムが作られるのは、まだまだ先のことだと思いますが、地元で定期的に開催される対戦会やミニ大会などは、今の環境でも実施できます。
地元の人たちと接触する機会を増やすことで、自分達の存在を知ってもらい、直接的な交流を通じて好きになってもらい、応援してもらえるようになります。
また、ゲーム以外にも地元の行事にチームとして積極的に参加をしたり、地元企業への訪問をするなど、地域社会との関わりを大切にすることが、ファンを作るためには重要になっていきます。
地域の清掃活動でも良いですし、学校行事の手伝いでも良いですし、地元の子供たちにゲームを教えるとかもできます。
人は、自分の知らない人がやっていることには興味を持ちませんが、自分の知り合いがやっていることは興味を持ちます。
なので、地元に知り合いを増やすきっかけ作りを積極的にすることで、応援されるチームになっていけます。
地元の観光地を紹介したり、特産品を紹介したり、地元の有名人とコラボしたり、その地域にある資産を、チームを媒体として全国に発信することで、地元の人たちから地元代表のお墨付きをもらえることを目指します。
すると、ゲームをきっかけにではなく、選手やチームや活動をきっかけに、ゲームにも興味を持ち、応援してくれる人は増やせます。
ゲームはよくわからないけど、頑張ってくれている若者たちを応援したいと思う人は必ずいます。
その延長線上に、スポンサー企業を見つけることもできるはずです。
ファンを作るための原理原則があるのでご紹介します。
【知る→好きになる→応援する】
応援してもらうためにはまず知ってもらい、好きになってもらうことが必要です。
地元の人たちが好きになってくれる人がどういう人なのかを考えれば、チームや選手が地元の人たちに対してやった方が良いことはたくさん考えられます。
そのゲームに興味がある人たちだけに好かれていても、安定的な収益を得られるチームにはなれません。
よっぽど活躍しているとかなら別ですが、多くのe-sportsチームがそこそこの実績だったり、これから活躍しようとしているチームだと思います。
そういったチームが生存していくためには、安定的な収益を出すために必要な数のファンを、コア層以外で増やすことが大切です。
そのためには、帰属意識を活用でき、直接的な交流もしやすい、地域に根ざしたチーム運営が鍵を握ります。
筆者プロフィール
平岡大輔
GO CRAZY GAME(GCG)プロデューサー
ゲーミングサプリ「ガチサプ」開発&販売責任者
マーケティング脳をつくる会社 株式会社テマヒマ 代表取締役
自身が格闘ゲームに没頭したことを皮切りに、ガチゲーマーのためのパフォーマンスサプリ「ガチサプ」を開発、e-sports業界の発展のためにコミュニティ活性化に努めている。
e-sportsチームの内情を知り、業界の発展のためには「e-sportsチームが事業として黒字化できるビジネスモデル」の構築が必須だと考え、チームの収益化のための活動に取り組むプロジェクト「GO CRAZY GAME(GCG)」を立ち上げた。
100社以上の企業のマーケティング支援、組織改善に取り組んできた経験とノウハウを使って、e-sportsチーム事業の収益化・安定化を実現させるために活動中。
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平岡氏の取材記事はこちら
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