e-sportsチーム生存戦略 連載 コラム

e-sportsチームを収益化するための道筋① 従来型のスポンサー依存モデルからの脱却

e-sportsチームを収益化するためには、従来型のスポンサー依存モデルから脱却する必要があります。

現在、収益化できているe-sportsチームの多くは、その収益の大部分をスポンサー収入で賄っています。

ですが残念なことにトップチーム以外には、十分な収益源となるスポンサーがなかなか集まりません。

これはここまでお話ししてきた、PR目的の予算を目的としていることが原因です。

スポンサー企業は、影響力のあるチームに乗らなければPRの恩恵を受けられません。

なので、多くの影響力の弱いe-sportsチームには、スポンサー企業が集まらないのです。

では、どうすれば良いのかについてお伝えします。

PR予算ではなく、プロモーション予算

e-sportsチームが収益化するための鍵を握るのが、スポンサー企業の財布を替えることです。

PR予算ではなく、プロモーション予算からスポンサー料をいただくという発想への転換が必要です。

PRとは、公共性のあるメディアで露出されることによって、その商品を知るきっかけを作る活動です。

テレビが取材をしたくなるようなメニューを作り、それが紹介されたことで行列ができたお店は、PRを活用していると言えます。

信頼のおけるメディアで紹介されることで、その情報に触れた見込み客にポジティブな認知を与え、その商品への興味づけを行うことができます。

現在e-sportsチームをスポンサードしている企業の多くは、そのe-sportsチームが影響力のある信頼されているメディアだと捉えて、PR費用を投資する価値があると考えている企業です。

ですが、PR予算として大きなお金を使える企業はごく僅かです。

なぜなら、成果がはっきりとしない投資だからです。

PRの成果は数値化しづらいために、どれだけ影響力があったのかを測ることができません。

なので、多くの企業がPR費用として多くのお金を使いづらい状況です。

でも、商品を売るためのプロモーション費用としては、どんな企業もお金を使っています。

生活をしていて広告を見ない日はないと思います。それだけ多くの企業が多くの広告を出すためにお金を使っているということです。

商品が売れるならいくらでもお金を出すという企業は多く存在します。

なので、スポンサー料の出どころを、PR予算ではなくプロモーション予算として捉え直す必要があります。

企業がお金を出したいプロモーションとは

では、企業がお金を出したいと感じるプロモーションとは、どういうものなのかについてお話します。

企業は商品を売るために広告を出します。商品を知ってもらうきっかけに対して投資をしていると言えます。

ですが、広告をしても商品が売れない場合もあります。

広告の世界では「広告に使っているおカネの半分は無駄だとわかっている。 問題は、どちらの半分が無駄かわからないことだ。」という有名な言葉があります。

ほとんどの企業が広告の効果がわからないけど、やめると売上が下がるかもしれないと思って広告をし続けています。

ですが、広告効果があった時にだけ広告費を払うことができれば、企業はリスクを抑えてプロモーションすることができます。

これがオンライン広告が劇的に伸びた大きな理由の1つです。

オンライン広告の多くは、広告がクリックされた時にだけ課金されるモデルを採用しています。

つまり、見込み客に届かなかった広告に対して、1円も支払わなくて良いのです。

なので、プロモーション予算の多くない中小企業も積極的に広告を出すようになり、その結果、オンライン広告の出稿費はTV広告の出稿費を超える規模まで成長しました。

さらに、オンライン広告の成長を下支えしているのが、商品が売れた時にだけ課金される成果報酬モデルの広告です。

企業からすれば、売れた商品の代金から広告費を支払えば良いので、お金を無駄にするリスクがありません。キャッシュフローもよくなります。

なので、成果報酬型の広告にはいくらでもお金を使いたいと思っている企業は、たくさんいます。

e-sportsチームがプロモーション予算を引っ張る方法

通販業界では、この成果報酬モデルの活用によって、多くの中小企業が急成長しています。

そして驚くことに、この広告モデルで商品を販売しているメディアの多くが個人だということです。

webメディアを運営するブロガーや、インフルエンサーと呼ばれるSNSを活用して影響力を持った人たちが、企業の商品を紹介することで販売手数料を受け取っています。

要は、e-sportsチームも同様に選手個人がメディア化すれば、企業が広告費を出す価値が生まれるということです。

ほとんどの企業がPR費用はなくても、プロモーション費用は使っています。

なので、e-sportsチームの活動をコンテンツ化し、チームや選手をメディアとして活用することで、企業のプロモーション予算を引っ張ることができます。

スポンサー料をプロモーション費用として捉えることで、ゲーム関連の企業だけではなく、アパレル・化粧品・健康食品・飲食店・美容室など、広告して集客をしている企業全てがスポンサー企業の候補となります。

さらに、成果報酬型でプロモーションを受けることで、より多くの企業を集めることができます。

「メディア価値の高さ=発信力・影響力の大きさ」なので、フォロワーを増やすことは必須になります。

プロモーション費用としてお金をもらうための心構え

プロモーション費用としてお金を出してもらう際の重要なポイントがあります。

それは、スポンサー企業の販売促進になる紹介を積極的にするということです。

スポンサー企業のメリットとして、当たり前のように用意されている企業ロゴの掲載ですが、あれはプロモーションとして考えた時に何の役にも立ちません。

ロゴが目に入ったからといって、その商品を買う人はいないからです。

人によっては自分で調べて、たまたま自分の探していた商品がそこにあり買うという人もいるかもしれません。

良くて、好きな選手を応援してくれてる企業だから、どうせ買うならそこの商品にしようという後押しになることもあるとは思います。

ですが、そんなたまたまのために何百万も何千万も出せる企業が何社あるのでしょうか?

プロモーション費用としてお金をいただくのであれば、他の媒体に出すよりもe-sportsチームに出す方がより効果的に販促ができると思ってもらえるような、スポンサーメリットを用意しなければいけません。

例えば、商品レビュー動画を作る、SNSで積極的におすすめ投稿をする、販促用コンテンツに出演する、企業アカウントのフォロワーを増やすためのキャンペーンやフォロワーとの交流に関わるなど、成果物を出せるメリットを提供することが大切です。

ですが、ただ同じような情報を何度も発信したり、企業が用意したような定型メッセージを読み上げるような伝え方では伝わりません。

運営からやらされている、案件だからやっているということは、見ている側からすぐにわかります。

そんな伝え方で人の心を動かすことはできません。

本当に良いと思ったものを人におすすめする時のように、企業や商品を紹介できなければ伝わりません。

なのでまずは、スポンサー企業や商品のガチファンになることが大事です。

そのためには、よく知ることから始めます。

選手自身が企業訪問をして、経営者や責任者の方へ直接話を聴く機会を設けることで、その企業や商品への理解を深めることができます。

そして、自分自身のことを直接その企業の人たちへ紹介する機会を作ることで、スポンサー企業の中でファンを増やすことができます。

自分自身が好きになれば、それを人に伝えることは難しくありません。たくさん知ることで、いろんな紹介の仕方ができるようになります。

好きな選手が本当におすすめする商品があれば、その商品に興味を持ち買う人は増えます。

e-sportsチームや選手は、企業に応援されている立場ではなく、その企業を応援することで、お互いに高めあえる関係を作る姿勢が大切です。

スポンサー企業の利益を増やすためにできることを、チームや選手というコンテンツを利用して行うという前提に立てれば、企業の業績に貢献できるパートナーシップのあり方を作れると思っています。

 

筆者プロフィール

 

平岡大輔
GO CRAZY GAME(GCG)プロデューサー
ゲーミングサプリ「ガチサプ」開発&販売責任者
マーケティング脳をつくる会社 株式会社テマヒマ 代表取締役

自身が格闘ゲームに没頭したことを皮切りに、ガチゲーマーのためのパフォーマンスサプリ「ガチサプ」を開発、e-sports業界の発展のためにコミュニティ活性化に努めている。

e-sportsチームの内情を知り、業界の発展のためには「e-sportsチームが事業として黒字化できるビジネスモデル」の構築が必須だと考え、チームの収益化のための活動に取り組むプロジェクト「GO CRAZY GAME(GCG)」を立ち上げた。

100社以上の企業のマーケティング支援、組織改善に取り組んできた経験とノウハウを使って、e-sportsチーム事業の収益化・安定化を実現させるために活動中。

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