大会に勝つために、毎日10時間以上もの練習を行う「プロゲーマー」。
そんな職業に憧れる若者は今増えています。
好きなゲームでお金を稼ぎたい。
好きなことをして生きていきたい。
そう思う気持ちは、きっと誰だって持っているでしょう。
私はこのゲーマーゲーマー's POSTやnoteというサイトでeスポーツについて考え、記事を書き続け今年で3年になる「よろず」と申します。
誰よりもeスポーツやプロを目指す若者について向き合ってきた自信があります。
ライター活動と並行しながらeスポーツベンチャー企業であるRATELに所属し、ゲームとは何か。eスポーツとは何かを考えながらVOLBOXというアカウントを運営しています。
他にも自らチームを設け、プロゲーマーとして活動したい若者を背負いながら、その子たちがどうすればゲーマーとしてプロとして成長していけるのかを間近で見続けています。
私自身、一度はプロを目指してゲームに打ち込んだ時期だってありました。
ゲームに向き合うということはどういうことなのか自分自身理解しているつもりでいます。
プロゲーマーを目指して学校や青春という選択肢を捨てて、夢の為にゲームに全てを捧げる若者も少なくありません。
今回の記事では、そんな若者の現状と私自身の経験と考えから、「プロゲーマーを目指すこと」ということを考えていけたらと思います。
若いプロゲーマーは、どのように活動しているのか。
「若いプロゲーマー」とざっくりとした見出しを書いたが、多くのゲーマーがこう聞いて思い浮かべるのは、「フォートナイト」のプロゲーマーでしょう。
先日行われた、各シーズンごとに行われる公式大会のFNCS(Fortnite Champion Series)において、アジア圏で1位を獲得した選手はそれぞれ15~6歳という若さでした。
彼らは高校1~2年生にあたる年齢にもかかわらず、ゲームの世界で結果を残し、アジアで一位に輝き賞金約360万円を稼いでいるのです。
「15歳で」と思うのがいたって一般的な考え方ですが、その考えはここでは通じません。
FNCSの上位にランクインする20歳以上のプレイヤーほぼおらず、フォートナイトの選手寿命は20歳が限界だと考えるプレイヤーも多いのです。
試合展開がとても早いゲームのために、反射神経や入力速度、素早い判断が求められることが競技シーンの年齢層を低くしており、同時に選手寿命も短いと言われています。
練習時間、公式大会の開始時間、より競技プレイヤーとして成績を残すため。
様々な理由から、通信制高校という進路を選ぶ若いプロゲーマーも多いのです。
このように、自分の歳と近いプロがゲームに集中するための進路を選んでいることに影響され、通信制高校やeスポーツ専門学校、或いはゲームだけに絞って活動を始める若者も今増えています。
プロゲーマーを目指すなら、ゲームに集中できる環境を選ぶべき?
前提として、ゲームのための学校を選んだり、学校に行かない、仕事をしないという選択を批判する気持ちは全くありません。
義務教育は15歳で終わりますから、どんな進路を選んでもその人の自由です。
しかしながらプロゲーマーになるための手段やプロになってからのこと、eスポーツのことは普通科の学校で学べるものではないので、少しでもアドバイスになればと思い自分なりの考えや経験、知識を述べていきます。
eスポーツ専門学校に通いたいと思っている人へ。
前提として知っておかなけばいけないと思うのは、フォートナイトだけに限らず、このゲームやeスポーツという業界がまだまだ若い業界であるということです。
今後どのように発展していくのか、或いは廃れていくのか。
1~2年後の未来は想像や計算ができても、3年やそれ以上の未来は誰も予想できません。
これはeスポーツに限ったことではありませんが、プロになったからといって安定した未来が約束されているというわけではありません。
また、業界の歴史から見てもeスポーツ専門学校は遥かに歴史が浅いです。
名門塾のように進学実績、専門学校では輩出実績とでも言うんでしょうか。
そのような実績が多くあるeスポーツ専門学校はほぼないと言っていいでしょう。
これは学校自体の実績をどうこう言いたいわけではなく、歴史が浅いとその分人数が少なくなるのは当たり前です。
しかしこれからは、プロを目指すために専門学校を選びたい若者はそのような目を持つ必要が出てきます。
自分で学校を調べてみて、自分の活動のためにプラスになるかどうかを設立からの年数や独自の価値観で冷静に判断する力は、絶対に備えておきましょう。
学校や仕事をやめて、ゲームの時間を増やそうと思っている人へ。
あえて簡単に説明しますが、プロゲーマーになるためには誰よりも強くなればいいのです。
誰よりもゲームに時間を捧げて、誰よりもゲームに向き合えば、学校に通っている人や仕事をしている人よりも強くなれる可能性は高まるでしょう。
しかし、1つここで聞いておかなければならないことがあります。
それは、あなたが「プロゲーマーになりたい」のか、「プロゲーマーとして生活していきたい」のどちらなのかということです。
多くの人は、強くなって、大会に勝ち続ければプロとして生きていけると思っていますが、残念ながらそうではありません。
強くなって、大会に勝って、「多くの人に応援される」ことでプロとしての活動を続けていけるのです。
だからプロゲーマーはゲームはもちろん、YouTubeや配信活動、テレビやインタビューなどのメディアに出ることで自分の頑張りをあらゆる仕事を通じて発信しているのです。
むしろ、プロになってからはゲームよりも発信する努力をするべきだと言えるでしょう。
プロゲーマーになりたいのなら、今すぐに時間を確保出来る選択を取るべきです。
しかし、あなたがプロゲーマーとして生活していきたいのなら、学校や仕事でしか学べないことがとても大切になってきます。
学校や仕事の何が大切なのかを考えてみるだけでも、あなたのプロとしての人生を支えてくれる力になるでしょう。
プロゲーマーとは、仕事である。
よく「プロゲーマーはゲームが好きじゃないと出来ない仕事だ」という言葉を聞きませんか?
これは金銭的な意味ももちろん含まれていると思うけれど、お金を除いて考えても大変な職業だと思います。
プロとして勝つためにはたくさんのゲームの時間が必要で、ただひたすらゲームするだけでなく反省会や大会を見て研究するための時間を作らなければいけません。
でもそれだけでは食べていけるような業界でもなくて、自分でYouTubeの撮影と編集までするプロや、中には本を執筆することで世間にプロゲーマーという職業を知ってもらったり、職業としての地位を高める活動をしている人もいます。
どれだけゲームが好きでも、そこまで頑張るのは間違いなく大変です。
「ゲームをするだけでお金がもらえる夢のような仕事」だとは私も思います。
eスポーツ業界が今後社会的に大きく成長していくためにも、プロゲーマーという職業はそんな仕事でなければなりません。
でもその意味をはき違えて楽な仕事だと思ったり、他の仕事よりも簡単な職業なんだという履き違いはしてほしくないなと思います。
そしてもう一つ。
これは特にプロゲーマーになるために学校に行かなくなったり、学校を辞めたいと思っている学生の人に伝えたいのですが、どう頑張っても10代の学校生活はこの先取り戻せるものではありません。
学校での生活がどれほど貴重で、楽しくて、青春が尊いものであるか学校に通っている内は絶対に分かりません。
それが日常だからです。
正直、私は学校に通っていて良かったなと自信を持って言える証拠や経験を持っていません。
楽しかった経験よりも嫌なことや辞めたかった、行きたくなかった思い出の方がたくさんあります。
でも私は、そんな嫌なことから逃げるためにプロゲーマーになるんだとは言いたくありませんでした。
嫌な何かから逃げるためにゲームに向き合うことは、ゲームに対してもプロに対してもとても失礼なことだと思いました。
絶対に、「ゲームが大好き」だと誇りを持っていうためにも、学校から逃げず向き合い続け、同時にeスポーツで何かをしたいという夢も追い求め続けました。
今のこのeスポーツの活動に誇りを持てるのは、きっと嫌なことから逃げなかったからだと思います。
プロになれるチャンスがあるのなら引き止めることはしませんが、もしもまだプロになるまでに期間があって、今学校という環境に身をおいているのなら、勉強が出来なくても嫌なことがあっても出来る限り楽しむ努力をしてほしいなと思います。
学校には行ってください。
嫌なことから逃げるために、プロゲーマーになるなんて失礼なことは言わないでください。
後悔のない人生の選択をしましょう。
【執筆者】
よろず
eスポーツに関するコラムをnoteにて執筆中。noteのフォロワー数は6800人以上、累計150000PVの実績をもつ。
https://note.com/yoro2u
姉妹サイト『ゲーマーゲーマー』でのよろずさんの連載記事はこちらからご覧いただけます。
https://gamer2.jp/category/series/yorozu/
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