コラム

ゲーム大好きっ子とどう向き合う? ゲームとの付き合い方を考える

コロナ禍でお家時間を増えた今、小中学生の子ども達も、外で思いっきり遊ぶ機会が減り、家でゲームをして過ごすということが多くなったのではないでしょうか。「ゲームばかりして!」「YouTubeばかり見ないで!」と言ってばかりだという保護者の方も少なくないのでは。

この記事では、ゲーム大好きというお子様を持つお母さん、お父さんとともに、ゲームとどううまく付き合うべきか、考えてみたいと思います。

コロナ禍で増えたスクリーンタイム

「国立研究開発法人 国立成育医療研究センター コロナ×こども本部」が、2020 年 9 月 1 日~2020 年 10 月 31 日に小学 1 年生~高校 3 年生(相当)の子どもと0 歳~高校 3 年生(相当)の子どもの保護者を対象に実施したアンケートによると、「1日あたりどのくらい、テレビやスマホ、ゲームなどを見ていたか」という問いに対し、全体の42%が2時間以上と回答しました。もう少し細かく見てみると、小学校低学年(1~3年生)は43%、高学年(4~6年生)は52%、中学生は60%の人が、1日2時間以上テレビやスマホ、ゲームに夢中になっていたという結果に。

また、テレビ、ゲーム、スマホとの付き合い方について保護者に質問したところ、「使う(見る)時間について、こどもとルールを決めている」人は全体の42%、「使い方(見るもの・内容)について、こどもとルールを決めている」人は 33%であった一方、「使う時間や使い方について、特に管理していない」保護者が 12%という結果も発表されました。

参考:■コロナ×こどもアンケート 第3回調査 報告書/国立研究開発法人 国立成育医療研究センター コロナ×こども本部

ゲームで遊ぶ時間はどう決める?

ゲームは、基本的に、夢中になるように作られています。ひとつのことをクリアすると新しいミッションが与えられ、そこに向かってまた試行錯誤しながら進めていく楽しさが詰まっているのがゲームです。つまり、なかなか終わりが見えないのです。

そもそも、親がゲームの時間を気にする理由は何でしょうか?
勉強する時間が減る。
寝る時間が遅くなる。睡眠不足になる。
目が悪くなる。
ゲーム以外のこと(スポーツ、読書など)に興味がわかなくなる。
ゲーム依存症が心配。

では、それらを解決できれば良いわけです。

平日、1日どれくらいの時間が適当なのかは、ご家庭の考え方によっても様々だと思いますが、夜9時に寝るとして考えてみましょう。午後3時に学校から帰ってくるお子様であれば、ざっと計算して6時間、家で過ごす時間があるわけです。その中で、勉強する、夕ご飯を食べる、お風呂に入る、習い事に行く、などの時間を引くと、残りは2時間くらいでしょう。この2時間が、好きなことをする時間というわけです。そう考えると、子ども達も案外忙しい1日を送っていると思いますよね。

実際のところは、もう少し自由時間があるかもしれませんが、「平日の場合ゲームは1日1時間」とルール決めされるご家庭が多いのではないでしょうか。

ダラダラと遊ばないためにも、1日にゲームで遊ぶ時間を決める、というのは大切なことです。しかし、ここで忘れてはいけないのが、ゲームは簡単に止められないということ。これは、子どもの意志の問題だけではありません。プレイしているゲームの途中で止めるということは、これまで築いてきた何かを0に戻してしまうことになるかもしれないし、チームで戦っている場合は仲間に迷惑をかけることになるかもしれません。

ゲームの区切りは時間ではない、ということ。

ゲームの内容が分からない親からすれば、「今、すぐ止めなさい」と言いたくなりますが、それは難しいこともあるということを理解して、ゲームの区切りで止めるよう声をかけると良いと思います。

その他、「宿題が終わってからゲームで遊ぶ」「夜8時以降はしない」「朝〇時~〇時はOK」など、ご家庭でルールを追加してみてください。そのとき、最も大切なのが、「子どもと一緒にルールを決める」ということです。親から「ゲームは1日1時間ね!」と言われては、子どもも面白くありません。必ず、しっかり話し合って、お互いが納得するルールを考えてみてください。

親もゲームの内容を理解しよう

子どものゲームとの付き合い方に悩む保護者の方は多いのですが、そう悩む方で子どもと一緒にゲームをするという方は少ないように思います。子どもが遊んでいるゲームの内容がさっぱり分からないというお父さん、お母さんもきっと多くいらっしゃるでしょう。

ゲームには、年齢制限(年齢別レーティング)があるもの、課金制のもの、オンラインでプレイするものなど、様々あります。
年齢制限があるものは、暴力的表現や反社会的要素が含まれる、など、注意が必要なコンテンツの可能性があります。子どもが影響を受けないか、保護者がきちんと内容を把握しておくことも重要です。また、課金してパワーアップするゲームもあり、子どもが課金を求めてくるかもしれません。その場合はどうするのか、あらかじめ親子で決めておきましょう。

また、ゲームが原因でお友だちとトラブルにならないように注意することも忘れてはなりません。子どもの目には、ゲームの世界がリアルに映る場合がありますが、現実とゲームは切り離して考えるよう、説明しておくと良いと思います。また、年齢が上がるとオンラインゲームなどを楽しむ場合があります。世界中の人と繋がれるという素晴らしい面もありますが、知らない人とネット上で繋がることの危険性も覚えておきたいもの。個人情報を出さない、人を傷付ける発言をしない、など、ネットリテラシーについても親子で話し合う必要があります。

どうしてそのルールが必要なのかを子どもがしっかり理解することは重要です。そのためにも、保護者は子どもがプレイするゲームがどんな内容なのか、どんな遊び方をしているのか、興味を持つと良いでしょう。

「どんなゲームなの?」「面白い点はどこなの?」と、ゲームを通じて子どもとコミュニケーションを取ることで親子の良い関係も築けるのではないでしょうか。

ゲームを作る楽しみも選択肢として与えてみては

ゲームとどう付き合えば良いかを考えてきましたが、もうひとつ、おすすめがあります。

それは、ゲームで遊ぶだけではなく、ゲームを作るという選択肢を伝えることです。もしかすると、ゲームが大好きなお子様には、ゲームを作るセンスや適性が備わっているかもしれません。好きなことに没頭し、将来の役に立つ、と考えるとゲームも悪くないかも、と思えるのが親ではないでしょうか。

2020年から小学校でプログラミング教育が必修化されました。小学校での学習のねらいは、プログラミング言語の習得ではなく、論理的思考力を身に付けることですが、こうした論理的思考力もゲーム作りを通して磨かれていくので、興味のあるお子様はぜひチャレンジしていただきたいと思います。

黄野いづみ/Izumi Kohno
山口県出身。学習院大学文学部卒業。16歳で単身アメリカへ留学。高校卒業後、日本の大学に入学・卒業し、その後に再度渡米。日系メディア会社やABCネットワーク系列のテレビ局にてインターンとなる。帰国後は出版社で企画編集ライターとして従事し、10年間の出版社勤務を経て独立。現在、子育て、工作レシピ、STEAM教育、eスポーツなどに関するコラム執筆や、様々な媒体での取材・執筆活動などを行っている。プライベートでは、2人の男の子を育てる母。

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