プロゲーマーが所属するプロチームには、多くのスポンサーが付いている。
なぜプロチームにはスポンサーが必要なのか、なぜ企業は選手たちに支援するのか、あなたはどれほど理解しているだろうか。
今回は、この「スポンサー」という存在について、記事を書いていこうとおもう。
そもそもなぜ企業は「スポンサー」になるのか?
スポンサーという言葉を一言で表すならば「広告主」で、テレビのCMや、野球などが行われるスタジアムにある広告がイメージしやすいと思う。
多くの人が「企業の存在をアピールするため」だと考えており、勿論その意味も含まれるのだけれど、実際はそれだけではない。
地域活性=社会貢献
サッカーチーム「ヴィッセル神戸」や「ガンバ大阪」、eスポーツチームの「Sengoku Gaming」(福岡)、「Quintette」(静岡)など、地方を盛り上げたいと考え活動しているチームは数多く存在する。
同じように「地方を元気にしたい」と考える企業は多く、地方を重点に活動するチームに活動資金を提供する、つまりスポンサーになるということは、「企業の社会活動」(社会に貢献する)に繋がるのだ。
企業のイメージアップ
企業の社会活動→社会に貢献することで存在意義を提示する→企業のイメージアップ。
その他にも認知度アップや雇用対策(学生の目に触れる機会を増やす)、社員の福利厚生、更には商品の販売促進など様々な意味合いがあるが、これらが主な理由だろう。
「ならスポーツチームにスポンサーしたほうがメリットが多いのではないか?」という考えも生まれるが、eスポーツチームにも充分なメリットがあることを知っておいてほしい。
eスポーツはまだまだ知名度が低い。
つまり、自分たちの会社を宣伝するには少し力不足な部分がある。
しかし、今現在のeスポーツの主なターゲットは若年層であり、この市場には「多くの若者がいる」というメリットがある。
企業のブランディングとして若者層をターゲットにしている会社がであれば、eスポーツチームのスポンサーになることでその経営方針をアピール出来るし、若者にあまり知られていない会社であれば興味を持ってもらえる確率は高くなるだろう。
eスポーツチームがスポンサーを求める理由。
「資金がほしいから」の一言に尽きるのだけれど、その「資金」にはどういう意味が含まれているかご存知だろうか。
多くのeスポーツチームは当然のように「強さ」を求めている。
ただ、既にいる選手に給料を支払うことで、強くなってもらうというのはあまりにも不確定だし、「既にいる強い選手に来てもらう」ことが最も手っ取り早く、確実な手法である。
では選手だけの為の資金かと言われればそうではなくて、例えば募った選手の実力が充分にあって、実績も残せているのなら、選手が着るユニフォームや、ファンへ向けて発売するグッズ制作にも資金が必要になる。
自分たちのチームをプロチームにするということは、そのチームを会社として運営していくということ、そこに所属する選手を食べさせるということだ。
だからこそどれだけそのチームが大きくなって、人気を得たとしても、スポンサーという存在がいなければ活動を続けることは出来ないし、eスポーツという業界を成長させることもできない。
私達がeスポーツとしてゲームを楽しめるのは、プロゲーマーと呼ばれる存在がいるからであって、彼らが職業としてゲームに取り組めるのは、このような仕組みが成り立っているからである。
ここで知っておいてほしいのは、スポンサーやそのチームの方針には必ず従う必要性があるし、自分が考えている活動ができない場合もあるかもしれないということだ。
「自分のやりたいことができない」と分かって、それでもプロゲーマーを目指す若者はどれほど存在しているのだろうか?
「プロゲーマーになりたい」ではなく「プロになってどうなりたいか」。
「プレイした分だけ上達する」ような簡単な世界ではないのだけれど、だからといってeスポーツは練習しなくても変わらないという世界でもない。
当然練習しないよりも練習した方が上達出来る可能性は高いし、本当にこの世界で一番を目指すのなら兼業、学業と両立しながらよりも専業として取り組んだ方が良いのは確かだろう。
しかし、実際世界で一番になった時や、プロになってからのキャリアを考えていかなければ、スポンサーやチームは支援のしようがなくなってしまう。
ずっとプロをやってゲームに挑戦し続けたいのか、いつかはコーチとして活動したくて、その足踏みとしてプロを経験したいのか、それともまだ何も考えられていないのか。
もうこれからプロとして活動していく人材は、時代の先駆者ではない。
だからこそ、闇雲に突っ走っていけばいい業界ではもうなくなっているし、チームも「選ばなくてはならないもの」になりつつあると考えている。
プロチームのスポンサーは何を考えているのか、チームの代表は何を考えて活動しているのか。
野球のようにドラフトがあるわけでもないし、プロになれるチャンスが目の前にあったとしても焦ってはいけない。
実際私はプロでもないし、プロになれる実力もないから偉そうなことは言えないのだけれど、ただ1つ「ゲームに人生を賭ける」ということに後悔をしてほしくないと思っている。
人生について深く考えて、ゲームの好きな人たちがゲームに人生を飲まれないように生きてほしい。
参考:スポーツで飯を食う「スポンサーメリット 企業が期待する7つのこと」
【執筆者】
よろず
eスポーツに関するコラムをnoteにて執筆中。4月から新大学一年生の18歳。noteのフォロワー数は6800人以上、累計150000PVの実績をもつ。
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