ゲーマーゲーマー編集部の小河原です。
昨年『Wo Long: Fallen Dynasty』(ウォーロン)をプレイしてから、ゲームで負けた際に「一敗塗地!」と言うようになりました。これは完全敗北を意味する言葉なのですが、語感の硬さが何だかカッコ良く、負けているのに堂々した感じが面白おかしくて敗北のストレスを緩和してくれます。四字熟語って面白い!
『ウォーロン』にはその他にも「報仇雪恨」「捲土重来」等、対戦ゲームと相性の良い四字熟語が登場するので、これらも上手く使いこなしていきたい今日この頃です。(※読みはそれぞれ「いっぱいとち」「ほうきゅうせっこん」「けんどちょうらい」です)
人々の記憶に残る名実況
「伸身の新月面が描く放物線は、栄光への架け橋だ」
これは、2004年アテネ五輪の体操男子団体決勝で実際に放たれた"名実況"です。20年経った今でもこの一連の言葉を覚えている人は多いのではないでしょうか。
実況というのは、あまり詳しくない人にも何が起きているのか、何が凄いのかを伝えるためにあります。それと同時に、見ている人たちの心の動きを加速させるのがその役割だと私は考えています。上記のアテネ五輪の実況は、そこに説明の要素はまったく含まれていませんが、見ている人たちの興奮や感動を一気に増幅させたからこそ多くの人の記憶に刻まれ、今でも語り継がれているのだと思います。
eスポーツおける名実況はこれだ!
話題になることは少ないですが、eスポーツの実況は実はなかなか難しいものなのです。
たとえば、格闘ゲームの『ストリートファイター5』(スト5)は2016年に発売されましたがその後2022年までアップデートされ続け、最終的には45人の操作キャラクターが存在します。そのため、45人の名前とその技名(おおよそキャラクター数×6~8個程度なので300個程度と思われます)を覚えていないと、きちんとした実況はできません。
ローカルな大会であれば技名は俗称を用いられることが多いのですが、公式大会に呼ばれるような実況者は正確な名称を用いることが求められる場面も少なくありません。加えて、技のモーションや性質、対戦カードの相性、選手情報等々、覚えておく必要のある情報は山ほどあるのです。eスポーツの実況がいかに難しいかお分かりいただけたでしょうか。
と、ここまでの説明をすべて台無しにするような名実況がeスポーツにはあります。それが、上に動画を貼った「ウメハラ電波実況」と呼ばれるものです。専門用語はおろか、キャラクター名、技名等もほとんど出て来ず説明的な要素はほぼありません。しかし、これほどまでに興奮が伝わり、尚且つインパクトのある実況が他にあるでしょうか。
片方の選手に注目し過ぎて偏っているという見方もありますが、私は間違いなくゲーム、eスポーツにおけるNo.1の名実況だと思っています。丸暗記している人も多く、人々の記憶に残り続けているという点でも、アテネ五輪の「栄光への架け橋」に共通していますね。
……いやいや、流石にこの2つを並べるのは五輪側に失礼じゃあないか!?しかし、eスポーツとフィジカルスポーツを比べて劣等感を抱く感覚も時代遅れだし、eスポーツメディアとして胸を張って主張するべきか!?と、私の中で葛藤が収まらなくなってしまったので今回はここまでです。長文失礼いたしました。
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