コラム

eスポーツはスポーツか? 教育か? eスポーツの未来とは?

スポーツか? 遊びか?

2021年7月23日から8月8日の17日間、1年延期された東京2020オリンピック競技大会が開催され、連日のメダルラッシュに日本中が盛り上がりました。
中でも大会序盤、特に話題になったのが、今大会から正式種目に追加されたスケートボードです。7月25日、26日に行われた、スケートボードストリートでは、男女共に日本人金メダリストが誕生し、日本中が沸きました。初代王者に輝いた、堀米雄斗選手はインタビューや会見で「(日本における)スケートボードのイメージが変われば」「スケボーの楽しさとか、奥深さをみんなに伝えていきたい」などと語っていました。

これまで、ともすればネガティブなイメージや“単なる遊び”のイメージが生まれやすかったスケートボードですが、オリンピックを機に見方が変わった人も多いのではないでしょうか。

eスポーツがオリンピック競技に?!

さて、そんなオリンピックですが、実はeスポーツも、将来オリンピックの正式種目になるのか?! と、注目されています。実際に体を動かす他の競技とは全く違うスタイルのため、簡単に採用とはいきませんが、IOC(国際オリンピック委員会)は、2021年5月、東京2020大会開催を前に、eスポーツイベント「Olympic Virtual Series /オリンピック・ヴァーチャル・シリーズ(OVS)」を開催。モータースポーツ(カーレース)、野球、サイクリング(自転車競技)、ローイング(ボート競技)、セーリングの5つの種目が採用されました。告知などがほとんどなく、一般的には盛り上がりに欠けた感も否めないものの、IOCがゲームをスポーツのひとつとして認めたとも言える大きな一歩なのです。


しかしながら、eスポーツのオリンピックでの採用はまだまだ長い道のりです。その理由は、eスポーツに一部暴力的な表現が含まれることもあること、また、他の競技が身体を使うのに対し、eスポーツは椅子に座ってプレイすると、そのスタイルが異なること、さらに、ゲームの所有権問題が挙げられます。

とはいえ、他のオリンピック競技と同じように、スピードや高度な技を競い合ったり、チームで協力してゴールを目指したりする、さらにはその“選手たち”の姿に観る者が魅了される━これはまさにスポーツと言えるのではないでしょうか。

eスポーツは教育と言えるのか?

ゲームばかりをしている子どもを見ると、「ゲームばかりしないで勉強しなさい!」と言いたくなります。しかし、子どもの様子を見ていると、ゲームの世界で創造力を働かせながら新しいものを作り上げたり、時間内にタスクをクリアするために緻密な計算をしていたりする姿を見ることがあります。

また、マルチプレイにおいては、友だちとコミュニケーションを取りながら、戦略を練り、相手を分析し、仲間と協力しながらゲームを進めています。そこにはチームワークや協調性が見てとれます。

親から見ると遊んでいるだけのように思いますが、子ども達は、ゲームから、時代を生き抜く大切な要素を学んでいるのかもしれません。

eスポーツは日本でさらに広がるのか?

2018年、日本では日本eスポーツ連合(JeSU)が設立されました。設立の目的は、「日本におけるeスポーツの振興を通して国民の競技力の向上及びスポーツ精神の普及を目指し、これをもって国民の健康とともに、社会・経済の発展に寄与すること」とされています。

さらに、「オリンピックの正式種目に採用されることを視野に入れ、選手団の派遣や国産ゲームタイトルの供給などが実現できるよう積極的な施策を行っている」とのことで、期待が高まります。

他の“スポーツ”と比べてまだまだポジティブなイメージが少ないeスポーツですが、その魅力や素晴らしさを世の中に広げてくれるスーパースターが生まれたり、ビッグイベントが開催されれば、きっと、社会の中でのeスポーツの意義がさらに明確となり、eスポーツプレイヤーは子どもも大人も憧れる存在となるはずです。

参考:日本eスポーツ連合

黄野いづみ/Izumi Kohno
山口県出身。学習院大学文学部卒業。16歳で単身アメリカへ留学。高校卒業後、日本の大学に入学・卒業し、その後に再度渡米。日系メディア会社やABCネットワーク系列のテレビ局にてインターンとなる。帰国後は出版社で企画編集ライターとして従事し、10年間の出版社勤務を経て独立。現在、子育て、工作レシピ、STEAM教育、eスポーツなどに関するコラム執筆や、様々な媒体での取材・執筆活動などを行っている。プライベートでは、2人の男の子を育てる母。

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