ひと昔前は格闘ゲームの猛者の中には複数のタイトルをプレイし、大会に参加する人も少なくありませんでした。しかし、強豪プレイヤーが次々とプロゲーマーになり争いが熾烈化し、一つのタイトルに絞る選手が増えてマルチに活躍する人は少なくなってしまいました。
そんな中、今でも複数タイトルを主戦場とし、それでいてトップ層に君臨し続けるプレイヤーがいます。アマテラス所属のプロゲーマー、SCORE選手(スコア)です。
今回は今では稀有となったマルチゲーマー、SCORE選手に取材してみました。EVOで話題になった手元隠しや、お馴染みのポーズなど色々聞いちゃいましたので、ぜひご覧ください!
SCORE選手とは
プロゲーマーチーム『AMATERASU』所属のプロゲーマー。
『ザ・キング・オブ・ファイターズ』(KOF)をはじめ、『グランブルーファンタジー ヴァーサス』(グラブルVS)、『ストリートファイター6』(スト6)など様々なタイトルをプレイし、大会で上位入賞を果たしています。
直近の戦績
【KOF15】
EVO JAPAN 2024 5位
EVO 2024 5位
SNK World Championship 4位
【グラブルVSライジング】
Cygames Cup Special 2024 7位
Cygames Cup Special 2022 準優勝
【餓狼City of the Wolves】
EVO 2024 エキシビジョンマッチ 優勝
SCORE選手 インタビュー
――EVO、お疲れ様でした!まず、SNSで話題になったコントローラーの手元隠し「スコアボード」についてお話を聞かせてください。スコアボードには、大きなSCORE選手の顔が印刷されています。かなり目立ってインパクトがあり、実際に多くの人の印象に残っていますが、なぜデザインをご自分の顔にしたのでしょうか?
「お疲れ様でしたー!ボードは元々何も貼っていなかったんですが、何もなしだと光の加減で手元がうっすら見えてしまうので何か貼るものがほしいなと思っていました。
そんなときに妻の友達の子供が僕の顔を加工したネタ画像を送ってきてくれて、面白いからこの顔を使わせてもらおうということで自分の顔にしました(笑)。大会とかだと何か印象に残るものがあった方が覚えてもらいやすいというのもありますし、手元隠しと両方を兼ねています。」
強烈なインパクトのスコアボード。製作費は約300円で、取り外し可能で持ち運びも便利。
――『KOF』は以前より中国、韓国のプレイヤーが強い印象がありますが、最近は世界大会で日本のLaggia選手、M’選手が1,2位でワンツーフィニッシュしたり、SCORE選手も主要大会で連続で上位入賞したりと日本人の活躍が目立っています。現在の各国の情勢(強さ)は変わりつつあるのでしょうか?
「中国、韓国、日本等、アジアのKOFプレイヤーは世界で見てもかなり強いです。理由として『KOF15』でネット対戦がロールバック(※)に対応したことで、快適なネット対戦をトップ層同士が毎日のように行うようになったからだと思います。
もちろんこれはアジアだけでなく世界中で同じ状況ですので、たくさんの高いレベルのプレイヤーがいます。アジア以外だと特にメキシコや南米のプレイヤーが強く、彼らが世界大会やEVOで上位に入っていた可能性は余裕であったと思います。」
(※)ロールバックは、ネット対戦における同期方法の一つ。従来多く採用されていたディレイ方式と比べると、遅延があっても快適にプレイしやすいのが特徴です。そのため、アメリカ東部・西部のように大きく離れた場所や海外同士での対戦も現実的なものとなり、対戦を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。
――SCORE選手は直近だと『KOF15』、『グラブルVSライジング』、『スト6』をプレイされていますが、どのタイトルでも好成績を残しています。初歩的な質問かもしれませんが、システムやボタン配置などが混同してしまうことはないのでしょうか?また、頭を切り替えるコツなどがあれば教えてほしいです。
「操作が混ざることはないというか、ないように矯正しました。EVOみたいな多種目が同時に進行される大型大会を想定して、毎日複数の種目を切り替えて練習していれば無意識にできるようになりました。出来ないことは出来るようになるまで練習する!これです。自分に限界はないと思って継続して練習していれば案外なんとかなります(笑)。」
――SCORE選手は、SNKの格闘ゲームを中心にプレイしています。他のメーカーにはないSNKならではの魅力や、『KOF』の魅力を教えてほしいです!
「ゲームの爽快感、BGM、キャラの良さ、世界観等、魅力的なポイントはたくさんありますね!『KOF』には小中大の3種類のジャンプや素早いダッシュがあるので、速い展開になるゲームなんですが、キャラクターを動かしている時の気持ち良さ、爽快感は『KOF』でしか味わえないと思います。あと、3キャラ使えるのでチームでその人の個性を出しやすいのも良い部分だと思います。」
『KOF15』発売時には15分ほど前から正装でカウントダウンに臨んでいました。KOF愛!
――『KOF15』が発売されたとき、連日10時間を超えるような長時間配信をされていました。今でも時々長時間の配信をしていますが、SCORE選手は40歳を超え、プロゲーマーの中では古参の部類だと思います。長時間やっていて身体に不調を感じることはないのでしょうか?また、不調に対するケアや、長くプレイを楽しむために心掛けていることなどあれば教えてください。
「格ゲーが好きすぎて大体夢中になっているので全く疲れませんね(笑)。『グラブルVS』で最大32時間連続でプレイした時だけは唯一体調を壊しましたが、基本的にはむしろゲームをすることで元気になっていると思います(笑)。
ただ運動不足すぎて去年体を壊して入院してしまったので(※)、それ以降ある程度運動はしっかりするようには気をつけるようにしています。」
※SCORE選手は2023年2月末に緊急入院し手術を受けました。その後同年内に3回の入院を経て回復し、現在は国内外の大会に精力的に参加しています。
SCORE選手の入院中の食事。Xには徐々に固形になっていく食事の写真が連日投稿されていました。
――SCORE選手の宣材写真などで取っている独特のポーズは、『KOF』のキャラクター"紅丸"が由来という情報を見つけました。また、過去にはXに紅丸の勝利ポーズの写真を投稿しています。紅丸というキャラクターに特別な思い入れがあるのでしょうか?
「紅丸に特に思い入れはありません(笑)。過去のEVO JAPANで壇上用の写真を撮るのでポーズをとってくださいと言われたところがスタートですね。」
お馴染みの"紅丸"ポーズ。
――SCORE選手といえば『KOF』や格ゲーのイメージが強いですが、格ゲー以外もプレイされるのでしょうか?格ゲー以外で特に思い入れのあるゲームと、その理由やオススメしたいポイントなどを教えてください。
「格ゲー以外もプレイしますね。特にシミュレーション系のゲームが好きで『RimaWorld』というゲームと、カイロソフトというメーカーが作るゲームが好きです。『RimWorld』はSFコロニーシミュレーションゲームで、細かい設定もありとにかく面白い!僕はハマりすぎて生活に支障が出ました(笑)。
カイロソフトのゲームはスマホゲーがメインなんですが、こちらは街づくりやサッカーチーム育成、ラーメン店経営等、幅広くあるのでシミュレーションゲームが好きな人は一度どんなゲームがあるかだけでも見てもらいたいです。オススメです。」
――SCORE選手は『スト6』や『グラブルVS』もプレイし、大会にも出場されています。また、今後『餓狼CotW』が発売されますし、『KOF』と競技シーンが並立する可能性もあると思います。ひと昔前より複数タイトルで活動するプロゲーマー、強豪プレイヤーは減った印象がありますが、今後SCORE選手は今後もマルチゲーマーとして活動していくのでしょうか?
「マルチでやっていくと思います。やっていて楽しいかと、その時期に流行っているかでプレイするタイトルを選んでいるので、臨機応変に合わせていこうとしていますよ。
『スト6』に関しては一本でやりこんでいるプレイヤーが多すぎるので、そこに対抗するためにやる時間を増やそうとは現状思っています。」
――昨年『スト6』が発売してかなり盛り上がっています。それに付随して「他の格ゲーももっと盛り上がってほしい」という意見をSNSで見かけます。今後格ゲー全体が盛り上がるために必要だと思うことや望むことがあれば教えてほしいです。
「『スト6』はゲームが良いのはもちろんですが、ゲーム外での盛り上げ方が最高に上手かったですね。あと『ストリートファイター』はプレイヤーの知名度を上げる努力もしていたので、そういった部分も盛り上げるためには大切なんだと感じました。」
――最後に、SCORE選手が目指すプロゲーマー像を教えてください!
「見てくれている人達を楽しませられる選手です!」
EVO 2024内で行われた『餓狼CotW』のエキシビジョンマッチで優勝が決まり、対戦相手に握手を求めるSCORE選手。
KOF、グラブルVS、餓狼……様々なゲームで強いまさに"プロゲーマー"!
複数のタイトルで活躍するSCORE選手の姿は、高橋名人のような、かつて多くの人が思い描いていた"ゲームのプロ"に近いものだと思います。さらに2025年にはSNKから新作『餓狼CotW』も発売予定なので、これからの活躍にますます期待が高まりますね!
また、『KOF15』ではSCORE選手のほか、日本のプレイヤーが世界大会で続々と上位入賞を果たしています。格ゲーシーンが盛り上がっている今、『KOF15』やそのプレイヤーにもより注目して見てみてほしいです。
SCORE選手 関連リンク
X(旧Twitter):https://x.com/score33333
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