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ユーザー心理をガッツリ捉えたゲームアクセサリ!A5の“やりすぎ”なこだわり

皆さんは「A5」というゲームアクセサリ(周辺機器)を開発・販売するメーカーをご存知でしょうか?

日本の国産ゲームアクセサリメーカーで、特にFPSプレイヤーを中心にその手頃な価格と、値段以上の性能で注目を集めているんですよ。

昨年秋には新製品「GRIFIX」(グリフィクス)を発売し、ラインナップをさらに拡充しているA5。今回はそのA5を運営する合同会社Cluctchの代表 田村歩さんにインタビューを敢行!

中にはこだわりすぎてほとんど利益が出ない製品も……。その根底に流れるA5イズムを深掘りしちゃいますよ!

◆A5とは

A5は、合同会社Clutchが展開するゲームアクセサリブランド。

より精密な操作や、快適なゲームプレイのためのグッズを多数開発・販売しています。フリーク、グリップ、マウスパッドなど、その種類は多岐に渡り、プロゲーマーからも高い評価を受けていますよ。

◆コア層だけに向けたものは作らない!

――A5さんから昨年新製品としてゲーマーも使える滑り止め「GRIFIX」(グリフィクス)が発売されたということで、今回はA5さんやその製品について色々お話をお伺いしたいと思います!

田村さん「よろしくお願いします!」

――まず田村さんのゲーム歴について教えていただきたいです。

田村さん「FPS、格ゲー、RPGなど色々やりますよ。『マインクラフト』のようないわゆるサンドボックス系のゲームだけはあまり遊ばないですが、ジャンルを問わずプレイしています。」

――そういう方がゲームのアクセサリを作っているというのは心強いです!

田村さん「元々はゲーム会社でライト層向けのゲームを作っていました。隙間時間にできるような、ガラケー時代のゲームですね。そのときの社長の考え方に影響を受けて、コア層だけに向けたものを作らないように気を付けています。」

――ゲーム会社時代の思想が今でも製品づくりに活かされているのですね。

◆ゲーム以外にも使える、ゲーマー向け滑り止め「GRIFIX」

――滑り止めのGRIFIXについてお聞きしたいと思います。手の滑り止め自体はフィジカルスポーツなどではよく見かけるのですが、ゲーマーやeスポーツにも向けたものはあまり例がないと思います。他の製品とはどんなところが異なるのでしょうか?

田村さん「従来の滑り止めは使っていて様々な不便なところがあるものがほとんどでした。たとえば、粉が出てしまう、手が白くなってしまう、手がベトベトしてしまうというようなものです。」

――それはゲーマーにとっては悩ましいですね。

田村さん「デバイスが汚れてしまったり、隙間に粉が入り込んでしまったりしたら良くないですからね。それに、ゲーマーもゲームだけをして生活している訳ではありません。従来の製品はユーザーの実生活に即していないと感じました。そういったネガティブなことを潰すことを意識してGRIFIXを作りました。」

――A5さんではプリグマフリークなどFPSでの繊細な操作を実現する製品を発売していますが、GRIFIXもパッドでFPSをプレイすることを想定して作られたのでしょうか?

田村さん「もちろんFPSのパッドプレイヤーの方にも役立つと思いますが、特定のゲームジャンルやデバイス限らずどんな人にもお使いいただきたいと思っています。加えて、ゲーム以外でも使っていただくことを想定して作っています。」

――ゲーム以外に使えるとなると、ゲーマー以外の家族でも使えそうですね。

田村さん「たとえば、ジムでマシンを使うときにグローブを着ける人もいると思うのですが、ずっと使っていると汗で汚れてしまいますし、毎回洗うのも手間になりますよね。そのグローブの代わりにGRIFIXを使えば、簡単に清潔さを保つことができると思います。」

――手を洗うだけでOKというのは確かに手軽ですね。

田村さん「弊社にはパッドに貼るエイミンググリップという製品もあるのですが、実はこれには難点があって……。手汗が多い人は染み込んで、ずっと使っていると菌が増えてしまって臭いが出て来てしまうんです。実際に『半年使ったら臭いが気になるようになった』というレビューをいただいたこともあります。長期間の使用において発生してしまう問題なのですが、今回GRIFIXの開発のヒントにもなりましたね。」

◆キーマウを超える操作形態が登場する!?

――GRIFIXは過去の製品からヒントを得て作られたということですが、他の製品はどんなきっかけから生まれたのでしょうか?

田村さん「私自身もゲーマーなので、実際にプレイしていて出た悩みからヒントを得ることが多いですね。エイミンググリップも、私がFPSをプレイしていて手が滑ったことがきっかけで作られたものです。」

――FPS以外のジャンルに向けた製品を作る展望はあるのでしょうか?

田村さん「実は格闘ゲーム向けの製品にも興味はあるのですが、既存のものとの差別化が難しく、さらにコストが掛かるのでなかなか難しいと考えています。逆にFPSはまだまだまできることの余地がたくさんあると感じています。」

――FPSは家庭用ゲーム機ではパッド、PCではキーボード&マウスが定番ですよね。

田村さん「実はキーボード&マウスによる操作にもずっと前から疑問を感じているんです。」

――ええっ!?FPSでは長らく最適のデバイスであると信じられていると思います。

田村さん「キーボードのWASDキーでの移動ってあまり直観的ではないですし、もっと良い操作デバイスはあると思っています。アイデアはあるのですがあまり多く話すぎるとアイデアを奪われてしまうかもしれないので、そこは秘密でお願いします(笑)。」

――かしこまりました(笑)。格闘ゲームでも20年以上定番とされていたアーケードコントローラーから、今ではレバーレスコントローラーが注目されるようになっていますね。

田村さん「文化が成熟してくると、別のものが出てくることはあると思います。FPSでも同じようなブレイクスルーが起きる可能性は高いと思いますよ。」

――確かに、今あるものに疑問を持つことで進化していくことはありそうです。

田村さん「ゲーム以外でもゲーム用の操作機器は活躍していますよね。たとえば危険地帯での作業でゲーム用パッドが使用されることが既にあります。これからはさらに精密な操作ができるようなデバイスがゲーム用から出てきて、工事や医療など異なる現場でも活用される可能性があると思っています。」

◆斜めの天面によるフィット感。コントロールスティック

――プリグマ コントロールスティックは、パッドのスティック部分に装着してより繊細な操作ができるようにする拡張パーツです。他社からも同様の製品が発売されていますが、本製品ならではの特徴はどのようなところでしょうか?

田村さん「プリグマ コントロールスティックは、指がよりフィットしやすいように天面部分が斜めにカットされているのが特徴です。これによって点ではなく面で操作することができるので、力の微妙な加減をしやすくなっています。」

――確かによく見ると斜めになっています。通常のスティックは少し膨らみがあったり、逆に少しへこんでいたりしますよね。

田村さん「それに今のゲーム用パッドは手が小さい人にとっては大きすぎて、手に負担が掛かってしまうんです。」

――持ちやすいようにデザインされてはいますが、それでもひと昔前のパッドと比べると大きいものが増えてきているように感じます。

田村さん「天面の斜めカットに加えて、実は色にも特徴があります。このコントロールスティックは、ビビッドな色を避けてあえて少し淡い色にしています。」

――確かに、いわゆるゲーミンググッズのような色合いとは異なりますね。

田村さん「実は、ゲーマー向けのデザインや色が個人的には好きではないんですよ(笑)。黒や赤、七色に光るようなものが人気ですが、そういったものって日常生活に溶け込まないと思うんです。」

――ゲーミンググッズの中には、部屋に置くと浮いてしまうものもありますし、人によっては部屋ごとそれに合わせて改装したりすることもありますよね。

田村さん「ゲームは生活の一部だと思います。だから、生活に馴染むものの方が良いと思うんです。」

◆やりすぎなほどのこだわりで利益度外視!?コントロールリング

――今回お持ちいただいているプリグマ コントロールリングについてもお伺いしたいと思います。

田村さん「コントロールリングは今ある在庫のみの販売になってしまいます。」

――何か理由があるのでしょうか?

田村さん「実は凄く原価が高くて、売ってもほとんど利益が出ないんです。お客様の要望に応えたいと思って、こだわり過ぎてしまったと反省しているのですが……(笑)。」

――そのこだわり、気になります!ぜひ教えてください!

田村さん「まず素材にこだわりました。紫外線で劣化せず、劣化してもネバつかないシリコンを使用しています。加えて、シリコンの発砲度合い(密度)を変えて、リングの硬さも複数用意しています。」

――ソフトからベリーハードまで4種類の硬さがありますね。

田村さん「この発砲度合いにも製造の段階で幅が出てきてしまうので、一つ一つを手で検査しています。最終的に製品として世に出せるのは1000個作って40個程度ですね。」

――製品になるのはわずか4%というのは、その基準も相当厳しそうです。

田村さん「このサイズのシリコンでここまでの柔らかさのものって中々難しくて、設計者さんには凄く厳しい顔をされました(笑)。それでも何とか頼み込んで実現してもらいました。」

――プレイヤーのことを本当に考えていらっしゃるのですね。

田村さん「先ほどのコントロールスティックも、土台部分だけで30個以上試作をしていまして……。社長としては失格だと自分でも思います(笑)。それでも、プラシーボ(思い込み)ではない実際の効果を感じてほしいんですよ。」

――その言葉はプレイヤーとしてはとても心強いです!

田村さん「さらに付け加えると、パッドに貼って使うエイミンググリップに関しては、貼り換えサポートも行っています。貼り付けるものって、失敗したら取り返しがつかなかったり、それを考えて不安になったりしてしまうことってあると思うんです。だから、失敗してしまった方には1枚まで無料で新しいものと交換できるようにしています。」

――ばっちりユーザーの心理をしっかり理解していますね!

◆お金をかけなくても最良のコントローラへ。そしてゲーム以外のことも楽しんでほしい

――今までお話を聞いてきて、A5さんの製品にはすべてにこだわりが詰まっていることが分かってきました。

田村さん「今は高級なコントローラーやカスタムコントローラーも出てきていますが、やはり値段の面で手を出しにくいと思います。でも、そこまでお金をかけなくてもA5のアクセサリを利用することでコントローラーは使いやすくなると思っています。」

――今ではコントローラーだけで数万円することもありますね。

田村さん「最初にお話しした『コアな一部の層だけに向けたものを作らない』ということと通ずるのですが、私はゲーマーにはゲーム以外の実生活も楽しんでほしいと思っています。ゲーマー、人々がゲームだけに偏ってほしくないんです。」

――ゲームの周辺アクセサリを作っているのに、プレイヤーのゲーム以外のことも考えているのですね。

田村さん「ゲームは楽しみの一つで、人生を豊かにするツールですよね。中にはガチャでストレスを溜めさせたり、お金をたくさん使わせたりするようなゲームもありますが、それで良いのかと思うこともあります。A5のアクセサリを使って快適にゲームをプレイして勝って気分も良くなって、さらにはスッキリとゲームをやめられる。そうすればゲーム以外のことでもチャンスを広げられるかもしれません。」

――負け続けてストレスを感じながらもついつい続けてしまう、ということから脱出して他のことにも目を向ける訳ですね。

田村さん「そうやっていくことで、ゲームにも市民権が生まれてくるのだと思います。ゲームはまだ世間から認められにくく、eスポーツの業界は市場が未成熟です。でも、かつてJリーグが発足して盛り上がっていったように、これから整備され、認められ、より一層盛り上がっていくと思っています!」

A5さんのアクセサリで、自分だけのコントローラーを作る楽しさを!

A5田村さんのインタビューいかがだったでしょうか。

こだわりまくったA5さんの製品を実際に触らせてもらいましたが、本当に良いものだと感じました。かゆいところに手が届く仕様の数々に「そこまでゲーマーの心理を把握しているのか!」と驚くことばかりでしたね。

高級なコントローラーはたくさんありますが、試しに気軽に買えるような値段でもなく「もし自分に合わなかったら」と考えてしまいためらいがち……。しかし、A5さんのアクセサリなら手頃な値段で試すこともできて、細かく自分好みにカスタマイズすることができちゃいます。自分に合った最良のコントローラーを作るのも楽しいですね。

A5さんのこだわりが詰まった製品、ぜひ手に取ってみてください!

▼A5オンラインストア 
https://www.a5onlinestore.com/

▼A5®エーファイブ公式X(旧Twitter)
https://twitter.com/A5onlinestore

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