ゲーマーゲーマー編集部の小河原です。
2004年のアテネ五輪のアーチェリーで日本人が銀メダルを獲得したとき、マスコミに大きく取り上げられたのを覚えていますか?
今回の話題『KOF15』での日本人優勝も、アーチェリーと同様にもっと話題になってほしいと思っているのですが、中々そうもいっていないようでして……。国内での競技人気、競技人口等の理由は思いつきますが、この話題性の差こそがフィジカルスポーツとeスポーツの差の表れのではないかと思っています。
いかに凄いことなのか、いかにeスポーツが奥深いかということを伝えていって、eスポーツの社会での地位をもっと上げていきたいと思う今日この頃です。
『KOF15』の世界大会で日本人が優勝、5万ドル(約745万円)を獲得!
本日3/18(月)、『THE KING OF FIGHTERS XV 』(ザ・キング・オブ・ファイターズ15、KOF15)の世界大会『SNK World Championship 2023』の決勝が行われ、日本のSANWA所属のLaggia選手(ラギア)が優勝しました!
しかも、決勝戦の相手は同じくSANWA所属のM'選手(エムダッシュ)で、日本人のワンツーフィニッシュという結果に。4位にも日本のSCORE選手(スコア)が入り込む等、日本人が大活躍した大会となりました。
『KOF』シリーズといえば、Xiaohai選手(シャオハイ)をはじめ中国や韓国が強いイメージが強いゲームで、かつてはXiaohai選手が片手プレイで日本の強豪プレイヤーを倒したという信じがたいエピソードも残っているほど。そんな『KOF』で日本人がここまで上位を獲得できたというのは、歴史的快挙といっても良いのではないでしょうか。
全員が完璧なバランスを望んでいるとは限らない
今回の世界大会を見ていて思ったのは「色々なキャラクターが見られて楽しい!」ということでした。一見ごく当たり前のことのような気もしますが、『KOF15』発売当初はまったく逆の状態だったのです。
発売して1ヶ月後の2022年3月に開催された最初の公式大会では、【ヴァネッサ、ラルフ、テリー】の通称「VRT」というキャラクター(チーム)が猛威を振るっていました。私は当時リアルタイムで観戦していたのですが、大会がどれだけ進行してもずっと画面にはVRTの3人のいずれかが映っているような状態で、それ以外のキャラクターが出ただけでそちらを応援したくなるくらいでした。弱いキャラクターが強いキャラクターを倒す下剋上が見たいというのもありましたが、何よりもずっと同じような絵面を見ていて飽きてしまったというのがその要因です。
多くのプレイヤーは勝つためにゲームをするし、大会では特にその傾向が顕著になるため、明らかに強いキャラクターがいれば使うのは当然のことです。そのため、ゲームバランスが良くないと使用キャラクターが偏り、大会では同じキャラクターばかりを目にすることになってしまいます。
かつて『ストリートファイター4』(スト4)ではサガットというキャラクターが強すぎて、後の開発者インタビューでは悪役(ヒール)として意図的に強く作られたと語られています。プレイヤー共通の敵がいることで、どう攻略するかや下剋上が起きたときに盛り上がるという制作意図があったようですが、インタビューが公開されたときにはプレイヤーからは否定的な意見が多かったと記憶しています。
しかし、『ストリートファイター3 3rd STRIKE』(3rd)のようにゲームバランスが悪くても長年愛されているゲームもありますし(共通システムが強いからこそですが)、弱いキャラクターが下剋上を果たしたときの盛り上がりは凄いです。それを鑑みると、『スト4』開発者の意図も理解できますし、私のように下剋上を期待する人もいることからも、ゲームバランスが悪いこと=悪とは決して限らないとも言えます。
『KOF15』は発売後にアップデートを重ね、ゲームバランスも当初よりも大分良くなっています。そのおかげで様々なキャラクターが使われ、非アクティブプレイヤーの私でも大会観戦を楽しむことができました。しかし、もし日本人プレイヤーが勝ち進んでいなかったとしたら、応援する対象が見つけづらく、最後まで楽しめたかどうか正直分かりません。競技プレイヤーとしてはできるだけキャラクターの強さに差がない方が望ましいですが、観戦者としてはそうとも言えず、分かりやすい下剋上を見たいというところもあり、ダブルスタンダードな自分に少しモヤモヤしています。
……と、結局上手く話しがまとまらないので、今回はここまでです。長文失礼いたしました。
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